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◆XMF Remote導入事例――上新電機株式会社 チラシの制作業務をオンライン化し大幅な作業効率化を実現 非対面での進行が可能になり、発注先印刷会社の省力化にも寄与

  富士フイルムのWebポータルシステム『XMF Remote』は、2010年の発売以来、印刷会社を中心に導入が進み、オンライン入出稿・校正を中心に活用されているが、印刷発注側の企業が自ら導入・運用しているケースもある。家電量販店を展開する上新電機株式会社(本社:大阪府大阪市浪速区日本橋西1-6-5、代表取締役兼社長執行役員:金谷隆平氏)もその1社だ。昨年春に『XMF Remote』を導入し、チラシの制作業務で運用を開始。社内の作業効率化・省力化を実現するとともに、印刷会社とのデータ受け渡しや、印刷会社内の修正作業の効率化にもつながっているという。導入の経緯や具体的な活用方法、効果などについて、販売促進部 企画制作グループ 課長代理・柳澤清彦氏、同グループ 課長代理・木村大吾氏に伺った。

   

■働き方改革の一環として「チラシ校正のオンライン化」を検討

 上新電機は、1948年に「上新電気商会」として創業。1954年にパーツ販売店から家電専門店へと業態転換し、現在では家電量販店『Joshin』を全国200店以上展開する。リアル店舗のほか、2000年からはネットショップ『Joshin web』も運営。さらに、ジョーシングループとして、情報機器およびデジタル商品専門の『J&P』、ファミリー志向の総合エンターテインメントショップ『キッズランド』などのブランドも擁する。

 プロモーション活動は、テレビCM・ラジオCMといった電波媒体のほか、チラシ、DM、アプリ、Web広告など、多様なメディアを活用して展開している。今回お話を伺った販売促進部は、リアル店舗向けのプロモーションを担当しており、折込チラシやDMといった印刷媒体を積極的に活用している。

 折込チラシは毎週土曜日の発行を基本とし、それ以外に、季節ごとのキャンペーンや、新店舗オープン、改装セールなどのイベントに合わせたチラシが加わる。また、同社のWebサイトには、紙のチラシをベースとした電子チラシを掲載している。

 DMは、登録会員向けに、年に78回のペースで送付する。基本的には店舗への来店を促す狙いだが、最近はコロナ禍で店舗に足を運びにくいという顧客にも配慮し、ネットショップにも誘導できる内容としている。

 一方、社内の業務については、コロナ禍以前から、作業の効率化、働き方改革などに取り組んでおり、その一環として「紙を使う作業のデジタル化」も着々と進めているという。

「デジタル化や働き方改革には以前から取り組んできましたが、このコロナ禍で、よりスピード感が求められるようになってきました。また、社内に感染者が出て一時的に事業所に入れなくなってしまうような事態にも備えなければいけません。ですから、可能な部署からテレワークを採り入れるなど、会社全体で仕事の進め方を見直しています」(柳澤課長)

 こうした流れの中、XMF Remoteの導入を決めたのは、タイトなスケジュールの中で多くの担当者が関わっている「チラシの校正」をオンライン化・効率化し、働き方改革につなげようという狙いからだった。

            
            上新電機の折込チラシ。毎週発行のため制作スケジュールは
      非常にタイトだ。

■「赤字を時系列で表示できる機能」が選択の決め手に

同社のチラシ制作の流れは、まず販売促進部で掲載する商品や点数、レイアウトといったベースになるものを作成する。そして、冷蔵庫担当・エアコン担当といった同社商品部の各商品担当者に、掲載する商品の情報(販売価格も含む)を依頼する。販売促進部はその情報をもとに、印刷会社にデザインの指示を出す。印刷会社はその指示に従って初校を作成、その後2回ほどの校正を経て校了となる。商品担当者は二十数名おり、毎週チラシやDMなどの販促物の校正を1人につき45種類、多い時には10種類ほど、並行して行なうという。

   柳澤課長

 XMF Remote導入前、チラシの校正は、本社の指定場所に校正紙を置いておき、商品担当者が各々赤字を書き込むという形をとっていた。紙でのやり取りのため、校正紙を持ち出して外出先や自宅などで確認したとしても、戻す際には必ず本社に来る必要があった。

「商品担当者は本社の在籍ではありますが、商談などで外出することも多く、出張もあります。また、私ども販売促進部のスタッフも、店舗のイベントなどで外出することがあり、校正のためのスケジュール調整が難しいという課題がありました」(柳澤課長)

 また、校正紙に入れる赤字に関して、手書きならではの問題もあったという。

「赤字の中には、クセのある字で読みにくいものもあり、たとえば商品価格の94を読み間違えてしまうなどのミスにつながることもありました。また、1枚の校正紙に全員が赤字を入れる場合、複数人が同時に校正することができませんし、分散すると取りまとめが大変になるというのも、大きな課題になっていました」(木村課長)

 こうしたことから、校正をデジタル化したいという声は以前から上がっていた。そこで同社は、オンライン校正の活用について検討を開始する。

当初、PDF化というところから検討を始めたのですが、紙を単にPDFに置き換えただけでは、効率化・省力化の効果はあまり期待できません。やはり『いつでも・どこからでも確認できる』オンライン校正システムがベストだろうと考え、どのようなツールがあるのか、情報収集を進めていきました」(柳澤課長)

 検討を進める中で同社は、オンライン校正システムを自社で導入し、印刷会社と共用するという方針を決めた。上新電機ではチラシの印刷を複数の印刷会社に発注しているため、印刷会社ごとに異なるシステムを利用するよりも、自社導入の方が作業フローを統一でき、合理的だと判断したのである。

 システム導入にあたっては、XMF Remoteを含め、発注先の印刷会社が使用している4つのシステムを候補に挙げ、校正機能を中心に実際の使い勝手を比較検討した。その結果XMF Remoteを選んだ理由について、柳澤課長は「入力された赤字を時系列で表示できる機能が決め手になった」と語る

「赤字が時間順に表示されるというのは、私どもにとって非常に重要なポイントでした。当社の場合、チラシの校正と同時に、商品価格をPOSなどに反映させるためのデータを基幹システムに配信する作業が必要なのです。価格に変更が出ると、チラシの紙面と配信用データの両方を修正しなければなりません。商品担当者全員の赤字を待ってから対応していたのでは間に合わないこともあります。赤字が時間順に並んでいれば、締め切りを待たずに、先に入った赤字から反映していけますし、『この赤字までは反映した』ということが一目でわかるので、効率よく作業を進められますし、ミスも防げます」(柳澤課長)

 このような同社の作業フローに最もマッチするのがXMF Remoteだった。また、機能面だけでなくGUIについても、柳澤課長は「ツールボタンなどがわかりやすくて、他のシステムに比べて使いやすそうな印象があった」と評価する。

「最終的な導入候補としてはXMF Remoteの他にもう一つの製品が残ったのですが、そちらは非常に細かい設定が必要なのと、ベースが海外のソフトということもあって、ちょっと馴染みにくいと感じたため、XMF Remoteの導入を決めました」(柳澤課長)

   
       オンライン校正は同社内だけでなく印刷会社にとっても大きなメリット

    になっている。

■対面での打ち合わせが激減。印刷会社とのやり取りも効率的に

実際に導入してから1年あまり。具体的にどのような効果が出ているのだろうか。

「まず、時間や場所の制約から解放されたことが大きいですね。商品担当者は、外出先や自宅など、自分の都合に合わせて校正が行なえる。校正のために本社に来る必要がなくなったわけです。また、赤字は必ずテキスト入力することとし、フリーハンドは禁止しているので、読み間違いによるミスも起こりにくくなっています」(柳澤課長)
  


  木村課長

「いつでも赤字を入れられる」ことは、やはり大きなメリットになっているようだ。ただこれは、どこかで締め切らなければ「いつまでも赤字を入れ続けられる」ことにもなってしまう。同社の場合、校正に携わる関係者が多く、「承認」によって次のステップに進むという運用が難しいため、一つのジョブで校了まで進めるのではなく、初校・二校・三校それぞれで新規のジョブを立てて進行している。初校では、全員分の赤字が揃わなくても締切のタイミングで販売促進部がロックをかけ、いったん修正を反映する。二校ではまた別のジョブを作成するので、初校で確認できなかった商品担当者はそこで校正が行なえる。このような運用とすることで、タイトなスケジュールの中で効果的にXMF Remoteを活かしているのだ。

 また、XMF Remoteの導入は発注先の印刷会社の作業効率化にもつながっているという。

「従来は、全員分の赤字が揃ってから印刷会社の担当営業の方に来社していただき、対面で修正内容を説明していました。印刷会社さんでは持ち帰った校正紙の修正指示を1枚に清書してオペレーターさんに渡し、そこから修正作業を始めるという流れでした。しかしXMF Remote導入後は、打ち合わせのために来ていただく必要がなくなりましたから、かなりの時間短縮になっていると思います。以前は週に何回も来ていただいていましたが、いまは週に1回お会いするかどうかですね。複雑な修正がある場合も、XMF Remoteの画面を共有しながらオンラインでお伝えできるので、ほとんど非対面で進行できます」(柳澤課長)

「印刷会社さんも、時系列で並んだ赤字の内容をXMF Remote上で確認でき、締め切りを待たずに修正を始めることができますから、作業効率が上がっているのではないでしょうか。実際に、修正が反映される時間は以前より確実に早くなっています」(木村課長)

 さらに、印刷会社とのデータの受け渡しもスムーズになった。同社では、セキュリティ上の理由から、一般のファイル転送サービスの使用を禁止しており、大容量のデータを送るには、自社のサーバーにアップして情報システム部の承認を受けるといった手続きが必要になる。その点、XMF Remoteを使えば、手軽かつ安全にデータを送付することが可能だ。これも、校正作業の時間短縮に大きく寄与している。

 

■紙とデジタルの融合も視野に、新しい販促手法を模索

 XMF Remoteの導入によって、チラシの制作に関わる時間や労力を大幅に削減し、印刷会社まで含めた働き方改革につなげている上新電機。今後も同社はチラシを重要なプロモーションツールとして活用していく考えだが、一方で、消費者の「新聞離れ・紙離れ」が進む現状に対して強い危機感を持っており、時代に合った新たな販促手法も模索しているという。柳澤課長は最後に、印刷会社への期待も込めてこう語った。

「最近ではさまざまなデジタルメディアが存在感を高めてきていますが、現時点では、少なくともそれら単体ではチラシやDMに代わるほどの効果的な販促媒体にはなっていないと感じています。ただ、やはりこれだけ速いスピードで社会が変化していく中で、現状のままというわけにもいかないでしょう。コンテンツをつくるという部分は今後も変わらないと思いますが、それをどんなメディアでどのように展開していくか。印刷物とデジタルの融合も視野に入れ、印刷会社さんやIT企業さんにも知恵をお借りしながら、新しいプロモーションのスタイルを見出していきたいと考えています」

 

 

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