印刷・出版業界向けデジタル・コンテンツ・ビジネスに関する情報サイト

FUJIFILM 「守り」から「攻め」の環境対応へ。

インタビュー&レポート

spacer

記事一覧へ >>

第8回 中国デジタル出版業の現状分析を語る (後編)

IGAS2011 eBook Forum 中国新聞出版研究院院長・郝振氏

去る921日、東京ビッグサイトで開催された国際総合印刷機材展IGAS2011ので「IGAS2011 eBook Forum」で、中国新聞出版研究院院長・郝振氏が講演を行った。前編に引き続き後編を紹介する。



【デジタル出版業の発展における課題】

 第一に、品質の高いコンテンツが乏しくて、均質性現象が深刻です。“優れたコンテンツが王様”という言葉は、デジタル出版においても事実です。しかし、現在ではデジタルコンテンツのプロバイダとサービスプロバイダーの調整が必要で、品質の高いコンテンツの欠如は、デジタル製品のブランドの創出と構築に害するのみならず、均質になることをも引き起こしやすくしています。

 第二に、デジタル出版の著作権を保護するメカニズムはまだ確実に構築されていません。現段階で、デジタル出版の著作権保護メカニズム(技術、ライセンスモデル及び保護システムなど)は、まだ不完備です。現在の法律は、デジタル出版に対して明らかに遅れているため、さらなる修正や補充する必要があります。

 第三に、コンテンツの配信の視点でのデジタル出版物の標準的確立は遅れています。携帯電話出版、ネット出版、アニメ出版、ネットゲーム出版、データベース出版など、新たな出版分野の基準化業務は始まったばかりで、企業間の基準は、一致していません。調和しづらいので、目下それを統一することはできていません。

 

【デジタル出版業の動向】

1.  コンテンツ制作者、プロバイダは定価権を把握する。

デジタル出版技術は、最初からずっとデジタル出版産業の発展をリードしてきており、技術プロバイダの産業チェーンにおける位置付けは、より主導的となっています。技術プロバイダと比べると、コンテンツ制作者、コンテンツプロバイダはずっと弱い立場に置かれ、それに応じて発言権と主導権も少ないのが現状です。

 これは彼らのデジタル出版に参入する情熱及び創作・作成の意欲にかなり悪影響を与えています。電子書籍産業の発展に伴い、コンテンツプロバイダと通信事業者、技術プロバイダの間に、収益分配の調整が進んでいます。近い将来には産業の発展需要と積極的な努力に基づいて、コンテンツ制作者とプロバイダは、デジタル出版製品の定価権を徐々に把握できるようになることが望まれています。

2.  モバイル出版はさらなる発展をし、デジタル出版の主要モデルになる可能性がある。

 携帯電話出版は、目下発展の最も速やかなデジタル出版モデルです。3G、無線検索などの技術の整備と発展に伴って、携帯電話端末ソフトウェアが日に日に完備され、豊かになり、携帯電話出版におけるオリジナルなコンテンツがますます増えています。

 携帯電話出版業界規範及び関係法規もだんだん完備され、収益モデルも徐々に明確になってくることで、携帯電話出版は継続的に発展し、栄えることができるでしょう。しかも、未来のデジタル出版の主な収益モデルになる見込みがあります。

 タブレットPCとスマートフォン閲覧モデルの表れは、コンテンツ閲覧をインタラクティブゲームと結び合う新たな出版モデルとメディア形態の発展を大いに促進させました。インタラクティブなマルチメディア出版モデルは、全く新しい出版モデルであり、新しい閲覧方式とも言われています。伝統的出版、またはデジタル出版に対しても、革命的な変化とも言えます。今後、インタラクティブ出版は、主要モデルになれる可能性があります。

 

3.デジタル出版は、『クラウド』に浮かんでいるようになる】

 クラウドコンピューティングは、IT業を席巻し、インターネット時代のデジタル出版にとっては、クラウド出版時代に入るのは時代のトレンドです、出版産業に対して統一的なオンラインデジタル出版総合サービスクラウドプラットフォームを構築することによって、分散した、断片化した出版リソースを全体的な「クラウド」に統合することは、出版社にとってはいいことです。クラウド出版プラットフォームを通じて、出版社は社内リソースに対して暗号化もできるし、発行ルートを選んで授権し、安全配信もできます。

 

4.読書と別れる? 伝統的読書は危なくなる

 モバイルネットワークと通信が結び付いたインタラクティブ型出版と読書、すなわちソーシャルネットワーク型の出版やウィキ式出版と読書、断片式出版は徹底的に第一代と第二代のデジタル出版モデルを転覆させる可能性があります。伝統的意味における読書の重要さはますます低くなる一方で、読書と思考が衰えています。この結果、人々は多くの情報を取得できるが、システム的な知識、理性的な考えが欠けつつあります。多くの人は、情報は持つが知恵がない、または知識は持つが思想がない、という人になってしまいました。「iPadを使えるオランウータン」というのは、この現象の描写です。

 

【デジタル出版業の発展における印刷業に対する影響およびその対策に関する考え】

 デジタル化、情報化の技術の条件で、伝統出版業は巨大なチャレンジを余儀なくされています。同時に、印刷業にも大きな衝撃及び悪影響を与えています。

 第一は、デジタル出版物の影響により伝統的出版印刷業の成長が抑えられています。伝統的紙媒体の出版物の市場シェアの下落は避けられません。

 第二は、デジタル印刷技術の影響で、革新的で便利なオンデマンド印刷は印刷業界に大きな影響を与えました。印刷業にとってデジタル化は、不可逆的なトレンドです。こういう背景で、印刷業はどのように対処すれば良いのか? 次のいくつの見方を提案します。

 第一には、印刷業務モデルを統合し直し、デジタル時代の印刷業の新しい要求に適合する必要があります。伝統的な印刷物の特徴的な“物理的なメディア変換+保管+配送”に対し、デジタル印刷は”高度のデジタル情報処理と伝送“が中心となり、これは多くの出版社や印刷会社に変革を求めるようになります。これにより印刷会社のビジネス範囲は伝統的な印刷から、オンデマンド印刷やメディア加工へと広がります。このような変化に対応するために印刷会社は、設備、組織、管理体制を大幅に変えていかなければなりません。

第二には、コンテンツの有効な活用と、積極的な付加価値サービスの提供です。伝統的な出版でもデジタル出版でも、どちらもコンテンツ産業であることには変わりありません。デジタル技術の進歩により、デジタルコンテンツとリソース管理の付加価値が注目されてくるようになりました。一部の出版社や印刷会社は自社の技術、設備、人材により、デジタルコンテンツと付加価値サービスを提供することができます。これにより、新しい成長の糧を見つけることができます。印刷会社は印刷以外のサービスを提供する機会が増えています。印刷業における、このようなサービスのメリットは、ビジネスと収益の拡大が見込まれます。

第三に、伝統的印刷会社から新たな出版サービス提供者、コンテンツ加工者、総合サービス提供者などまで業務転換することができます。付加価値サービスの発展に伴い、印刷会社は自社の中核競争力さえも構築し直す可能性もあり、業務の転換と拡大を遂げるでしょう。この方面で、中国の雅昌印刷の成功事例を挙げることができます。

中国雅昌は、もともと1つのカラー書籍印刷会社であった、国際上のオークション競売所の芸術品オークションの写真パンフレットの制作印刷業務を長期的に担当してきました。同社はこのチャンスを十分に利用して、大量の芸術品デジタル資料を収集し、規模の大きいデジタル芸術品写真データベースを作り上げました。この写真データベースは、企業の印刷業務を強力に支持していくことができます。

一方、芸術品データベースを利用して、オークション写真ネットワーク、雅昌芸術サイト及び雅昌オークション取引インフォメーションネットワークを作り上げました。世界中で、一番大きな中文芸術品写真データベースサイトと芸術品オークション取引インフォメーションネットワークになりました。この事例は、皆伝統印刷会社が新しい技術、アイデアを採用して、付加価値の高いサービスを通じて業務の転換と拡大を遂げた典型的な事例で、他の伝統印刷会社の参考にすべき事例と言えます。

 

今日、デジタル化、情報化、ネットワークなどの技術は革新を続けています。印刷産業は情報化社会と近代文明のかけ橋となる世界的なプラットフォームとなりました。デジタル印刷はデジタル化技術とネットワーク技術をフルに活用し、グローバルベースのオンデマンド印刷とサービスを実現します。これは時間や場所の制約を受けないものになります。このことからデジタル印刷は書籍、パッケージ、カードなどの各種印刷物のオンデマンドサービスを提供していきます。

 

 

記事一覧へ >>

インタビュー&レポート 出版・印刷産業の最新動向を探る!

「デジタルブック」作成システム My PAGE View