ニュースリリース
2025年11月
2025.11.25
◆モリサワ クラウドサービスや大規模なWebサイトでフォント利用ができる新プラン『Morisawa Fonts Webフォント Pro』を提供開始
株式会社モリサワ(代表取締役社長:森澤彰彦 本社:大阪市浪速区敷津東2-6-25、Tel:06-6649-2151 代表、以下モリサワ)は、2025年11月25日(火)より、フォントサブスクリプションサービス「Morisawa Fonts」において、クラウドサービスや大規模なWebサイトでフォント利用ができる新プラン「Webフォント Pro」の提供を開始した。
Morisawa FontsのWebフォントは、豊富なフォントライブラリーの書体をWebサイト上で表示させるサービスとして広く利用されている。このほど提供開始した新プラン「Webフォント Pro」は、年間4,800万PV以上に対応したプランである。
大規模な利用でもフォントの高速かつ安定した配信を実現しており、大規模なコーポレートサイトやサービスサイト、ECサイトなどに加え、サイトを作成できるWebアプリ、画像作成サービスのエディターなどでもフォントを活用できる。一つのプロジェクトに多数のドメインや書体を登録でき、一括で効率的に管理・運用できる仕様になっている。また、利用規模や用途に合わせて専任担当者が個別に最適な方法を提案するとのことである。
Webフォント Proの詳細はこちら
https://morisawafonts.com/plans/webfontpro/
モリサワは、今後もサービスの提供を通じ、ユーザーのWebサイト上の自由な表現や快適な制作環境を支えている。
■Webフォント Proプラン概要
クラウドサービスや大規模サイトを運営するユーザーに利用できるプランである。WebサービスやWebアプリでのフォント利用も可能。
・大規模サイトなどでも利用できるPV数設定と配信方式
年間4,800万PV以上のPV数で利用可能。他プランのPV数などの上限を超える利用をしたい場合に利用できるプランである。大量配信時でも安定した表示速度を維持できる軽量・高速な配信方式を採用している。
・多数のドメインや書体を効率よく運用可能
一つのプロジェクトに既存のMorisawa FontsのWebフォントプランと比較して多数のドメインや書体を登録でき、一括で効率的に管理、運用することが可能である。
・プランの評価・検証ができスムーズな導入が可能
フォント設定や配信の仕組みを事前に再現・確認できるため、サイト移行や導入準備をスムーズに進めることが可能である。設定内容はそのまま本契約後にも引き継げるため、導入可否や運用イメージをしっかり把握したうえでスタートできる。
・専任担当者が個別に提案
利用用途・技術要件などに応じて専任担当者が個別に最適な方法を提案する。
詳細はプラン紹介ページを閲覧。
https://morisawafonts.com/plans/webfontpro/
「TypeSquare」サービス提供終了について
TypeSquareはWebサイトでモリサワのフォントを使用できるサービスとして2012年より提供してきたが、2025年11月25日(火)をもって新規会員の登録、プランの新規購入を終了するとともに、2027年11月30日(火)をもってプランの更新受付を終了する。今後は、後継サービスMorisawa FontsのWebフォントを利用すること。
詳細はこちら https://www.morisawa.co.jp/about/news/16213
Webフォントとは
インターネットを介してフォントを配信し、Webブラウザで表示させる仕組みのことです。Webフォントを使ったWebサイトは、指定されたフォントが閲覧する側に搭載されていなくても、制作側で指定された書体が表示され、スマートフォンやタブレットなどでも同様に表示可能である。デザインに一貫性を持たせ、Webにおけるブランドイメージをより豊かに表現することや、Webフォントのテキスト情報によって検索性アップやSEO対策が期待できる。
Morisawa Fontsについて
Morisawa Fontsはクラウド型のフォントサブスクリプションサービス。グラフィックデザイン、WebサイトやプロダクトのUI/UX、映像や動画といったモーショングラフィックスなど、さまざまなクリエイティブスタイルに必要なフォント環境を柔軟に提供する。また、事業規模に応じたエンタープライズ要件に対応する機能も随時アップデートし、効率的なワークフローをサポートできる。年間4,800万PV以下のサイトで利用できるプラン「Webフォント」と、より手軽に導入できるプラン「Webフォント Lite」に加え、この度提供を開始したプラン「Webフォント Pro」も登場し、クラウドサービスや大規模なWebサイトなどでも利用できるようになった。
Morisawa Fontsサービスサイトはこちら
●同件に関する問い合わせ
https://support.morisawafonts.com/hc/ja/requests/new
SNSでも最新情報を公開している
X(旧Twitter):@Morisawa_JP
Facebook:@MorisawaJapan
※記載されている内容は、予告なく変更する場合がある。
※記載されている会社名・商品名は、それぞれ各社の登録商標または商標である。
2025.11.21
◆富士フイルムグラフィックソリューションズ QC Navi導入事例 株式会社新進商会 新たに策定した色基準と年2回の定期診断により、品質の安定化を実現 作業の標準化が図れ、刷り出し時間が半減、生産効率が大幅に高まった


川口マネージャー 神宮路氏
PCなどの情報機器端末に関わるさまざまなアウトソーシングサービスを提供する株式会社新進商会(本社:東京都港区三田2-17-25、代表取締役社長:北田克仁氏)は、マニュアルやパンフレットなどの印刷・加工を手がける製造拠点『掛川プリンティングセンター』(静岡県掛川市光陽206)において、FFGSの総合カラーマネジメントソリューション『FFGS QC Navi』(以下 QC Navi)を活用し、印刷現場の作業の標準化、品質の安定化を図り、顧客の厳しい品質要求に応えている。QC Navi導入の背景にはどんな課題があり、それがどのように改善されたのか。同センターで主にCTP工程を担当するマネージャー・川口雅一氏と、印刷部門を統括する神宮路志郎氏に伺った。
■オペレーターが3年ごとに入れ替わる中で、いかに品質を維持するか
新進商会は、1940年に製図用品の専門商社として創業。80年代にソフトウェアコピー事業で大きく成長を遂げ、90年代以降はPC関連事業を基軸に、資材調達から製造、物流、品質管理まで 、さまざまなニーズに応える形でサービス内容を拡大してきた。現在は、国内10拠点(関連会社含む)に加え、中国、ベトナム、タイ、北米など海外にも拠点を設け、グローバルに事業を展開。各種情報機器端末の流通加工・梱包、メディア複製、フルフィルメント・物流センター代行、検品・検査代行、印刷・製本、キッティングなどを総合的に手がける。
掛川プリンティングセンターは、2010年に開設された製造拠点で、PCなどの商品に同梱する各種印刷資材(マニュアル、パンフレット、カタログなど)の製造を一手に担っている。本社でデザイン・制作し校了となったデータを受け取り、CTP出力から印刷、製本加工、梱包までを行なう。同じ建屋内に設けられたアッセンブリ(組立加工)工場との連携により、安定した品質の製品を短納期で提供できるところが強みになっている。印刷設備はオフセット機3台の体制で、菊全5色機が1台と菊全2色両面機が2台。カラー物は基本的に5色機で印刷する。
印刷事業のメインクライアントは大手PCメーカー。印刷物の内訳としては、マニュアルなどのモノクロ物の比率が高いが、カラーのパンフレットなども一定の割合で受注しており、品質にシビアなものが多いという。
「カラーの印刷物に関しては、美術印刷のような“絶対的な色のきれいさ”よりも、色がつねに安定していること、微細な汚れの付着がないことなど、工業製品としての品質の高さが求められるので、日頃の品質管理や検品体制が重要になります。しかも、リピート物も多いので、前回印刷したものと差が出ないよう、色の変動にはとくに注意を払っています」(川口マネージャー)
また、同センターでは、中国の技能実習生の受け入れを行なっており、各印刷機のオペレーションはすべて実習生が担当している。ただ、外国人技能実習は制度上、期間が3年までと定められているため、オペレーターが3年ごとに入れ替わることになる。こうした環境下でいかに印刷品質を一定に保つかが、これまで大きな課題となっていた。
「当然、人の腕に頼るやり方では成り立ちません。作業を標準化し、誰がオペレーションしても同じ色を出せる体制をつくる必要があります。ですから、より効率的に、かつ確実に色を管理できる仕組みを検討していました」(川口マネージャー)
■品質は悪くなかったが、職人的なやり方に課題があった
色管理の体制づくりに本格着手したのは、約6年前。CTPの更新がきっかけだった。
「富士フイルムさんの新しいCTPセッターと無処理プレートを導入することになったのですが、その際に色管理の課題について担当営業の方にお話ししたところ、とても親身に相談に乗っていただき、その中で具体的なサポートのご提案もいただいたのです。現状の印刷品質を詳しく分析した上で、色基準づくりから機械メンテナンスの改善までフォローしていただけるという、非常に安心感のある内容だったので、早速お願いすることにしました」(川口マネージャー)

当時、色品質そのものに大きな問題はなく、Japan Colorの範囲内にほぼ収まっており、顧客からクレームが入ることもなかった。ただ、色を合わせる際に明確な基準がなく、見本の色も安定しない中で“職人技”で調整していたことから、オペレーターの技量によって色がブレやすく、刷り出しに多くの時間を要していた。
そこで、まず印刷品質を詳細に把握するため、菊全5色機についてFFGSによる印刷診断を実施。その結果をもとに、「新進商会の基準色」をあらためて設定し、色合わせのターゲットを明確にした。ただ、この時点では、品質の安定化などに一定の効果はあったものの、依然として課題も残っていたという。
「当時、印刷部門を統括していたのは神宮路の前任者で、実習生のオペレーターを指導する際、従来からの職人的なやり方を教えていたのです。しかも、基準の濃度を現在よりも全体的に高めに設定していたので、なおさら色を合わせるのが難しかった。ですから、オペレーターはやり方を覚える段階から苦労していましたね。色基準をつくり、年2回のQC Navi(当時は『プリントナビゲーション』)の定期診断によって品質のブレをある程度抑えられたのはよかったのですが、作業効率が大きく改善するところまでは至っていませんでした」(川口マネージャー)
そこから状況が進展したのは約3年前。印刷部門の責任者が交代し、神宮路氏が統括することに。これを機に、色基準を再度見直すとともに、色の測定方法や機械のメンテナンス頻度など、オペレーションの手順も全面的にアップデートした。
「それまでの色基準では、仕上がりが少し濃すぎると感じていたのと、“人の腕に依存する色管理”から脱却できていなかったので、あらためて、基準づくりからやり直すべきだと考えたのです。その際、何をどう改善すべきかを検討する上で、QC Naviの診断結果のデータがとても役立ちました」(神宮路氏)

定期診断は、色の変動が大きくなりやすい夏と冬に実施している
(写真は診断時に使用するチャートと報告書)
■オペレーターの迷いが減り、作業効率が明らかに向上
こうして、新たに策定した自社色基準、新たな色管理手順の運用をスタートして3年。もちろんこの間も定期診断を継続しながら、品質の安定化、オペレーションの改善に取り組んできたわけだが、その結果、現場ではどのような効果が出ているのだろうか。
「定期診断は、まさに“印刷機の健康診断”のようなもので、機械のコンディションを維持し、品質を一定に保つ上での拠り所になっています。ブランケットや湿し水の状態、網点の潰れや見当のズレなども詳細に把握できるので、具体的な改善ポイントが判断しやすく、日常のメンテナンスをより的確に行なえるようになりました。また、プルーフと印刷とのマッチングを定量的にチェックできるのも大きなメリットですね。色がズレたときに、印刷機の状態が良くないのか、CTP側の問題なのか、といった原因の切り分けがしやすくなりました」(神宮路氏)

こうした効果は、オペレーターの教育にもメリットをもたらしている。
「経験や勘ではなく数値に基づいた指導が行なえるようになったため、未経験者でも比較的短期間でスキルを習得できるようになりました。オペレーター自身も、迷いが減り、やりやすくなったと思います。実際、以前は刷り出しに1時間ほどかかっていたのが30分程度にまで短縮するなど、作業効率が目に見えて上がっています」(川口マネージャー)
さらに、適正な濃度でより安定して印刷できるようになったことで、さまざまな無駄の削減が図れたという。
「3年前と比べて、インキの消費量が明らかに減りましたね。インキメーカーの方から『最近、注文が減りましたね』と冗談交じりに言われることもあります(笑)。また、刷り出しが早くなり、汚れなどのトラブルも減ったことで、損紙の量も削減できています。これらはコスト削減にもつながっています」(川口マネージャー)

明確な色基準、徹底した数値管理により、オペレーションに迷いがなくなり、作業効率が格段に向上した
■定期診断をベースに、品質の安定維持に取り組み続ける
QC Naviを活用した色管理体制の見直しにより、作業の標準化、印刷品質の安定化、生産効率改善など、明確な効果を上げている新進商会。今後も年2回の定期診断を継続し、品質の安定維持に取り組むとしている。
「いま使用している印刷機は10年以上稼働していますが、今回の取り組みの効果もあって、コンディションは以前より安定しています。これをしっかりと維持していかなければなりません。印刷機も年数が経てば色の変動が起きやすくなりますから、こまめにメンテナンスを行ない、定期的に品質をチェックすることがますます重要になってきます。現場の5S活動と合わせて、安定品質のための取り組みを続けていきます」(神宮路氏)
また、印刷ニーズの変化にも柔軟に対応していく考えだ。近年は小ロットのオーダーが増加しているため、FFGSから提案を受けたデジタル印刷機の導入も検討している。川口マネージャーは、「こうした環境の変化の中でこそQC Naviの真価が発揮されるのでは」と期待を込め、こう締めくくった。
「QC Naviはオフセットだけでなくデジタル印刷にも対応できるとのことなので、設備環境が変わっても、軸がぶれることなく、一貫した色管理ができるのではないかと思います。今後も、当社の品質を支えるツールとして引き続き活用していきたいですね」
2025.11.14
◆サイバーテック WordPressユーザーに向けたサービス内容を強化! WordPressの定額見守りサービス「WordPressプラス」
ITで企業のDX対応をサポートする株式会社サイバーテック(代表取締役社長:橋元 賢次、本社:東京都渋谷区、以下 サイバーテック)は、全世界で一番利用されているWeb CMS「WordPress」で運用中のWebサイトに携わる関係者を支援するために、WordPressの定額見守りサービス「WordPressプラス」を2025年12月1日にリリースする。
サイバーテックはかねてより実施している「マニュアルDX」事業とともに、CMSの新規導入や移行をはじめ、サーバーを含めたWebサイト運用やWebマーケティング支援まで、企業のWebサイトをフルサポートする「Webソリューション」事業を実施している。今回サービス提供を開始する「WordPressプラス」は、手軽に扱うことができるWeb CMS「WordPress」で構築されているWebサイトの運用をサポートするためのサービス。WordPressが活用されているWebサイトの役割はもとより、サーバー基盤の状況や監視対象範囲、ご予算などにより選択することができる「スタンダード」「プレミアム」の2種類のプランを準備した。
今回の取り組みは、先日リリースしたWordPressを活用したWebサイトを公開、あるいは運用を実施しているWeb担当者の皆様に有益な情報を提供するためのオウンドメディア「WordPress通信」とも相互に連携している。「WordPressプラス」による監視サービスとともに、WordPressで運用するWebサイトにとって必要となる「情報とサービス」を提供する。
そのような背景もあるため、今回の発表に伴い、WordPressの活用をサポートする情報サイト「WordPress通信」への新規登録を推進するためのキャンペーン「WordPress通信オープン記念 Amazonギフトカードキャンペーン」( https://wordpress.cybertech.co.jp/campaign/amazon-202512/ )を11月20日から開催する。
WordPressに関しては、新バージョンの情報や対応ミドルウェア、セキュリティアラート、プラグインなどの情報はいち早く英語圏でアナウンスされている。サイバーテックは英語圏であるフィリピン セブ島に自社オフショア拠点を有しており、常にWordPressの最新情報を入手することが可能であることから、WordPressに関するスピーディな情報提供をはじめ、エンジニアによる対策を講じることが可能である。
同社は、今回リリースした「WordPressプラス」にて、WordPressを活用している多くの企業様が安心してWordPressを活用し、Webサイトの可用性を高めるためのサポートしていく。
■「WordPressプラス」特長
◎Web分野に長年携わってきた技術陣と統合監視ツール「Zabbix」による、安心のサポート!
ミッションクリティカルなWebサイトでは可用性を高めるためにしっかりとした監視が必須となるが、可用性がそこまで求められないWebサイトの場合、オーバースペックとなる監視サービスを採用してしまうと、余計なコストや頻繁なアラート通知にうんざり、ということになりかねない。「WordPressプラス」では、対象のWebサイトがどのような位置づけのものなのか、といった観点や、クライアントのサーバー状況や予算、希望される内容にあわせて、実績のある統合監視ツール「Zabbix」で構築された監視サーバーによる2種類の監視サービスを提供していく。自社サービスとしてクラウド提供を行っている、マニュアル用CMSシステム「PMX」のバックエンドでも実施している監視体制で、ユーザーのWebサーバーの可用性を確実に向上させていく。
◎WordPressに関する英語圏の最新情報をベースにサポート!
WordPressは海外発のオープンソースCMSであるため、セキュリティアラートなどはいちはやく英語でリリースされるが、サイバーテックは英語圏のフィリピン セブ島に自社オフショア拠点を有しているため、英語圏でアナウンスされるWordPressの情報をいちはやくキャッチアップすることが可能となっている。WordPressの活用においてスピーディな情報取得は欠かせない。WordPressのオウンドメディア「WordPress通信」と連動した形でユーザーに最新情報を届けていく。
◎万が一の対策のために…複数のWordPress担当者にもかかわらず、リーズナブル!
運用中に一番心配されるのは、トラブル対応である。サイバーテックでは、深刻な状況に陥った場合、いち早くユーザーと協議したうえで、複数名待機しているWordPressに長けたエンジニアやITオペレータが別途費用で対応していく。フィリピン セブ島に有する自社オフショア拠点を中心に、メニュー化された対応を効率よく実施させていただく、あるいは調査レベルから対応させていただくといったアクションなど、障害内容に応じて高品質かつリーズナブルな対応が可能である。
■「WordPressプラス」サービス概要
「WordPressプラス」のサービス概要は以下のとおり。
「WordPressプラス」サービス概要
※2025年11月15日時点のサービス概要となります。弊社都合により変更される場合がある。
■「WordPressプラス」紹介ページ
WordPressを活用する情報サイト「WordPress通信」は以下となります。
URL: https://www.cybertech.co.jp/websol/service/wordpress/wp-monitoring/
2025.11.06
◆富士フイルムグラフィックソリューションズ Revoria PressPC1120導入事例 株式会社帆風 小ロットジョブの生産効率と高付加価値対応を高いレベルで両立 ノベルティグッズやパッケージなどで幅広い表現力・用紙対応力を発揮

Revoria Press PC1120導入事例

橋田次長 森川課長
東京都内に拠点を持ち、印刷からグッズ制作、デジタルコンテンツ制作まで幅広く手がける株式会社帆風(本社:東京都新宿区下宮比町2-29、代表取締役社長:須藤高幸氏)は、2025年3月、富士フイルムの『Revoria Press PC1120』をはじめとするデジタル印刷機5台を駆使し、小ロット・超短納期の商業印刷物から、ノベルティなどの高付加価値アイテムまで、幅広いニーズに応えている。また、並行して、ワークフロー全体の自動化・スキルレス化を推進するとともに、オフセット印刷からデジタル印刷への移行も進め、生産効率のさらなる向上を図っている。現在のデジタル印刷機の活用状況やメリット、今後の展望などについて、竹橋プリンティングセンターの次長・橋田和人氏、POD課 総合職課長・森川幸久氏に伺った。

■効率を追求した一貫生産体制で小ロット・短納期ニーズに対応
帆風は、「想いをカタチに」をコンセプトに、オフセット印刷機・デジタル印刷機、各種加工機を含む充実した設備を駆使しながら、名刺や封筒などの事務用印刷物から、チラシやカタログなどの商業印刷物、さらには大判ディスプレイ、ノベルティまで、多種多様な制作物を手がける。
生産拠点となる『竹橋プリンティングセンター』(東京都千代田区一ツ橋)は、皇居に隣接するパレスサイドビルの地下3階から5階にあり、プリプレスから印刷・加工、さらには配送設備も完備。24時間稼働で、スピードと品質を高い次元で両立したサービスを提供している。
印刷設備は、枚葉オフセット印刷機が5台と、トナーのデジタル印刷機が5台。他に、名刺専用のデジタル印刷機2台と、封筒専用の軽オフセット印刷機22台を備える。また、断裁以降の工程は、独自の基幹システムと連携した自動化ラインの構築により、ほとんど人手を介さず出荷まで行なえる体制を実現。1日3,000件近くに及ぶ多様なジョブを、正確かつスピーディーにこなしている。
仕事の受注形態としては、営業、店舗、Webの3通り。Web受注サイトは、帆風直営の『Vanfu Online Shop』と、グループ会社が運営する『Suprint(スプリント)』(株式会社ugo)、『イロドリ』(株式会社プリマリール)の計3サイトを設けており、現状、デジタル印刷ジョブの約65%をWebからの受注が占めている。
コロナ禍以降、小ロット化の傾向が顕著になっているといい、現在、Web受注ジョブの平均ロットは500部程度。ただ、全体の受注件数は増加しており、大量の小ロットジョブを効率的に生産できる同社の強みが存分に活かされている。
■除電装置や自動検査装置などがPC1120導入の決め手に
帆風では、1996年4月にオンデマンド印刷サービスを開始して以来、30年近くにわたりデジタル印刷機を活用してきた。現在はカラーのトナー機5台体制で、すべて富士フイルム製で統一。その内訳は、『Iridesse Production Press』(以下 Iridesse)が2台、『Revoria Press PC1120』(以下 PC1120)が2台、そして『Revoria Press EC1100』(以下 EC1100)が1台となっている。

橋田次長に、それぞれの導入の理由を伺った。まず、2018年に導入のIridesseについては、こう振り返る。
「当時、印刷市場全体の傾向として、高付加価値化のニーズが高まっていたため、新たなデジタル印刷機として、特色対応モデルや、用紙対応力に優れたモデルを中心に、いくつかの機種を検討していました。その中でIridesseは、特殊トナーが使用でき、さまざまな用紙に対応していることはもちろん、生産性が他社機より2割ほど高く、しかもトナーが低温で定着するため消費電力が抑えられるなど、環境性能も優れている。いろいろな面で時代に合った機械だと感じられたのです」
高付加価値ニーズへの対応力に加え、同社が重視するスピードや環境性にも魅力を感じたことが決め手になったという。PC1120の導入はそれから3年後、2021年のこと。デジタル印刷サービスの拡充や生産効率アップが大きな狙いだった。
「PC1120は、高性能なIridesseからさらに進化していますね。導入を決めた理由はいくつかありますが、その一つが除電装置です。それまでは、タック紙やPET素材などを使う仕事では、出力後に帯電して張り付いた紙を1枚ずつ剥がしたり、カールしたものを伸ばしたりしていましたが、こうした作業が不要になるのは非常に魅力的でした。また、高精度な自動検査装置を装備できるところや、RGB画像の自動補正機能、安定した長尺印刷が可能な点なども、サービスの幅を広げる上で大きなメリットになると考えました」(橋田次長)
そして2025年春には、それまで使用していたモノクロのトナー機に代わり、EC1100を導入。定期で受注する冊子ものなどで活用を開始するとともに、従来オフセットで対応していた小ロットジョブの一部をデジタル印刷に切り替えた。また、これと併せて、デジタルワークフローシステム『Revoria XMF PressReady』(以下 PressReady)の運用も開始し、プリプレス作業の省力化を図ると同時に、5台のデジタル印刷機の一元管理が可能な環境を構築。さらなる生産効率アップを実現した。
「EC1100もPC1120と同様、オフセット印刷と遜色のない仕上がり品質と高い安定性を持っているので、オフセットからの移行も問題なく進めることができました。小ロットジョブのデジタル移行と、PressReadyの導入によって、工場全体の生産効率が上がっています」(橋田次長)

タック紙やフィルム系素材への出力では、除電機能が効果を発揮。厚紙ジョブも難なくこなす
■こだわりのある顧客からも高く評価されるPC1120の表現力
こうして、3機種・計5台体制となった帆風のデジタル印刷機群。実際の運用では、時間的なロスを最小限に抑えるため、各ジョブの紙種や製本仕様などの条件により使い分けているという。

「当社で扱う紙の種類はかなりの数に上りますが、紙種によってトナーの定着温度が異なる関係で、どうしても生産性に差が出てしまいます。また、紙の入れ替えに伴うロスもできるだけ抑えたい。そこで、まずは厚紙と薄紙で機械を分け、さらに紙種によっても分けることで生産効率を保つようにしています。たとえば、凹凸のある紙を使用するジョブであればTXトナー搭載の機械、薄紙で平綴じの資料印刷などはインライン製本対応の機械、という具合に振り分けています」(森川課長)
同社では、スピード重視の顧客だけでなく、「いいものをつくりたい」というこだわりのある顧客からのオーダーも増えており、そうした高付加価値ニーズに応えるために、「効率的な生産」と「多様な紙種への対応」をいかに両立させるかが重要な課題になっているという。その点で大きなメリットになっているのが、PC1120の用紙対応力の高さだ。
「販促用の印刷物などは、差別化の観点から、紙にこだわるお客さまが多くなっていますね。また最近では、小ロットのパッケージや、組み立てて使う立体POPなどの受注も増えているのですが、PC1120は400g/m2までの用紙を通せるので、こうした厚紙を使った商材も問題なく生産でき、大きな戦力になっています。また、タック紙やフィルム系素材を使ったアイテムでは、除電装置が期待通りの効果を発揮してくれています」(橋田次長)
また、モバイルバッテリーやTシャツ、ボールペンなどのノベルティ、トランプやトレーディングカードといったグッズ類を、オリジナルのパッケージと合わせて受注するケースも増えているという。
「先日はある企業様から、トランプ2,000個をパッケージとセットで発注いただきました。少し前までは、トランプというと個人のお客さまが思い出の品としてつくるケースがほとんどでしたが、いまでは、有名なアニメや漫画のキャラクターのトランプなど、お店で販売するグッズの注文もいただくようになりました。品質に対する要求レベルも高くなっていますが、その分、PC1120ならではの表現力が活かされています」(森川課長)
表現力の高さを活かしたサービスとしては、ピンクトナーを使ったRGBデジタル印刷メニューも好評だという。これは、RGB画像をCMYK+ピンクの5色に自動分版するPC1120の機能を活用したものだ。
「同人誌のイラストや、コスメ関係、食品関係などの写真を使った印刷物で、RGB画像を鮮やかに再現したいという方にご利用いただいています。お客さまの方で特色の版をつくっていただかなくても、簡単にビビッドな発色が得られるということで、個人のお客さまにも人気のメニューになっています」(橋田次長)

多彩なデジタル印刷サンプル。PC1120の導入
により、ピンクトナーを活用した鮮やかな色彩
表現や、ホログラム風シールなど、さまざまな
ニーズへの対応が可能になった
■7台目、8台目も視野に、デジタル印刷の生産体制をさらに強化
PC1120を中心としたデジタル印刷機の生産体制の拡充により、小ロット・短納期・高付加価値ニーズへの対応力を一段と高めた帆風。各印刷機の安定した稼働と、徹底的に無駄を排除した効率的な運用により、5台合わせた月間出力量は約100万カウンターと、膨大なボリュームをこなしている。また、同社では今後もオフセットからデジタルへのシフトを進め、デジタル印刷の比率をさらに高めていく考えだ。こうしたことから、現在、6台目のデジタル機の導入を計画している。
「6台目はPC1120の4色モデルを予定しており、現在オフセットで印刷しているA4チラシなどのジョブをそちらに移行しようと考えています。ポストプレスと同じフロアに設置し、断裁後は自動梱包ラインに乗せて出荷するというラインを想定しています。また、既設のデジタル機には、小ロットの厚紙ジョブをオフセットから移すなど、全体的にジョブの振り分けを見直す予定です。オフセット印刷とデジタル印刷の閾値(振り分け基準)については、現在はA4で200部、つまりデジタル機のA3出力で100通しを基準にしているのですが、これを250~300通しまで引き上げる計画です。具体的な値については、あらためてコストを算出した上で判断しようと考えています」(橋田次長)
将来的には、「7台目、8台目のデジタル機導入の可能性もある」という。品質を担保しながら小ロット・短納期への対応力に磨きをかけ、サービスの質をさらに高めていくためだ。もちろん、現場のスキルレス化、無駄なコストの削減といった狙いもある。今後の構想について、橋田次長はこう語った。
「7台目以降のデジタル機としては、トナー機だけでなく、インクジェット機も視野に入っています。ただ、インクジェットの場合、オフセットからの切り替えでどれだけの効果が出るか、慎重に試算する必要があります。現時点では、イニシャルコストやランニングコスト、運用効率などを考慮するとトナー機の増設が有効かなと。いずれにしても、デジタル印刷への移行は今後も積極的に進めていき、サービスの拡充、生産工程全体の効率アップにつなげていきたいですね」
- 1 / 1




