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◆富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ ワークフロー自動化取り組み事例――株式会社若草印刷 大貼り面付け、刷版振り分けの自動化で現場の作業負荷を大幅軽減 生産工程の省力化で人材の能力を最大限に引き出す

昨今、印刷業においては、労働人口の減少や、小ロット・多品種化、短納期化が進む中、「工程全体の生産性をいかに最大化するか」が重要な課題になっており、作業の標準化・自動化、ミス・ロスの低減による生産効率向上が求められている。1111日~13日に京都で開催された『THINK SMART FACTORY 2019』では、メーカー・ベンダー14社がこれらの課題対する一つの方向性をSmart Factoryという形で提案した。印刷業界でも生産効率向上への取り組みが高まるなか、さまざまな自動化ツールを活用して工程変革を進めているのが、群馬県に本社を置く若草印刷(本社:富岡市黒川710-1、代表取締役社長:田村英三氏)だ。具体的な取り組み内容とその効果などについて、代表取締役社長・田村英三氏、制作部データベース課課長・堀口亮氏に伺った。

 

XMFRIP処理の効率化、社内事故防止を図る

 若草印刷は、1964年に群馬県下仁田町で創業。67年に富岡市にオフセット工場を設立して以降、同市内に拠点を置いて総合印刷業を展開する。現在、折込チラシをはじめ、カタログやパンフレット、ポスターなどの販促印刷物をメインに手がけている。

 同社の大きな特色は、自社を単なる印刷業ではなく「クライアントが商品に込めた想いを表現するラブレター代筆業」と位置づけ、訴求力のある印刷物を提供するためにデザイン・制作部門を強化し、人材の力を最大限に活かすための設備環境を追求していることだ。ワークフローの効率化も、こうした観点から推進している。

「高いポテンシャルを持つ人材の能力を最大限に発揮させるためには、ルーチンワークをできるだけ効率化・自動化し、アイデアを生み出すプロセスやクリエイティブな作業のための時間を確保することが重要です。人件費の削減だけを目的に自動化を進めても、大切な人材を活かすことにはつながらないと考えています」(田村社長)
 
    田村社長

 現在の若草印刷のワークフローは、同社が独自に開発した基幹システム(MIS)と、ワークフローシステム『XMF』を核としたもの。すべてのジョブはXMF Remoteにアップされ、社内の校正・修正・承認はXMF Remote上で進行する。また、XMFとリンクしたMIS上で面付けやCTP出力などのコントロールが可能になっている。

 XMF導入の経緯を、田村社長はこう振り返る。

「導入したのは9年ほど前。それまでは、プリンター用、プルーフ用、CTP用とデバイスごとにRIPを置く必要があったため、管理が煩雑だったうえ、RIP間で出力結果に差異が生じるなどのトラブルもありました。こうした非効率な状況を改善し、工程の後戻りや無駄な作業をなくそうと考えたのです」

 さらに、修正漏れなどのミスの防止と、クライアントとのやり取りの効率化を図るため、XMF Remoteも併せて導入した。その結果、社内では3台あったRIP1台に集約され、PDFベースのセンターRIPワークフローが確立。ジョブの進捗確認や校正・承認がオンラインで可能になった。この段階で、オペレーターの作業負荷は大きく軽減されたという。

  
     XMFによって社内フローだけでなく、外部とのやり
取りも効率化

「あるお客さまから、全国に配布するチラシを受注した際、印刷用データをXMFからPDF X-4で書き出し、北海道から沖縄まで数社の協力印刷会社さんに送り、各地で印刷するという形をとりましたが、データのトラブルなどもなくスムーズに進行することができました。以前のワークフローでは、各印刷会社さん向けのデータを作成しなければならず、データ変換ミスなどのリスクがあるため、確認作業に非常に時間がかかっていたのです。そうした作業負荷が、いまでは格段に減っています」(堀口課長)
 加えて、XMF Remoteによって校正時の確認の精度も高まり、修正ミスなども確実に削減できたという。

 

SwitchPHOENIXで大貼り面付けを自動化
次のステップとして同社が取り組んだのは、下版から面付け・CTP出力までの自動化だ。

「従来は、MISの情報を紙に出力し、オペレーターはその指示書を見ながら作業を進めていました。このやり方では、面付けを間違えたり、違う印刷機で刷ってしまったりというミスがどうしても出てきてしまいます。そこで、MIS内に入っているジョブ情報を使って自動化できるシステムを検討していました」(堀口課長)

堀口課長
 ここでポイントになったのは、同社の主力品目であるチラシの大貼り面付けを自動で行なえるかどうか、ということだった。

「一般的なページ面付けのソフトは豊富にありましたが、大貼りをメイン機能とするソフトはなかなか見つかりませんでした。そんな中でFFGSさんからご提案いただいたのが『PHOENIX』です」(堀口課長)。

 同社ではもともと、データのプリフライトチェックや仕分けなどを自動化するRPAツール『Enfocus Switch』(以下 Switch)を使用していたが、これに、ジョブプランニング・面付けソフト『PHOENIX』を連携させることで、大貼り面付けの自動化が実現した。

 下版からCTP出力までの現在の流れは下図の通りである。XMF Remote上で校了、承認されると、MISからXML形式でジョブ情報(面付けや部数、サイズ、使用印刷機などの情報)を書き出し、印刷用PDFと一緒にSwitchに渡す。Switch上でデータチェックなどを行なった後、ジョブ情報を元にPHOENIXが自動面付けを実行。その面付けデータをSwitchが受け取り、印刷スケジュールに沿って仕分けしたうえでXMFに転送し、CTP出力する。

「言葉で説明すると複雑そうですが、面付け指示、出力指示などはすべてMIS上で行なえるので、実際に動かしてみると非常にシンプルです。オペレーターも、最初は不安そうでしたが、運用を始めると『作業が思った以上に楽になった』と驚いていました」(堀口課長)

 MISのデータを使った自動処理のフローが確立したことで、下版後のフローが短縮され、刷版部門の大幅な作業負荷軽減が図れたという。

「いままでは、刷版オペレーターが大貼り面付けやアクセサリの付加などを行なったうえで出力していましたが、現在は、それらがすべて完了した状態で刷版側にデータが来るので、そうした付帯作業は一切不要。確認して問題なければそのまま出力できます。面付け間違いなどの心配もなくなり、精神的な負担もかなり減っていると思います」(堀口課長)

 また、刷版部門の省力化は組織の合理化にもつながっていると堀口課長は語る。

   Switch+PHOENIXによって刷版部門の大幅な省力化
  が図られた

代理店さんからいただいたデータの出力を担当していた出力部門を、刷版部門と統合しました。これによって、担当する仕事の範囲は広がりましたが、刷版側の作業が減っているので、トータルでは省力化につながっています。残業もほとんどなくなっており、働き方改革に寄与できているのではないかと思います」

 

 従来、出力部門・刷版部門合わせて8名体制であったところを、現在はわずか4名で対応できている。しかも1人あたりの作業負荷は減っているといい、SwitchPHOENIXの省力化効果がいかに大きいかがわかる。

 

                   下版からCTP出力までのフロー

■刷版自動振り分け装置で
CTP出力後の作業も省力化

 刷版部門における省力化には、業界に先駆けて導入した「刷版自動振り分け装置」も大きく寄与している。同社では、輪転機4台、枚葉機1台の計5台、印刷機を持っており、CTP出力された版を刷版オペレーターが印刷機ごとに振り分ける必要があった。同装置によって、この作業を自動化したのだ。

 現在は、生産スケジュールを組む段階で、ジョブごとに印刷機が割り当てられ、MISにその情報が入力される。この情報に基づいてXMFでアクセサリを付加し、CTP出力時にそれを読み取って版を自動で振り分ける。
 
  若草印刷に導入された刷版自動振り分け装置。版の運搬に
伴う事故のリスクや作業負荷が削減された

「当社は24時間稼働で、版の出力枚数も多いため、1カ所に出てきた版をオペレーターが5カ所の置き場に振り分けるという作業は、身体的な負担もさることながら、生産効率を考えても望ましくありません。版にキズをつけてしまったり、振り分け先を間違えたりというリスクもあります。ですから、自動化のメリットは非常に大きいですね」(堀口課長)

 

■後加工まで含めた生産工程全体の効率化を目指す

  上流工程を中心に自動化・効率化を進め、着実に成果を挙げている若草印刷。今後の取り組みについて田村社長に伺った。

「現状、最終的な出力指示はオペレーターが行なっていますが、23年後を目処に、印刷スケジュールにしたがって自動で出力できるような仕組みをつくっていきたいですね。すぐに構築できるものではありませんが、面付け自動化の次のステップとして検討しています。これが実現すれば、印刷工程での版待ち時間の解消、印刷機の稼働率アップなどの効果も出てくるのではないかと思っています」

 さらに、断裁などの後加工の効率化も視野に入れる。

「上流工程では、MISのデータを活かせばこんなメリットがあるのだという“成功体験”ができてきました。これを社内で共有したうえで、上流から後加工機までをつなぐ新たな仕組みを採り入れることによって、生産工程全体の効率化をまた一歩推し進めることができると考えています」(田村社長)

 クライアントの想いを伝える“ラブレター代筆業”という使命を実現するため、いかに人材を育て、活かしていくか。この大きな課題に向き合いながら、同社はさらなる工程変革に取り組み続けている。

 FFGSでは、お客さま一社一社の現状と課題をしっかりと把握したうえで、的確な解決策を提案し、メーカー問わず最適なシステムを提供している。今後は、近年とくに強く求められている「生産工程の省力化」「働き方改革」を多角的に支援することで、印刷業界全体の活性化に貢献していきたいとのことだ。

 

 

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