ニュースリリース
2025.04.16
◆富士フイルムグラフィックソリューションズRevoria Press PC1120導入事例――大村印刷株式会社 多彩な特殊トナーと優れた用紙対応力を活かし、小ロット・高付加価値ニーズに対応 オフセットを凌駕する特色再現性にクライアントからも高い評
山口県を拠点に、印刷を中心とした情報ソリューション事業を展開する大村印刷株式会社(本社:山口県防府市西仁井令1-21-55、代表取締役社長:河内和明氏)は、2022年2月、富士フイルムのプロダクションカラープリンター『Revoria Press PC1120』(以下PC1120)をいち早く導入し、小ロット・短納期のジョブを中心に、主力の出版印刷からパッケージ印刷まで幅広く活用している。具体的にどのような仕事で、どんなメリットが得られているのか。製造本部部長・工場長の徳本仁氏と、実際にPC1120での出力を担当する製造本部 出力・POD課の高山奈緒子氏、徳永恭子氏に伺った。
■充実した設備環境と万全の品質管理体制
この充実した設備環境で高い生産能力を確保すると同時に、同社では品質管理の一環としてセンシング技術の導入を積極的に進めており、オフセット枚葉機や製本システムなどに高精度な検査装置を装備。人の目だけに頼らない万全の検品体制を敷く。製本工程においては、AI搭載の検査装置へのグレードアップを計画している。
左から、徳本工場長、高山課長、徳永氏
現在の印刷設備は、オフセット機が輪転機3台、枚葉機4台(UV5色機×1、UV8色機×1、油性2色機×2)で、枚葉UV機がカラー印刷の主力となっている。デジタル機は、PC1120に加え、封筒出力などに使用する『Versant 3100 Press』の2台体制だ。 大村印刷は、1921年に創業し100年以上の歴史を誇る老舗印刷会社。山口県防府市の本社を中心に、山口県内2カ所と東京・大阪・広島・福岡に営業拠点を置き、企画・デザインから印刷・製本、発送までの一貫体制を確立。小松印刷グループの一員として出版・商業印刷事業を展開し、とくに出版印刷における品質の高さと柔軟な対応力には定評がある。近年では、印刷物製作だけに留まらず、デジタルサイネージの導入・運用支援、VRコンテンツの制作、ドローン撮影など、クライアントの課題に応じてデジタルメディアも組み合わせた多彩なサービスを提供している。
■オフセット並みの品質と安心の保守サービスが決め手に
デジタル印刷機についても、品質重視の姿勢を貫いている。PC1120の導入前には、同じく富士フイルムの『Color 1000 Press』を約10年にわたり主力機として活用していた。徳本工場長は同機を「ハイエンドのモデルだけあって非常に安定性が高く、生産機として安心して使えるいい機械だった」と評価するが、保守契約期限の関係から新機種への入れ替えを決定。PC1120のほか、2社のトナー機を候補に入れて検討を進めたという。
「機種選定にあたって重視したポイントの一つが、オフセットと遜色のない品質であることです。オフセット機と共存運用することを想定していたので、これは重要な条件でした。その点、PC1120の仕上がりは、普通に見ただけではオフセットと見分けがつかないレベルで、解像度や表裏見当精度も含め、申し分のないものでした。営業もサンプルを見て高く評価していましたね」(徳本工場長)
また、PC1120の選定理由について、高山課長はこう付け加える。
「以前から、名刺やチケットなど、クリアトナーを使った小ロットの仕事を定期的に受注しており、これらを引き続きデジタル印刷機で対応したいという思いがあったので、さまざまな特殊トナーが使えるPC1120は非常に魅力的でした。そしてもう一つ、大きな決め手になったのが、保守サービスです。Color 1000 Pressを運用してきた中で、富士フイルムさんの対応の速さ、的確さを実感しており、この安心感は現場にとって外せない要素でした」
生産現場と営業、双方の要望を高いレベルで満たす機種として、最終的にPC1120の導入を決定。2022年2月から運用を開始した。
作業性が大幅に向上している
■特殊トナーを駆使し多様な付加価値ニーズに応える
PC1120の用途としては、名刺、DM、チケット、チラシ、パッケージなどさまざま。バーコードやナンバリングといった可変要素の入った印刷物も多い。会社案内などの中綴じ冊子は、オプションのフィニッシャーによりインライン製本を行ない、効率化を図っている。実運用の印象を徳本工場長はこう語る。
「PC1120は色味や表裏見当の変動が非常に少なく、小ロットカラー印刷の主力生産機として期待通りの品質・安定性を発揮してくれています。また、細かい文字などもくっきりと再現できる解像度の高さも大きな魅力ですね。とくに書籍の仕事などでそのメリットを実感しています」
特殊トナーは、クリア、ホワイト、ピンク、ゴールド、シルバー、TX(テクスチャード)を導入し、多種多様な付加価値ニーズに対応できる体制を整えた。特色を使用した際の仕上がり品質について、高山課長は「Color 1000 Pressと比べても一段と向上しており、お客さまからの反応もいい」と評価する。
「以前、少部数の賞状の印刷でゴールドトナーを使用したのですが、その色味や質感をお客さまが大変気に入ってくださり、その後3,000枚を追加発注いただいた際にも、オフセットではなくPC1120で出力しました。このように、通常であればオフセットで印刷する部数でも、お客さまからPC1120を指定されるケースもあります。また、人の肌の再現なども、ピンクトナーを使用することで『オフセットよりも発色がいい』とご評価いただくことが多いですね」
■エンボス紙や薄紙にも安定して出力
PC1120の優れた用紙対応力を活かし、エンボス系の特殊紙やフィルム素材などへの印刷もこなしている。
「最近は学習参考書などの書籍類も小ロットのものが増えており、しかも、表紙やカバーには、オフセットでは刷りにくい特殊な紙を使うケースも多いため、さまざまな用紙に対応できるPC1120のメリットが活きています」(徳永氏)
また、エアーサクション給紙トレイにより、重送などのトラブルが起きやすい薄手のコート紙なども、安定した出力が可能になったという。
「たとえば、医学系の論文を集めた冊子では、64g/m2のコート紙で約600ページといった仕様があるのですが、エアー給紙のおかげで、とてもスムーズに出力できるようになりました」(徳永氏)
一方、瞬発力の高さも大きなメリットにつながっているという。これには、毎分120ページという出力スピードに加え、従来機より一段と向上したRIP処理スピードによるところも大きい。高山課長は「以前よりも短納期対応しやすくなり、お客さまに喜んでいただけることが多くなった」と語る。さらにはこんなメリットも。
「営業部門から、『デザインと紙の風合いの組み合わせを何通りか見た上でお客さまに提案したい』とリクエストされることがあるのですが、そんなとき、すぐに数種類の紙をテスト出力して渡せるのも便利ですね。また、オフセット印刷のジョブでも、お客さまに提示するサンプルの作成にPC1120を活用するケースがあります」(高山課長)
■オフセットとの最適な使い分けで、さらなる効率化を目指す
今後、同社は、PC1120の特長を活かした独自の付加価値提案に、さらに磨きをかけていく考えだ。
「PC1120を運用している製造本部では、名刺やラベルなどでどんな加飾ができるか、あるいは他にどんな印刷物の提案ができるか、特色や特殊紙なども使いながら日々模索しています。『PC1120でどんなことができるか』がわかってくると、デザイナーの発想も広がり、いままでにない遊び心のあるデザインを生み出せるようになる。それをお客さまへの提案に活かしていきたいですね」(徳本工場長)
一方で、検品作業の負荷軽減、品質保証の観点から、最新の検査装置の導入も検討している。
「PC1120の自動検査装置は、当初のものからバージョンアップしていると聞いています。オペレーターの育成などを考えても、できるだけ事故のリスクの少ない環境をつくりたいので、ぜひ導入したいですね。また、現物のチェックだけでなく、データとの照合検査もできるということなので、とくにナンバリングの検査などは大幅に効率化できるのではないかと期待しています」(高山課長)
そして運用面では、「PC1120とオフセット機との最適な使い分けにより、印刷部門全体で生産性を高めていく」(徳本工場長)としている。
「最近はオフセット印刷でも小ロットの仕事が多くなり、ジョブ切り替えを頻繁に行なうため稼働効率が低下傾向にあります。そのため、デジタル機とオフセット機との分岐点などをあらためて検証し、より無駄のない生産を目指す必要があると感じています。また、デジタル印刷は、熟練の必要な作業がなく、クリーンな環境で、女性も含めて多様な人材が活躍できるという点でもメリットが大きいですから、積極的に活用していきたいですね」
デジタルとオフセットの両輪による「生産工程全体の効率化」。そして、PC1120の表現力を活かした「新たな価値の創出」。さらなる高みを目指した不断の挑戦により、大村印刷はこれからも着実に進化を続けていく。