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第7回 中国デジタル出版業の現状分析を語る (前編)

IGAS2011 eBook Forum 中国新聞出版研究院院長・郝振氏 

去る916日~21日の6日間、東京ビッグサイトで国際総合印刷機材展『IGAS2011』が開催されたが、印刷会社の視点で見た電子出版の現状と将来と題して「IGAS2011 eBook Forumが併催された。ここでは、第1弾として中国の講演者中国新聞出版研究院院長の郝振省氏の講演内容を紹介する。中国の電子書籍市場は、活況を帯びているようで、近年の市場の拡大ぶりは目を見張るものがある。郝振氏『中国デジタル出版業界の現状分析』をテーマに、中国でデジタル出版業がどのように発展し、どのようなビジネスモデルが台頭してきているのか、また、中国デジタル出版物の特徴、発展するための課題、印刷業に対する影響およびその対策に関する考え等を述べた。

 

中国新聞出版研究院院長の
郝振氏(左)

 【中国デジタル出版業の発展状況について】

 中国おいては、電子書籍という概念ではなく、デジタル出版という概念で、電子書籍発行、インターネット出版、携帯電話出版など新しい出版発行モデルを統括しています。

 私たちのデジタル出版概念に対する定義は、デジタル技術を用いてコンテンツを編集し、ネットワークを通じて、そのデジタルコンテンツ製品を広める新たな出版モデルのことを指します。コンテンツ制作のデジタル化及び販売ルートのネット化などが、デジタル出版の主な特徴です。

 この定義に基づいて、デジタル出版製品は、電子書籍、デジタル新聞、デジタル雑誌、ネットオリジナル文学、オンライン教育出版物、ネットマップ、デジタル音楽、ネットアニメ、ネットゲーム、データベース出版物、携帯電話向け出版物(MMS、着信音、携帯電話新聞、携帯電話雑誌、ケータイ小説、携帯電話ゲーム)などを、主な形態として含んでいます。

 デジタル出版製品を広めるルートは、主にインターネット、移動通信網及び衛星ネットワークになります。

 私たち中国新聞出版研究院は、2006年から中国におけるデジタル出版の全体的な規模を知るために統計を行ってきました。それによると、2006年から今まで、中国におけるデジタル出版業の総売上は、次のとおりです。2006年が213億元、2007年が362.42億元、2008年が556.56億元、2009年が799.4億元、2010年が1051.79億元となっている。2010年の売上は、2006年より約5倍に増えており、年間平均成長速度は49.73%になっています(毎年約1.5倍平均で伸びているということ)

 2010年、中国における出版、印刷と発行サービス業は、12,698.1億元の売上を達成した(1元=約12)。そのうち、印刷・複製(出版物印刷、包装装飾の印刷、他印刷物などを含め)の総売上は8,178.2億元に達し、前年比2,120.6億元増加しました。印刷業営業総額は、新聞出版業営業総額の64.4%を占めています。

 

【中国デジタル出版業の主なビジネスモデル】

 第1のモデルは、オンライン科学技術データベースの出版モデルです。これは、シュプリンガーリンク、エルゼビア・ベーフェー、ジョンワイリー・アンド・サンズのようなモデルに類似する、中国において同方知網、万方データ網、龍源刊網、方正Apabi、超星、書生、中文オンラインなどのデジタル出版企業に当たります。

 第2のモデルは、ネットオリジナル文学出版モデルです。このモデルの代表者は、盛大文学という企業である。盛大大学のオンライン有料閲覧のモデルは、国際的にみても非常に特色がある1つのデジタル出版モデルです。

 第3のモデルは、携帯電話出版です。中国におけて携帯電話出版は、中国移動、中国電信、中国聯通という3大携帯電話事業者が主体になって運営・開発を行っています。出版社や文学サイトなどコンテンツ事業者たちは、約30%だけの収益を取得するのに甘んじています。

 第4のモデルは、電子書籍リーダーの出版モデルです。漢王科技の「電紙書」は、盛大大学の「錦書」BAMBOOK、上海世紀出版集団の「辞海」リーダー、中国出版集団の「大佳」リーダーがあります。これらの電子書籍出版モデルのうち、各社の電子書籍リーダーは、アマゾンのビジネスモデルに類似しており、基本的に端末をコンテンツと一体に運営するモデルを採用しています。

 第5のモデルは、タブレットPC向けの出版モデルです。20102月、アップルのiPadが登場してから、中国でもaigoLenovoなどのコンピュータメーカーからもそれぞれ独自のタブレットPCが登場しました。タブレットPCの普及に伴い、インタラクティブ出版、マルチメディア出版などのモデルも生まれました。タブレットPCに基づく出版モデルは、基本的にアップルの方法を採用して、オープンなコンテンツAPPプラットフォームを設立しました。コンテンツプロバイダは、プラットフォームに協力し、コンテンツをアップロードする読者も有料でダウンロードしています。

伝統的な出版機構の多くは、そのコンテンツをデジタル出版企業に提供して、デジタル出版企業がフォーマットを転換し、デジタルコンテンツにしています。中国においては、コンテンツのデジタル化に業務を展開している印刷企業は非常に少ないです。その原因は伝統的な紙媒体のコンテンツを作成することは、印刷企業の担当する業務ではなく、出版企業自身がそれを行うため、印刷企業はそれに応じる基本的な条件を備えていないからです。

 

【デジタル出版物閲覧の娯楽化、断片化、浅く読む特徴】

 中国デジタル出版の各種の内容と閲覧モデルから見ますと、デジタル閲覧は、娯楽化ね断片化、浅く読むという特徴が典型的です。これらの特徴は、デジタル出版キャリア、閲覧モデル、閲覧のコンテンツなど各側面の原因によるところがあります。

 断片化の閲覧とは、携帯電話SMS、電子書籍リーダー、インターネットなどの端末で断片的な時間を利用して、断続的に閲覧を行う一方、短くて断片的なコンテンツ、及び閲覧中いつでも中止できる、断片的な構造さえもないコンテンツを閲覧するモデルということです。

 長期にわたりパソコンは、デジタル閲覧の主なプラットフォームでしたが、パソコンのスクリーンのちらつきや解像度が低いため、長時間の閲覧に相応しくありませんでした。長い間にデジタルコンテンツへの閲覧には、断片化、浅く読む傾向が強くなってきたわけです。

 携帯電話はスクリーンが小さいため、長時間の閲覧に相応しくないため、閲覧時間の断片化に伴って、閲覧内容の娯楽化という特徴をもたらしました。

 

<次回、後編に続く>

 

講演者のプロフィール

Mr. Hao Zhensheng President of Chinese Academy of Press & Publication

郝振氏は中国新聞出版研究院院長のほか、中国印

刷博物館館長、中国印刷技術協会副理事長等の要

職を兼任。同氏は National Social Science Fund

の受託研究プロジェクトにも取り組んできてお

り、G eneral History of Chinas Publishing

Industryは最優秀の評価を得ている。また同氏

の率いるリサーチチームにより中国における購

読傾向のサンプル調査中国出版調査報告

国際出版調査報告 中国電子出版業界年鑑

中国民間書籍産業年鑑などの調査報告が発行

され高い信頼を得ている。

 

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