ニュースリリース
2024.03.01
◆モリサワ 「UDデジタル教科書体」開発担当者の高田裕美氏が第23回「佐藤敬之輔賞」個人部門を受賞
株式会社モリサワ(代表取締役社長:森澤彰彦 本社:大阪市浪速区敷津東2-6-25、Tel:06-6649-2151 代表、以下モリサワ)が提供する「UDデジタル教科書体」などの開発を担当した書体デザイナー高田裕美氏が、NPO法人日本タイポグラフィ協会による第23回佐藤敬之輔賞(個人部門)を受賞した。
佐藤敬之輔賞は、タイポグラフィに関する革新的な提言、研究発表、デザイン教育などで活躍された佐藤敬之輔氏を賞名とし設置された賞で、タイポグラフィの分野で活動する個人・団体に贈られるもので、今回受賞した高田裕美氏は、今年で書体メーカーでの業界歴が40年目となる。長年の書体デザイナーとしての経験を活かし、子どもたちの学びを支援するUD(ユニバーサルデザイン)フォントの開発と普及に貢献したことなどが評価された。
高田氏は株式会社タイプバンク(以下タイプバンク)において、師事したタイプディレクター 林隆男氏の書体制作の精神を受け継ぎながら、当時のビットマップフォントデザインをはじめ、その時代に求められる数々の新しい書体開発に取り組んだ。「タイポス」のデジタル化や「TBUD書体シリーズ」などのリリースに尽力したほか、ロービジョン研究の第一人者である慶應義塾大学 中野泰志教授との出会いから、現場のヒアリングをもとに、約8年の歳月をかけて「UDデジタル教科書体」を開発した。
「UDデジタル教科書体」は、学習指導要領に準拠し、書き方の方向や点・ハライの形状を保ちながらも太さの強弱を抑え、ロービジョン(弱視)、ディスレクシア(読み書き障害)に配慮したデザインで、読みやすさについてのエビデンスも取得している書体である。「UDデジタル教科書体」と、「TBUD書体シリーズ」をもとにした「BIZ UD明朝/ゴシック」は、2017年の「Windows 10 Fall Creators Update」以降のWindows OSに標準搭載されたことから、教育現場やビジネスシーンなどで幅広く活用されている。
2017年の吸収合併により、タイプバンクからモリサワへ移籍した後も、高田氏は未来を担う子どもたちの学びに即した書体の普及活動を行っている。ロービジョン、ディスレクシアや視覚過敏、視覚認知の困難といった、人によって異なるさまざまな特性と、それに伴う多様な読みやすさという社会的課題に焦点を当て、フォントや組版に配慮することの大切さを、執筆や講演活動などを通じて紹介してきた。これからも、UDを実現する一歩として、読み書きに困難を抱える子どもたちの学びを支援していくとのことだ。
高田裕美の受賞コメント
今回は「佐藤敬之輔賞」に選んでいただき、ありがとうございました。大変光栄であるとともに、私が業界に入るきっかけになった林隆男氏や歴代のタイプバンクメンバーと一緒にいただいたようで、感慨深く感じています。タイプバンクでの仕事と、林氏の妥協を許さないデザインへの姿勢が、今の私の礎となっています。
これを励みに、これからも情報格差のない社会を目指し、フォントや組版の研究に取り組み、デザインの力で社会から障害を減らせるよう邁進していきたいと思います。
プロフィール
高田裕美氏(たかたゆみ)
女子美術大学短期大学グラフィックデザイン科卒業後、ビットマップフォントの草分けである林隆男氏が設立したタイプバンクに入社。書体デザイナーとしてさまざまな分野のフォントの企画・制作を手掛ける。2017年 モリサワに吸収合併後、書体の重要性や役割を普及すべく、教育現場と共にUDフォントを活用した教材配信、講演やワークショップ、教育系の雑誌や学会誌への執筆、取材対応など広く活動中。23年に初の著書「奇跡のフォント」を時事通信社より出版。
UDデジタル教科書体の詳細は以下より
https://www.morisawa.co.jp/topic/upg201802/
2024年4月発行の「日本タイポグラフィ年鑑2024」に特集として、受賞者の業績内容が掲載されます。
(発行:PIE International 編集:NPO法人日本タイポグラフィ協会)
●同件に関する問い合わせ
株式会社モリサワ コーポレート・ブランディング部 広報宣伝課
E-mail:pr@morisawa.co.jp
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