ニュースリリース
2025年10月
2025.10.27
◆富士フイルムグラフィックソリューションズ Form Magic 5導入事例 コトブキ印刷株式会社 大量のナンバリングや宛名印字の大幅な効率化を実現 デジタル印刷機との組み合わせで、活用範囲のさらなる拡大を目指す


江幡社長 後藤常務 若菜取締役 髙信氏 石間課長補佐
1951年創業のコトブキ印刷株式会社(本社:茨城県水戸市千波町2398-1、代表取締役:江幡修氏)は、2023年11月に富士フイルムの高機能自動組版ソフト『Form Magic』とフルカラープロダクションプリンター『Revoria Press EC1100』(以下、EC1100)を導入し、ナンバリング入り複写伝票や企業・団体の報告書など、従来オフセットで印刷していたジョブをデジタル印刷に移行し、工場の生産環境の効率化を実現した。Form Magic導入の背景や目的、導入効果、今後の展開などについて、代表取締役・江幡修氏、常務取締役・後藤孝之氏、取締役統括部長・若菜真氏、工務部生産課・髙信正男氏、DX推進室 室長 工務部企画デザイン課 課長補佐・石間美紀氏に伺った。
■「このソフトなしには仕事できない」という現場の声が決め手に
コトブキ印刷は、伝票類などの事務用印刷や報告書などの文字ものを中心に、商業印刷も手がける総合印刷会社。企画・デザイン・印刷・製本を社内で一貫して行ない、仕事の8割以上を内製化している。同社では、ナンバリングが入る複写伝票などの事務用印刷が売上の約4割を占め、重要な商材となっているが、その生産に不可欠なオフセット印刷用のナンバリング装置が故障し、部品の調達も難しくなっていた。そこで、バリアブル印刷が可能なソフトウェアとデジタル印刷機でこれらのジョブを生産することとし、システムの検討を進めていた。その結果、現場の声が決め手となり、Form Magicの導入に至ったという。
「デジタル機でナンバリングする際のバリアブルデータの作成や管理は、DTPソフトでは膨大な時間と工数がかかり、ミスにもつながりかねません。その解決策として、FFGSさんからご提案いただいたのがForm Magicです。現場スタッフがショールームでデモンストレーションを見学したところ、その処理能力を非常に高く評価していました。『このソフトなしには仕事できない』と(笑)。ですので、経営層にもそれを伝えました」(若菜取締役)
加えて、FFGSの手厚いサポートも導入決定を後押しした。
「EC1100と組み合わせて活用することが前提でしたから、何かトラブルがあった際、その原因の切り分けなども含めてワンストップでサポートを受けられることも大きな魅力でした」(若菜取締役)
こうしてEC1100と共に導入されたForm Magic。実際に同社にとって“なくてはならない存在”になっているという。
「繁忙期には1時間あたり約3,000枚、1日あたり1万5,000〜6,000枚を目安に、帳票などを印刷しています。また、Form Magic導入後、お店の特徴が伝わるオリジナルデザインの “小ロットのナンバリング入りフルカラー領収書”を新たに開発しました。これまで水戸市内の飲食店など30店以上に提案し、順調に受注件数を伸ばしています」(江幡社長)
■帳票制作を大幅に効率化でき、導入して本当に良かったと実感
Form MagicとEC1100により、同社の帳票ジョブは大幅に効率化された。たとえば、オフセット印刷用のナンバリング装置がなくなったことで、そのオペレータ1人分の作業が削減され、さらに納期も大幅に短縮された。
「オフセット機で印刷していた当時、印刷後は一晩置いて乾かさなければ製本作業に取りかれませんでしたが、いまでは午前中に印刷、午後に製本し、その日のうちに完成品を出荷することが可能になりました」(髙信氏)。
また、ナンバリング装置で印刷すると若い番号が一番下になるため、丁合を行なって並び順を戻す必要があったが、そうした作業も不要になった。
「ナンバリング装置は故障も頻発していたため、お客さまに納期を多めに見ていただいたり、協力会社に依頼したりして何とかこなしていました。帳票印刷をすべて外注することを検討した時期もありましたが、いまでは、Form MagicとEC1100によって内製を維持して本当に良かったと実感しています」(後藤常務)
■1万件単位のバリアブル組版もスピーディーに
導入後1年あまりの間は、Form Magicの活用は帳票ジョブが中心であったが、現在は封筒への宛名印字などにも活用の幅を広げている。もともと同社では封筒印刷を多く手がけていたが、最近は、会報などの印刷とセットで封筒印刷や封入封緘作業も発注されるケースが増えてきたという。
「先日は、約1万件のイベントのご案内と封筒を印刷し、封入封緘まで行なうという仕事を受注しました。せっかく案内をきれいにつくっても、宛名がラベルシールでは味気ないものになってしまいますが、その点、封筒に直接印字されたものは見栄えがよく、お客さまに喜んでいただいています」(江幡社長)
同社では現在、Form Magicのオペレーションが属人化しないよう、専任スタッフは置かず、工務部企画デザイン課でDTPアプリを扱うチームの4名全員が仕事内容に応じて扱える体制を整えている。
前述の1万件のジョブを担当した石間課長補佐はこう語る。
「実は、この仕事を受注する少し前に、Form Magicの専任担当者が退職してしまったんです。引継ぎも十分にできなかったので、Form Magicに関しては、FFGSさんに電話やメールで教えていただきながら操作を覚えていきました」
その結果、石間課長補佐はこの1万件分のバリアブル組版を、わずか数分で終えることができたという。
「DTPソフトを使っていたら、何時間かかったかわかりません。Form Magicのすごさを、身をもって実感しました」(石間課長補佐)。
また、別の封筒印刷の仕事では、3万部のボリュームだったが、8割ほど組版作業が終わった段階で、クライアントからデータを差し替えて欲しいという依頼があったそうだ。ここでも、Form Magicの圧倒的な処理能力が活かされた。
「差し替えデータを受け取ってからのバリアブル組版作業は、30分ほどで終えることができ、お客さまから感謝の言葉をいただきました。ベースの組版ができていれば、Form Magicでのデータの差し替えはあっという間ですね」(石間課長補佐)
一方、同社では、EC1100の導入を機に、名刺の仕事をすべてオフセット印刷からデジタル印刷へと切り替えたが、今後はこれらのジョブにもForm Magicを活用していく考えだ。
「Form Magicはとくに名刺の組版に強いと聞いているので、繁忙期となる春頃を目標に活用を始めたいと考えています。いま、FFGSさんにレクチャーを受けながら勉強しているところです」(後藤常務)。

Form Magicの高速組版処理により、従来のDTPソフトに比べ大幅な作業時間短縮・
負荷軽減が図れている
■新しいツールを採り入れながら、魅力ある印刷物を提供し続けたい
社会全体でデジタル化・ペーパーレス化が進む中、コトブキ印刷では、印刷物の良さを積極的に発信している。その一つが、新開発の「オリジナルデザインフルカラー領収書」だ。
「お客さまから、『お店でフルカラーの領収書をお渡しすると、きれいですねと反応をいただけたり、驚かれたりする』と伺って、とても嬉しくなりました。やはり、きれいなデザインの領収書は、そのお店の印象を高める効果があると思います」(江幡社長)
コトブキ印刷は今年、この商材で、富士フイルムBIが主催するコンテストプログラム『2025年度イノベーション・プリント・アワード(IPA)』(富士フイルムのデジタル印刷機器を使って製作された印刷物を作品として評価するコンテスト)に応募した。作品名は『One and Only Original Receipt』。同社にとって、初めての国際的コンテストへの挑戦であった。
「応募にあたっては、エントリーシートの作成から全社一丸となって取り組み、楽しみながら勉強もさせていただき、貴重な経験になりました。ぜひ、来年、再来年も頑張りたいと思います」(若菜取締役)
最後に江幡社長は、会社としての今後の事業姿勢について、こう語った。
「世界で最も古い印刷物は、日本の百万塔陀羅尼経と言われています。私は、印刷業を続けていく上で、温故知新の精神が大事だと思っています。今後も、古きに学びつつ、Form Magicのような新しいデジタルツールも採り入れながら、印刷が文化として残っていくよう、魅力的で質の高い印刷物を開発・提供し続けていこうと考えています」

2025.10.09
◆富士フイルムグラフィックソリューションズ Revoria XMF PressReady導入事例 株式会社帆風 デジタル印刷ジョブのリードタイムの短縮により機動力がさらに向上 基幹システムとの連携で生産工程全体の自動化も視野に


橋田次長 森川課長
東京都内に拠点を持ち、印刷からノベルティ制作、デジタルコンテンツ制作まで幅広く手がける株式会社帆風(本社:東京都新宿区下宮比町2-29、代表取締役社長:須藤高幸氏)は、2025年3月、富士フイルムのデジタルワークフローシステム『Revoria XMF PressReady』(以下、PressReady)を導入し、デジタル印刷ジョブの面付け作業の省力化などにより、リードタイムの短縮を図っている。今後、基幹システムとの連携によってさらなる生産効率アップを実現する計画だ。導入の背景や現時点での効果、今後の活用などについて、生産拠点である竹橋プリンティングセンターの次長・橋田和人氏、POD課 総合職課長・森川幸久氏に伺った。
■都心の大規模工場で超短納期生産を実現
帆風は、1980年に設立された『株式会社養誠社』を前身とする。91年にMac出力センターを開設、96年にオンデマンド印刷サービスを開始するなど、デジタル技術をいち早く採り入れながら業容を拡大してきた。現在、皇居にほど近い千代田区一ツ橋に2,100坪の大規模な生産拠点『竹橋プリンティングセンター』を設け、プリプレスから印刷・加工、配送までを同センター内で完結できる一貫体制を確立。東京23区内であれば入稿から2時間以内に納品というスピード対応を実現している。
受注窓口としては、営業・店舗(オフライン)と、Web(オンライン)を持つ。Web受注サイトは、帆風直営の『Vanfu Online Shop』と、グループ会社が運営する『Suprint(スプリント)』(株式会社ugo)、『イロドリ』(株式会社プリマリール)の計3サイトを設けており、それぞれ、取り扱い商材や価格帯などで特色を持たせている。現状、デジタル印刷ジョブの約65%がWebからの受注だという。
印刷設備は、枚葉オフセット印刷機が5台と、トナーのデジタル印刷機が5台。他に、名刺専用のデジタル印刷機2台と、封筒専用の軽オフセット印刷機21台を備える。加工から梱包、仕分けの工程では、独自の自動化ラインを構築。1日300件近くに及ぶ多種多様なジョブを、正確かつスピーディーに出荷する体制を整えている。
「東京都心に24時間稼働の生産ラインと自社のデリバリー部隊を持ち、都内のお客さまを中心に、高品質な印刷物を小ロット・超短納期でご提供できるところが、当社の大きな強みになっています」(橋田次長)
■属人的な面付け作業をいかに自動化するかが課題だった
同社ではこれまで、刷版の自動仕分け装置やAGV(印刷物自動搬送装置)など、自動化システムを積極的に採り入れ、生産工程全体の効率化を進めてきたが、ここ数年、デジタル印刷のジョブが増加する中で課題となっていたのが、プリプレス工程の省力化だ。入稿データを1件ずつ開いて面付けし、印刷機に送信するという作業に人手がかかり、しかも、ある程度経験を要するケースもあるため属人化していたという。

「従来は、面付け前のデータチェックもすべて人手で行なっていたのですが、独自に『ロボチェック』という仕組みを開発し、Web受注ジョブに関してはデータチェックを自動化しました。ただ、チェック済みのデータを面付けし、仕様に応じて5台あるデジタル印刷機に振り分けるという工程はオペレーターの手作業になっていたため、これを何とか自動化する方法はないかと考えていたのです」(橋田次長)
名刺やチラシなど、シンプルな仕様の面付けは、InDesignのスクリプトなどを使ってスムーズに行なえるようになっていたが、可変データが含まれているものや、複雑な加工を行なうジョブなどは、ポストプレスまで含めた知識が必要になり、作業者が限定されてしまっていたという。また、人が介在する以上、ヒューマンエラーが起こる可能性もあるため、タッチポイントをできるだけ減らすことによってそのリスクをなくしたいという意向もあった。そうした課題の解決策として着目したのがPressReadyだった。橋田次長は「導入に迷いはなかった」と語る。
「FFGSさんのショールームで開催されたイベントで、PressReadyをご紹介いただいたときに、『これだ!』と直感しました。まさに望んでいたソフトが出てきてくれたと。しかも、サブスクで導入できるとのことで、初期費用を抑えられるのはもちろん、環境の変化に柔軟に対応しやすいという点でも、非常に魅力的だと感じました」
2025年3月に導入し、第一段階として、ジョブ件数の多い定型サイズの面付けワークフローを設定し、運用を開始した。

PressReadyによって、属人性の高かった面付け作業がスキルレス化でき、
デジタル印刷の生産性が高まった
■リードタイムが1ジョブあたり10分短縮
PressReadyは、デジタル印刷のデータ入稿からプリプレス、印刷までを一括管理するソフトウェアである。複数台のデジタル印刷機向けのジョブを一元的に管理することができるほか、作業指示書を見ながら人が行なっている面付けや印刷指示などのプリプレス工程の作業を自動化することが可能で、オペレーターの負荷軽減、作業の標準化(属人化の解消)、ヒューマンエラーの削減、生産効率向上といったメリットをもたらす。
帆風ではまず、3つのWebサイト(印刷通販サイト)で受注するデジタル印刷ジョブについて、PressReady上で面付けし、各ジョブに適した印刷機に振り分けて印刷するという運用からスタートしている。
「面付け・印刷指示は、デジタル印刷機のオペレーターが行なっているので、PressReadyによってこれらの作業をスキルレス化できたことは、オペレーターにとって大幅な負荷軽減になっています。入社1カ月ぐらいの若手でも、グルーピングされたジョブを印刷機のプリセットと紐付いたフォルダに入れるだけで簡単に印刷できますから、印刷機での紙の入れ間違いさえなければ、誰でも確実にジョブを流すことができるようになりました。面付けのイージーミスもなくなっています」(森川課長)

24時間、多種多様なジョブが次々と入ってくる中で、デジタル印刷ジョブの65%にあたるWeb受注案件のスキルレス化が図れたことは、生産効率の面でも大きなメリットにつながっているという。
「PressReadyを通すジョブに関しては、リードタイムが1件あたり平均10分ほど短縮されています。入稿から納品まで2時間というスピードを追求している中で、10分の短縮は非常に大きいですね。その積み重ねで、月単位では何十時間、何百時間もの短縮になっています。また、定型サイズジョブの生産効率が上がったことで、カスタムサイズなどの付加価値の高い仕事に使える時間が増えたことも大きな効果です」(橋田次長)
デジタル印刷機の稼働効率もさらに向上している。
「PressReadyによって仕事がよりスムーズに流れるようになったことで、デジタル印刷部門の生産能力が一段と高まりました。この効果を活かし、オフセットで印刷していた小ロットジョブのデジタル印刷への切り替えを進めています。その結果、デジタル印刷機の出力量はPressReady導入前の1.5倍ほどになっています。受注件数そのものが増加していることもありますが、現在、デジタル機のカウンター数は1台につき月25万を超え、5台で100万カウンターに届きそうな状況です」(森川課長)

帆風では5台のデジタル印刷機を、紙種やサイズ、ロットなどによって使い分けている
■基幹システムとの連携で、受注から印刷までの完全自動化を目指す
現在、部分的な活用を始めている段階ではあるが、早くも明確な導入効果が得られているという帆風。今後は、Web受注だけでなく、オフラインで受注するジョブについても、PressReadyの運用フローに組み込み、デジタル印刷工程全体の効率化を進めていく考えだ。
「営業経由、あるいは店舗窓口で受注するジョブは、お客さまのデータが不完全なケースも多いため、現状、本社で人の目によるデータチェックを行なってからPDF化し、デジタル印刷のサーバーに入れる形をとっているのですが、これらのジョブも、ファイル名をルールに則って確実にリネームすれば、PressReadyを通すことができると思います。人手による入力を挟むとエラーのリスクが出てくるので、自動リネームツールなどを使ってミスをなくせば、すべてのデジタル印刷ジョブをPressReady経由で流すことが可能になるでしょう。ぜひ実現して、デジタル印刷の生産性をさらに高めていきたいですね」(橋田次長)
また、PressReadyと基幹システムとの連携フローの構築も進行中だ。入稿から印刷までのタッチポイントを最小化し、リードタイムのさらなる短縮を目指す。
「デジタル印刷の部門内に関しては、理想的なフローがかなりのレベルまでつくれるという手応えは感じています。特定のサイズ・紙種のオーダーが入ったときに自動で出力できるところまでは検証できているので、あとは基幹システムが書き出したCSVデータをPressReadyで受け取る環境が構築できれば、次の段階に進めると思います。CSVを書き出すときに、言葉や項目などを、PressReadyやデジタル印刷機と互換性がとれるようルール付けすれば、オーダーが入った瞬間に自動でジョブが流れる仕組みが実現できるのではないかと。将来的には、基幹システムの受注情報をもとにPressReady上で配送の自動振り分けも行ない、後工程まで含めた効率化を図れればと考えています」(森川課長)
導入当初の「面付けを中心としたプリプレス作業の効率化」という狙いは、受注から配送までの工程全体を見据えた自動化の取り組みへと発展している。橋田次長は最後に、「PressReadyを運用しながらさまざまな機能を知り、想像以上に多くのメリットが得られることがわかってきた。今後も、FFGSさんにアドバイスをいただきながら、より効果的な活用方法を見出していきたい」と期待を込めた。
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