ニュースリリース

2025年07月

2025.07.24

◆FFGS Jet Press 750S導入事例――株式会社リンクス 店頭ディスプレイのシビアなニーズに応える高画質・安定性が新たな強みに オフセットからの切り替えで現場の大幅な作業効率化・スキルレス化が実現

岐阜県を拠点に、店頭ディスプレイや商品パッケージなどの製作を手掛ける株式会社リンクス(本社 : 岐阜県関市倉知2639-1、代表取締役社長 : 吉田哲也氏)は、202411月に富士フイルムのインクジェットデジタルプレス『Jet Press 750S』を導入。小ロット・小サイズのディスプレイを中心に、オフセットからJet Pressへ切り替えを進めるとともに、パッケージなどの新規受注にも活用している。新たな主力生産機として、なぜJet Pressを選んだのか。そして、どんなメリットが得られているのか。代表取締役会長 吉田房生氏、本社 統括マネージャー 市原裕徳氏、製造部 マネージャー 猿渡真也氏に伺った。

 

   

左から、吉田会長、市原マネージャー、猿渡マネージャー

 

■簡単・コンパクトを追求した独自設計のディスプレイ

 リンクスは、19503月に、「吉田印刷社」として創業。今年で75周年を迎える老舗だ。同社が本社を置く岐阜県関市は、ドイツのゾーリンゲン、イギリスのシェフィールドと並ぶ「世界三大刃物産地」の1つとして知られ。市内には刃物産業に関わる企業が約400社集まっている。そんな環境にあって、リンクスは長年、包丁やハサミといった刃物のパッケージ製作をメインに手掛けた。

 1977年には東京にも拠点を設け、首都圏での新規開拓に着手するとともに、パッケージに特化していた事業内容をディスプレイ(販促什器)の分野にも拡大。高いアイデア力や設計・開発力が市場から評価され、順調に受注を伸ばし、現在は約8割をディスプレイが占めるまでになっている。

 設備面では、映画関係の看板など大サイズのアイテムにも対応するべく、A倍判の印刷機・加工機を導入し、効率的な生産環境を構築。さらに、デザイン・設計から印刷、加工、アッセンブリ、配送までの一貫体制を整え、短納期のニーズにも応えてきた。

 同社が手掛けるディスプレイは、フロアに自立させて使用するフロアディスプレイ、卓上に設置するカウンターディスプレイ、棚にかけて使用するハンガーディスプレイなど、サイズも形状もさまざまだが、いずれにも「組み立て簡単、コンパクト、環境に配慮」のコンセプトを貫いている。

 「いま、どのお店も人手が不足しており、ディスプレイの組み立てが煩雑だと使わずに廃棄されています。そこで私どもは『1秒、3秒、5秒で組み立てられる』というコンセプトに畳める構造にすることで運搬コストを抑えているほか、可能な限り紙を多用することで、脱プラ・減プラのニーズにもお応えしています」(吉田会長)

 こうしたクライアントの厳しい要件を満たし、かつ独創的で目を引く同社のディスプレイは、多くのメーカーや小売店から高く評価されており、また、『クリエイティブ・ソリューション・アワード』(日本プロモーショナル・マーケティング協会)、『日本パッケージングコンテスト』(日本包装技術協会)などで多数の賞を受賞している。

 

  

    簡単・コンパクトを追求したアイデア什器「秒シリーズ」

 (同社Webサイトから)

■印刷品質の高さ・安定性、加工適性などが決め手に

 そんな同社では、20年以上前に、当時珍しかったA倍判オフセット印刷機を導入し、長らく主力機として運用してきたが、老朽化が進み、品質トラブルも増えてきたことから、新たな印刷機の導入を検討することに。当初は最新のオフセット機への入れ替えも選択肢にあったというが、近年のさまざまな環境変化を鑑み、デジタル印刷機へのシフトを決断した。その背景として挙げられるのが、オペレーター人材の確保が困難になってきたことだ。吉田会長は現状をこう説明する。

オペレーターの高齢化が進む一方で、募集をかけてもなかなか人が集まらない。この状況は、当社だけでなく近隣の会社でも同様で、『仕事はあるが機械が回せない』という声をよく聞きます。また、オフセット機のオペレーターは育成にも時間がかかります。最近のオフセット機は自動化・スキルレス化が進んでいるとは言え、やはり機長として回せるようになるには数年単位の経験が必要になりますからね。しかし、デジタル印刷機であればそのハードルはぐっと下がります」。

 さらに、受注内容にも変化が起きているという。それは、小ロット・小型アイテムの増加だ。

「フロアディスプレイよりも、比較的小サイズのカウンターディスプレイやハンガーディスプレイの割合が増えてきましたからね。また、共通のアイテムを全国展開するケースは減り、エリアマーケティングに基づいて特定の地域で使用する、あるいは、一部の店舗でテストマーケティングを実施したいといった小ロットのニーズが高まっており、特にコロナ禍以降はその傾向が顕著になっています。こうした点でもデジタル印刷機の必要性を感じていたのです(吉田会長)

 オペレーターの確保、そしてディスプレイの小ロット化・小型化、オフセットからデジタルへのシフトは、こうした課題を踏まえた決断だった。では、数あるデジタル印刷機の中でJet Press 750Sを選んだ理由は何だったのか。

まず、ディスプレイやパッケージの厚紙にオフセットと同等の品質で安定した印刷ができること。そして、水性インクであること。これが大きな決め手になりました。当社では化粧品や食品、医薬品などのディスプレイを多く手掛けているのですが、これらの分野では、印刷品質はもちろん、臭いに対しても非常にシビアです。その点、UVインクでは臭気が残ってしまう不安がありました。また、UVインクの場合、折り曲げた際に割れやすくなること、貼り合わせた際に接着性を確保しにくく、剥がれてしまうリスクがあることなどから、水性インクの方が適していると判断しました(吉田会長)

 臭気の少なさや優れた加工適性、そして、オフセット機と遜色のない印刷品質。これらJet Press 750Sの特長に加え、補助金活用のサポートも導入を後押ししたという。

「タイミングよく省エネ補助金を活用することができました。これまで機資材メーカーさんに補助金の申請をお手伝いいただくことはあまりなかったのですが、今回、富士フイルムさんが非常に手厚くサポートしてくださり、とてもスムーズに手続きを進めることができました」(吉田会長)

 



 オフセットに代わる主力機として導入されたLet Press 750S
  現場のスキルレス化・効率化に寄与している。

 

■現場・クライアント双方の安心感が高まった

 リンクスに導入されたJet Press 750Sは、最大0.6mm厚まで通紙仕様。印刷スピードは標準機と変わらず、毎時3,600枚の生産性を発揮する。品質面では、世界的に評価されている『SAMBAプリントヘッド』と水性顔料インク『VIVIDIA』、インクの滲みを防止する『Rapic技術』の相乗効果により、さまざまな用紙で鮮明かつ自然な仕上がりが得られる。そのメリットは、さまざまな面で表れているようだ。品質面の評価について、吉田会長はこう語る。

「オフセットに全く引けをとらない色再現性はもちろんですが、最もメリットを感じているのは安定性の高さです。刷り出しから刷了まで色の変動がなく、日が替わってもブレることはありません。これは特にリピートの仕事で活きてきます。オフセットで前回の色に合わせるのは大変ですが、Jet Press 750Sなら手間をかけずに正確に再現できます。作業効率が格段に上がりますし、予備紙の削減にもつながります

 さらに、見当精度の高さも品質・生産性向上に寄与しているという。

Jet Pressはフィーダーなどにオフセット印刷機と同様の構造を採用しているので、それが効いていめのだと思います。ディスプレイの製作では、印刷後に複数の加工プロセスを経るため、見当が甘いと不良品の発生に直結します。ですから、見当精度は我々にとって非常に重要な要素です(吉田会長)

 一方、前準備や乾燥などが不要になることにより、効率面でもメリットが。猿渡マネージャーは「特にジョブ切り替えの作業負荷や時間の削減効果は大きい」と実感を語る。

「オフセット印刷では、4色分の版の装着、見当合わせ、色出しといった作業でね30分から1時間ほどかかっていましたが、Jet Pressなら、紙サイズが変わらなければジョブ切り替え時間はほぼゼロになります。そして、印刷後はすぐに後加工に回すことができる。小ロットジョブを多くこなしていく上で、この効率の良さは大きな魅力ですね

 さらに、スキルレス化という点でも効果が出ている。従来使用していたA倍判オフセット機にはベテランオペレーター3名がついていたが、Jet Press 750Sは、もともとDTPを担当していたという若手オペレーターが1人で使いこなしている。

2台、3台のデジタル機を1人でオペレーションできる体制が理想ですが、Jet Pressはそれを可能にする機会だと思います」(吉田会長)

 品質安定性や生産性の高さは、色校正においても活かされているという。

高精度な本機・本紙校正が手軽に行えるのは、社内だけでなくお客様にとっても大きなメリットになります。オフセットの場合、お客様が1日がかりで立ち会われることも多かったのですが、色変動のないJet Pressによる本機校正なら、それが不要になります。校了の色が本刷りでも約束されることで安心感も高まります。また、現場にとっては、色ムラなどによる刷り直しの不安がなくなり、作業面だけでなく精神的な負荷もかなり低減できると思います(市原マネージャー)

 

  

  

  Jet Press 750Sで印刷されたディスプレイ、パッケージの数々。
  高い品質と組み立て精度を要求されるものが多い

 

■パッケージなどの分野にも注力し、さらなる活用拡大を目指す

 導入からわずか半年あまりの運用で、多面的なメリットを実感しているというリンクス。今後は、Jet Press 750Sの強みを活かして紙器パッケージの分野にも再び力を注ぐとともに、展示会ビジネスにも取り組んでいく考えだ。

「ネットビジネスの普及に伴って、モノを売るスタイルは今後も大きく様変わりしていくでしょう。その中で当社としては、ディスプレイ製作だけにこだわらず、そこで培った技術を違う形で活かし、事業領域を広げていく必要があると感じています。その1つとしてアプローチを始めているパッケージ分野では、Jet Pressの色安定性がリピートの際のメリットになると思いますし、小ロット対応によって在庫を持つ必要がなくなることも売りになると考えています。展示会関係では、什器だけでなくグッズの製作なども含めた総合的な提案に取り組んでいく計画です」(吉田会長)

 こうしてJet Press 750Sの活用の可能性に期待を寄せる一方で、「課題もある」と吉田会長は語る。それは「インクジェットに対する先入観の払拭」だ。

「お客様の中には、まだ『インクジェットの品質はオフセットに劣る』というイメージを持ち、オフセットからJet Pressへの切り替えに抵抗を示す方も少なからずいらっしゃいます。その認識をいかに変え、Jet Pressのメリットを理解してもらうかが課題ですね。その一環として、昨年末から今春にかけて3回にわたってオープンファクトリーを実施し、200名ほどのお客様に来ていただきました。そこでJet Pressとオフセットの印刷物と見比べていただいたところ、『ほとんど区別がつかない』という声が多く、品質の高さを実感していただけたのではないかと、手ごたえを感じています。実際に一度Jet Pressを試されてお客様の多くは、その後も継続して使っていただいていますので、こうした地道な取り組みを通じて、Jet Pressの活用をもと広げていけると思っています(吉田会長)

 現在、同社では『リンクス デジタルファクトリー』の名称を掲げ、本社工場のデジタル化・自動化を推し進めており、Jet Press 750Sはその中核を担う存在だ。その実力がより広く認知されれば、新たな市場へのアプローチ、事業領域拡大に、さらに弾みがつくことだろう。

 

 

 

2025.07.23

◆モリサワ  Webフォントサービス「TypeSquare」のサービス提供を順次終了

株式会社モリサワ(代表取締役社長:森澤彰彦 本社:大阪市浪速区敷津東2-6-25、Tel:06-6649-2151 代表、以下モリサワ)は、このほど、Webフォントサービス「TypeSquare」の新規会員登録やプランの新規購入を20251125日(火)に終了するとともに、20271130日(火)にプランの更新受付を終了することを発表した。


TypeSquareは、Webサイトでモリサワのフォントを使用しているサービスとして2012年より提供してきたが、このほど、後継サービス「Morisawa Fonts」に役割を引き継ぎ、 TypeSquareのサービスを終了することとなった。20251125日をもって新規会員の登録、プランの新規購入を終了するとともに、20271130日をもって全てのプランの更新受付を終了する。

後継サービスMorisawa Fontsは、デスクトップフォントに加えWebフォントも提供するフォントサブスクリプションサービス。Webフォントにおいては特定のフォントのスタイルを事前登録し、必要なフォントファイルのみを配信する新たな方式により、TypeSquareよりも高速な配信とサイトパフォーマンスの向上が期待できる。TypeSquareを利用しているユーザーは、Morisawa FontsWebフォント各プランへの契約移行を勧めている。202511月下旬からは、年間4800PV以上に対応した新プラン「Webフォント Pro」も登場し、クラウドサービスや大規模なWebサイトなどでも利用できるようになる予定だ。

今後もモリサワでは、ユーザーのより快適なフォント環境の実現に向けて、サービスの改善や進化を続けていくとしている。

 

今後の予定

・新規会員登録 20251125日(火)まで可能

・プランの新規購入 20251125日(火)まで可能

※スタンダードプランⅠ・Ⅱのオプション(利用ドメイン数や書体数の追加、月契約のPV数超過)購入はサービス終了まで可能。

・更新受付 20271130日(火)まで可能

 ※全てのプランが対象となる。

・書体の追加・更新 今後の新書体も含めて、書体の追加や更新は予定していない。利用希望のユーザーは、後継サービスMorisawa Fontsの利用を検討するよう勧めている

 

Morisawa Fontsについて

Morisawa Fontsはクラウド型のフォントサブスクリプションサービス。グラフィックデザイン、WebサイトやプロダクトのUI/UX、映像や動画といったモーショングラフィックスなど、さまざまなクリエイティブスタイルに必要なフォント環境を柔軟に提供している。また、事業規模に応じたエンタープライズ要件に対応する機能も随時アップデートし、効率的なワークフローをサポートしている。年間4800PV以下のサイトで利用できるプラン「Webフォント」と、より手軽に導入できるプラン「Webフォント Lite」を提供している。202511月下旬からは、年間4800PV以上に対応した新プラン「Webフォント Pro」も登場し、クラウドサービスや大規模なWebサイトなどでも利用できるようになる予定だ。

 

Morisawa Fonts Webフォントについて詳細はこちら

https://morisawafonts.com/plans/webfont/

Morisawa Fonts Webフォント Proの詳細はこちら

https://www.morisawa.co.jp/about/news/16214

 

Webフォントとは

インターネットを介してフォントを配信し、Webブラウザで表示させる仕組みのこと。Webフォントを使ったWebサイトは、指定されたフォントが閲覧する側に搭載されていなくても、制作側で指定された書体が表示され、スマートフォンやタブレットなどでも同様に表示可能である。デザインに一貫性を持たせ、Webにおけるブランドイメージをより豊かに表現することや、Webフォントのテキスト情報によって、検索性アップやSEO対策が期待できる。

 

●同件に関する問い合わせ先

 https://typesquare.com/ja/question/

X(旧Twitter):@Morisawa_JP

Facebook@MorisawaJapan

※記載されている内容は、予告なく変更する場合がある。

※記載されている会社名・商品名は、それぞれ各社の登録商標または商標である。

 

 

2025.07.09

◆富士フイルムグラフィックソリューションズ  Revoria Press PC1120導入事例――門那シーリング印刷株式会社 除電機能により作業効率が大幅に向上し、こなせるジョブの量が約3倍に 優れた品質・用紙対応力を活かし、シールのみならずパッケー

大阪を拠点に多種多様なシール・ラベルの製造を手がける門那シーリング印刷株式会社(本社:大阪市西淀川区大野3-7-18/代表取締役社長:門那宏徳氏)は、20239月に富士フイルムのプロダクションプリンター『Revoria Press PC1120』(以下、PC1120)を導入し、除電機能を活用して生産効率アップを図るとともに、優れた用紙対応力・色再現性を活かしてパッケージなどの新規ジョブの獲得にも取り組んでいる。導入の経緯や具体的なメリットなどについて、代表取締役社長・門那宏徳氏、常務取締役兼製造部工場長・山﨑渉氏、製造部・髙山潤也氏に伺った。

   

 

■社内一貫生産によるスピード対応で厚い信頼を獲得

 門那シーリング印刷は、1976年、門那宏徳社長の父、門那進氏が奈良県で「門那シーリング印刷所」として創業したのが始まり。79年に大阪市へと拠点を移し、82年に法人化。以来、設備を拡充しながら堅調に成長を続けてきた。現在手がける製品としては、食品パッケージなどに貼付する商品表示シールから、販促用POPシール、キャラクターシール、案内表示ステッカー、フロアマットまで多岐にわたり、使用するメディアも上質紙からフィルム系までさまざま。生産設備も、間欠凸版輪転印刷機、枚葉オフセット印刷機、デジタル印刷機(トナー機)、各種加工機を揃え、デザインから印刷、加工、梱包、発送までを社内で完結する一気通貫体制を確立している。今年3月には、本社を現住所に移転するとともに、それまで3カ所に分かれていた工場を1拠点に集約し、生産環境のさらなる効率化を図った。

     

   左から門那社長、山崎常務、高山氏

「私どもの強みは、製造から梱包・発送までの全工程を短納期で完結できるよう、人や設備の体制を整えているところだと考えています。アイテムによっては、人手による封入作業などを行なうこともありますが、これらもすべて社内でこなすことができ、スピード対応が可能です。こうした点をご評価いただいて多くのお客さまからお仕事をいただけていると思っています」(門那社長)

 デジタル印刷への取り組みも、業界に先駆けて積極的に進めてきた。近年は他の印刷物と同様、シール・ラベル分野でも小ロット・短納期のニーズが確実に高まってきているが、同社では、そんな市場の流れに先んじて、かなり早い時期からデジタル印刷機を活用している。

2008年にモノクロ機を入れ、大手家電メーカーさんの仕事などで活用し始めたのが最初です。その後カラー機に入れ替え、徐々に活用の幅を広げていきました」(門那社長)

 一方で、ここ数年は、品質に対する要求も厳しくなる傾向にあるという。

「最近、アニメキャラクターなどを使った小ロットのステッカーの受注が急激に増えてきました。コレクションアイテムとしてシリーズで販売するものや、イベント会場で来場者に配布するものなど、用途はさまざまですが、キャラクターものは色再現などにかなりシビアですから、生産効率も追求しながら、いかに高い品質を提供できるかが重要になっています」(門那社長)

 

  

         静電気除去装置を装備したPC1120。出力後の作業負荷が激減し、生産効率が
     大幅に高まった

■圧倒的な除電効果の高さが導入の決め手に

 こうした背景から、「小ロット・短納期・高品質」の要望に応えられる新たな生産機を検討していた同社。当初は、ロールタイプのデジタル印刷機を検討していたという。そこからどのような流れでPC1120の導入に至ったのだろうか。

「シール印刷はロールメディアを使う仕事が多いので、実はPC1120を導入する直前まで、ロールタイプの機種を考えていました。ところが、ある大手のお客さまから、枚葉で月間10万ショット単位の受注をいただき、既存のPOD機ではこなしきれない状況になったため、急遽、枚葉タイプの導入が必要になったのです。そこで、タック紙などが安定して出力でき、スピードと品質に優れ、さまざまな付加価値がつけられるマシンはないだろうかと検討している中で、最有力候補に挙がったのが、以前FFGSさんのショールームで見せていただいたPC1120でした」(山﨑常務)

 他メーカーの同クラスのデジタル機も比較検討したそうだが、最終的にPC1120を選んだ理由について、山﨑常務はこう説明する。

「決め手になったのは、静電気除去装置です。当社ではタック紙だけでなくアルミ蒸着のフィルムなども通すことが多いのですが、いままでは帯電の影響で紙詰まりが起きたり、出力されたフィルム同士が貼りついたりして、かなりの手間がかかっていたのです。それだけに、PC1120の除電機能は大きな魅力でした。実際にデモを見せていただきましたが、同様の機能を持った他メーカーの機種と比べても、効果の高さは圧倒的でしたね

 現場の課題となっていた静電気トラブルを解消できそうであること、そして、品質や生産性、用紙対応力などにおいても同社の要件を充分に満たせるとの判断から、PC1120の導入を決定した。

 さらに、導入にあたっては、生産効率を最大限に高めるため、FFGSからの提案でジョブ分析を実施。受注している仕事の内容や現場での作業時間などをあらためて把握し、改善点を見える化した。

「オフセット機とPC1120へのジョブの振り分けを最適化するために、まず現在の状況を詳しく調べてみませんか? というご提案をFFGSさんからいただきまして。それは私もしっかり知っておきたいところだったので、お願いすることにしました。オペレーターがどんな作業をどれぐらいの時間でこなしているか、といった記録を約2カ月分提出して、分析していただいたんです。その報告書を見ると、オフセット印刷のどんなところで生産性が落ちているのか、どの作業でオペレーターによる時間のバラツキが大きくなっているのか、どのジョブをオフセットからデジタルに切り替えると効率が上がるのか、といったことがわかりやすくまとめられていて、非常に勉強になりました」(山﨑常務)

 

■静電気で貼りついたシートを剥がす労力が激減

生産現場のさらなる効率アップを期して、20239月にPC1120を導入。その活用効果について尋ねると、山﨑常務は「除電機能で作業が効率化できたことが大きい」と評価し、具体的な作業の変化についてこう語った。

「たとえば、毎年やらせていただいているゴミ処理券のシール。以前はまず凸版輪転機で台紙を印刷してからデジタル印刷機でナンバリングするという工程でした。ロットが1万~2万枚になるのですが、断裁前に静電気で貼りついたシートを1枚ずつ手で剥がして100枚の束にするのに、130分~1時間、さらに断裁後の丁合作業でもまた剥がす作業が必要になり、本当に大変でした。しかも納期が短く、社員総出で取り掛かっても残業しないと間に合わないこともあったのですが、PC1120導入後は、その労力が一気に3分の1ぐらいまで減りました。出力した後は、オペレーターがトントンと軽く揃えるだけですぐに断裁に回すことができます。10年以上ずっと苦労していた作業が、こんなに簡単にできるのかと感動しましたね

 PC1120のオペレーションに携わる髙山氏も、除電効果の大きさを実感している。

「いままで、帯電しやすいメディアでは加工にも制約があったのですが、PC1120の除電機能のおかげでそれがかなり解消されました。とくにフィルム系の素材を使う仕事の効率が大幅に上がり、毎分120枚というPC1120の出力スピードとも相まって、体感的には生産効率が3倍ぐらいは上がっていますね。実際、一日にこなせるジョブ数も劇的に増えており、いままで10件ほどしかできなかったのが2030件こなせるようになっています

 一方、用紙対応力についても「期待以上に優れている」と山﨑常務。多用途に使えるだけでなく、トラブルの削減にもつながっているという。

「これまでにいろいろな用紙を試していますが、ほとんど問題なく通すことができますね。最も頻繁に使用するのはタック紙です。タック紙は、原紙・糊・剥離紙という3層構造になっており、熱がかかりすぎるといろいろな影響が出てきます。他の出力機では、カールしたり糊が横からはみ出て紙詰まりの原因になったり、逆に温度を落とすと定着不良が出てきたりと、その調整が難しく、機械が途中で止まってしまうことも多かったのですが、PC1120は用紙に対するダメージが少なく、紙詰まりもほとんど起きないので安心して出力できます」(山﨑常務)

 出力品質についても、同社の評価は高い。髙山氏は「色味がきれいで、しかも非常に安定している」と太鼓判を押す。

「以前使用していた機種では、100枚通すだけでも色が変動してしまうことがありましたが、PC1120はそうしたブレがありません。また、CMYK4色はもちろん、シルバーやゴールドなどの特殊トナーの再現性も素晴らしく、お客さまからも非常に好評です。特色を使った仕事も徐々に増えてきています」(髙山氏)

 また、オフセットからPC1120へ移行するジョブも増えているという。

アニメやキャラクター関係のアイテムはとくに品質にシビアで、オフセットを指定されるお客さまが多かったのですが、PC1120の出力をお見せすると、問題なくOKをいただけることが多いですね。ですから、小ロットのものを中心にPC1120への切り替えが進んでいます」(山﨑常務)

  

  

     PC1120で作成したサンプルの数々。仕上がりに対するクライアントの評価も高い 

■設備拡充をさらに進め、新たな市場にもアプローチ

 品質、生産性、汎用性など、さまざまな面でPC1120のメリットを実感しているという門那シーリング印刷。今後は、設備の拡充をさらに推し進めながら、新たな領域にもチャレンジしていく考えだ。

枚葉のデジタル印刷機を本格的に活用しているシール印刷会社はおそらく他にないので、PC1120は当社の大きな差別化要素になっており、新規の受注が確実に増えています。PC1120がもう1台あってもいいぐらいですね。製造部門のビジョンとしては、将来的にデジタル印刷機だけで約40台、加工機なども含めた生産設備全体では100台規模の体制まで持っていきたいと考えています。質・量ともに生産能力を高めながら、仕事の幅をさらに広げていきたいですね」(山﨑常務)

 仕事の領域拡大への取り組みは、PC1120を活用してすでにスタートしている。

「いま力を入れ始めているのが、小ロットのパッケージ印刷です。先日、PC1120を使って製作したサンプルを展示会に出展したところ、予想以上に評価の声を多くいただき、手ごたえを感じたのと同時に、小ロットのオリジナルパッケージのニーズの高さもあらためて実感しました。展示会でのPRだけでなく、オリジナル商品をSNSで紹介したり、ECサイトで販売したりと、さまざまな形でプロモーションに取り組んでいます。設備面でも、パッケージの印刷から後加工まで社内で一貫生産できるよう体制を整え、より幅広いニーズに応えていきたいと考えています」(門那社長)

 50年近くにわたりシール・ラベル製造で培ってきた同社の技術力と、PC1120が持つ表現力との相乗で、パッケージ分野にどんな価値が生み出されるのか、今後の展開が注目される。

 

 

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