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◆富士フイルムグローバルグラフィックシステムズXMF Remote導入事例――東洋株式会社   営業・制作部門の負荷軽減、印刷事故削減に明確な効果 クライアントメリットが差別化にも寄与、コンペ勝率が8割に

 北海道帯広市に本社を置く東洋株式会社(本社:北海道帯広市西10条南9丁目7番地、代表取締役社長:角 高紀氏)は、2016年に富士フイルムのWebポータルシステム『XMF Remote』を導入し、『Toyo Online SystemTOS)』の独自名称で運用している。現在125社のクライアントとの間でオンライン入稿・校正に活用しており、営業の移動時間削減や印刷事故の減少、さらには競合他社との差別化も図れているという。導入の狙いや具体的な効果について、製造部部長代理・加藤雅章氏に伺った。

 

■効率化、事故防止、差別化のツールとして導入

東洋は、1964年、帯広市内の同業4社の合併により「東洋印刷株式会社」として発足し、北海道内に拠点を増やしながら堅調に成長を続けてきた。商業印刷を軸としながらも、長年培ってきた企画提案力を武器に、Web・動画制作やデジタルマーケティング、イベント企画・運営、求人支援などへと事業領域を広げ、幅広いサービスを提供するようになったことから、20204月、社名から「印刷」を外し「東洋株式会社」として新たなスタートを切った。現在、帯広本社のほか、札幌支社、釧路支店、旭川支店、東京営業所の計5拠点の体制で事業を展開する。

 
    加藤部長
XMF Remote』を導入したのは20163月。主な狙いは、効率化による時間の創出、データ起因による印刷事故の削減、事業所間のDTP制作業務の平準化、クライアントへの価値提供による競合他社との差別化、の4点だった。XMF Remoteを選択した理由について、加藤部長はこう語る。

「当時使っていたワークフローシステムの関係で、他メーカーのWebポータルシステムも考えたのですが、検版機能の使い勝手に満足できなかったため、FFGSさんに相談したところ、ご提案いただいたのが『XMF Remote』でした。『XMF Remote』を導入している複数の印刷会社様を訪問して実際の活用現場を見学させていただき、機能・操作性含めて当社の目的にマッチしていると感じたので、導入を決定しました」

 同社では、XMF Remoteのトップ画面を独自のデザインに変更し、『TOS』(=Toyo Online System)の名称で運用を開始した。

「名称を変更したのは、全ジョブ運用を徹底させるため、自社開発システムのように社員に愛着を持たせたかったというのが一つ。また、もう一つの狙いとしては、お客さまに独自名称で提案することによって“システム系に強い会社”というイメージを持っていただきたいという意図もありました」(加藤部長)

 

■制作部門の残業が8,000時間短縮、校了後の印刷事故はゼロに

では、前述の4つの導入目的に対して、TOSの運用によってどれほどの効果が挙がっているのだろうか。

     TOSのトップ画面 XMFRemoteのGUIに同社独自のデザインを
採り入れている

  効率化による時間の創出

営業部門ではこれまで、校正紙の受け渡しのための移動時間が大きな課題となっていた。ある食品スーパーの折込チラシの例では、担当営業が片道30分かけて校正紙を届けていたという。チラシ1本につき4往復。それが月に4本あるため、営業の移動に月間16時間を費やしていた。しかしTOSの運用開始後は、営業を介さずに制作とクライアントとの間で校正のやり取りが直接行なえるようになったため、営業の移動時間が大幅に減り、新規事業に取り組むための時間が生まれている。

「営業はタブレットさえあれば進行中の仕事をすべて把握できるようになったので、原稿の束を持ち歩く必要もなくなりました。デスク周りもスッキリし、原稿を探す手間や時間もなくなったので、生産性向上にもつながっています」(加藤部長)

 制作部門でも明確な効果が出ている。同社では道内のさまざまな自治体の広報誌を手がけているが、北海道の場合、近隣の市町村でも数十キロ以上離れているケースがある。そのため、以前は、校正のやり取りなどで営業が半日戻らないといったことも頻繁にあり、制作部門では営業待ちによるアイドリングタイムが発生していた。しかし現在は、TOSによって制作スタッフがリアルタイムで状況を把握できるようになり、無駄な待ち時間が減少。その結果、制作部門全体の年間残業時間が8,000時間短縮した。

「人件費を1時間3,500円とすると、年間約2,800万円の労務費削減になっています。働き方改革の点でも、コスト面でも大きな効果が出ています」(加藤部長)

 

  データ起因による印刷事故の削減

 データ起因のトラブルの中には、人の作業ミスや確認漏れから発生しているものも多い。それをいかに防ぐかというのはどの現場にも共通する課題だ。同社では、その対策の一環として検版ソフトの導入を検討したこともあったという。

「たとえば、赤字が入っていない場所の文字が移動されたり、なくなったりしていた場合、そこを意識的にチェックしなかったために最後まで気づかず、印刷事故につながるというケースがあります。そうした見落としを防ぐために検版ソフトの導入を考えたのですが、安全性は高められるものの、検版という作業工程が一つ増えてしまう。そのため生産性が落ちてしまうのではないかという懸念があり、見送りました」(加藤部長)

 TOSでは、赤字の入った箇所の修正を行ないながら、それ以外の部分の検版も同時に行なえるため、生産性を落とすことなく事故防止を図れている。さらに、校了後に発生しがちだった印刷事故の防止にも寄与しているという。

「以前は、校了後に修正前のデータを刷版工程に送ってしまった、あるいは保存するのを忘れて最後の修正が反映されなかった、といったミスが起きていました。『校正紙は、必ず下版用のPDFデータを書き出してから出力する』というルールを定めていたのですが、それを守らなくても進めることができてしまうため、ミスはなかなか削減できませんでした。しかし、TOSによる全ジョブ運用開始後、いままでデータ受け渡し用に使用していたサーバーにアクセスできないようにしたり、TOSを使用しないと校正紙を出力できないようにしたりと、力技ではありますが、仕組み上の制限を設けたことにより、つねに最新のデータで作業が流れるようになり、校了後の印刷事故はゼロになりました」(加藤部長)

 トータルの不良損金・不良発生件数も、TOS導入前のわずか4分の1にまで削減できたという。一般的に印刷会社の不良損金比率は売上の0.3%と言われているが、同社では、人件費も含めて売上のわずか0.06%に抑えられている。

  
   差異を確実にチェックできるデジタル検版機能は、事故防止に大きく寄与

    している。

③ 事業所間のDTP制作業務の平準化

 同社では、道内4拠点にそれぞれ制作部隊を置いており、従来は仕事を受注した事業所ごとに制作を行なっていた。そのため、拠点によってはマンパワーと仕事量のアンバランスが生じることがあった。TOS運用開始後は、拠点を跨いでオンライン校正やカンプ出力などが自在に行なえるようになったことに加え、工程管理機能を備えた基幹システムとの連携により、各制作スタッフの予定や作業状況を確認しながら、拠点間で仕事を振り分けることが可能になった。さらに、加藤部長はこう付け加える。

「制作担当者が不在のときに急ぎの修正が発生した場合、以前は、最終の校正紙と保存データが本当に一致しているかという不安があり、他の人が引き継ぐことが難しかったのですが、TOSでは、初校からの校正履歴がすべて把握でき、万が一相違があってもTOS上で確実に検版できるため、安心して引き継げるようになりました」

 こうして柔軟な制作体制がとれるようになったことも、残業時間削減に大きく寄与している。

 

  クライアントへの価値提供による競合他社との差別化

 TOSXMF Remote)は、社内だけでなくクライアントにも大きなメリットをもたらし、それがより強固な信頼関係の構築に繋がっていく。たとえば、同社のクライアントの一社である釧路市の食品スーパーでは、これまでの紙の校正のやり取りで「毎回、打ち合わせの時間と場所を確保しなければならない」「校正紙を戻してしまうと後から指示内容の確認ができない」「他の担当者の赤字が確認できないため、指示内容に食い違いが発生する」といったことが課題になっていたが、これらがTOSの運用によって解消された。

「バイヤー様からは『空いた時間に校正が行なえるため、仕事の手を止める必要がなくなった』『自分の赤字と他の担当者の赤字を同じ画面で確認できるので安心して指示を伝えられるようになった』との声をいただいています。また、エリア長・ブロック長の方からも『自宅や出張先でも確認できるのがありがたい』と好評です」(加藤部長)

 このクライアントには、事前に担当者全員を対象に説明会を開き、TOSの操作性を体感してもらったうえで運用をスタートしたが、オンライン校正に対する評価は予想以上だったという。

「運用開始当初は、慣れないPCでの作業に苦戦されていましたが、1カ月もすると慣れてきて、いまでは『紙での校正が面倒に感じられる』と仰っています。他の印刷会社さんが担当する仕事でも、お客さまはTOSでの校正を希望されているようで、ある大手印刷会社さんから当社に『TOSを使わせていただけないか』と相談をいただいたこともありました」(加藤部長)

 

■コロナ禍でオンライン校正への関心が高まっている

 このように、TOSの活用は、社内の作業効率化・事故防止だけでなく、クライアントの業務負荷軽減にも大きく貢献することから、同社では、新規のプロポーザルの際には必ずTOSを提案に盛り込んでいるという。

「お客さまが使用するうえでは、PCとネット環境さえあればコストが一切かからないので、ご提案すると非常に前向きな反応をいただけることが多いですね。印刷の新規案件ではほぼ毎回TOSを提案していますが、その効果は絶大で、コンペの勝率は2019年の実績で約8割に達しています」(加藤部長)

 まさに、XMF Remoteの導入目的の一つ「競合他社との差別化」の効果が、明確に表われているのだ。

 20209月現在、TOSを活用しているクライアントは125社、利用者数は257名。最近はコロナ禍で非接触型のコミュニケーションが広まっていることから、クライアントのTOSへの関心が一段と高まっているという。加藤部長は、アフターコロナも見据えた今後の展望についてこう語った。

「新型コロナウイルスの感染拡大が収まったとしても、ソーシャルディスタンスが前提となり、リモートワーク、モバイルワークがあたりまえになっていくと思います。また、第5世代移動通信システム『5G』のサービスも開始され、インターネットを活用したビジネスがさらに活発になることは間違いありません。国を挙げてデジタル化を推進していこうという動きも加速しています。こうした中で企業として成長を続けていくには、デジタル技術やICTをいかに戦略的に活用できるかがカギになると考えています」

 

 

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