ニュースリリース

2025年11月

2025.11.06

◆富士フイルムグラフィックソリューションズ Revoria PressPC1120導入事例 株式会社帆風 小ロットジョブの生産効率と高付加価値対応を高いレベルで両立 ノベルティグッズやパッケージなどで幅広い表現力・用紙対応力を発揮

 

 Revoria Press PC1120導入事例

 

    

  橋田次長                              森川課長

 

東京都内に拠点を持ち、印刷からグッズ制作、デジタルコンテンツ制作まで幅広く手がける株式会社帆風(本社:東京都新宿区下宮比町2-29、代表取締役社長:須藤高幸氏)は、20253月、富士フイルムの『Revoria Press PC1120』をはじめとするデジタル印刷機5台を駆使し、小ロット・超短納期の商業印刷物から、ノベルティなどの高付加価値アイテムまで、幅広いニーズに応えている。また、並行して、ワークフロー全体の自動化・スキルレス化を推進するとともに、オフセット印刷からデジタル印刷への移行も進め、生産効率のさらなる向上を図っている。現在のデジタル印刷機の活用状況やメリット、今後の展望などについて、竹橋プリンティングセンターの次長・橋田和人氏、POD課 総合職課長・森川幸久氏に伺った。

 

■効率を追求した一貫生産体制で小ロット・短納期ニーズに対応

 帆風は、「想いをカタチに」をコンセプトに、オフセット印刷機・デジタル印刷機、各種加工機を含む充実した設備を駆使しながら、名刺や封筒などの事務用印刷物から、チラシやカタログなどの商業印刷物、さらには大判ディスプレイ、ノベルティまで、多種多様な制作物を手がける。

 生産拠点となる『竹橋プリンティングセンター』(東京都千代田区一ツ橋)は、皇居に隣接するパレスサイドビルの地下3階から5階にあり、プリプレスから印刷・加工、さらには配送設備も完備。24時間稼働で、スピードと品質を高い次元で両立したサービスを提供している。

 印刷設備は、枚葉オフセット印刷機が5台と、トナーのデジタル印刷機が5台。他に、名刺専用のデジタル印刷機2台と、封筒専用の軽オフセット印刷機22台を備える。また、断裁以降の工程は、独自の基幹システムと連携した自動化ラインの構築により、ほとんど人手を介さず出荷まで行なえる体制を実現。1日3,000件近くに及ぶ多様なジョブを、正確かつスピーディーにこなしている。

 仕事の受注形態としては、営業、店舗、Web3通り。Web受注サイトは、帆風直営の『Vanfu Online Shop』と、グループ会社が運営する『Suprint(スプリント)』(株式会社ugo)、『イロドリ』(株式会社プリマリール)の計3サイトを設けており、現状、デジタル印刷ジョブの約65%をWebからの受注が占めている。

 コロナ禍以降、小ロット化の傾向が顕著になっているといい、現在、Web受注ジョブの平均ロットは500部程度。ただ、全体の受注件数は増加しており、大量の小ロットジョブを効率的に生産できる同社の強みが存分に活かされている。

 

■除電装置や自動検査装置などがPC1120導入の決め手に

 帆風では、19964月にオンデマンド印刷サービスを開始して以来、30年近くにわたりデジタル印刷機を活用してきた。現在はカラーのトナー機5台体制で、すべて富士フイルム製で統一。その内訳は、『Iridesse Production Press』(以下 Iridesse)が2台、『Revoria Press PC1120』(以下 PC1120)が2台、そして『Revoria Press EC1100』(以下 EC1100)が1台となっている。

   

 橋田次長に、それぞれの導入の理由を伺った。まず、2018年に導入のIridesseについては、こう振り返る。

「当時、印刷市場全体の傾向として、高付加価値化のニーズが高まっていたため、新たなデジタル印刷機として、特色対応モデルや、用紙対応力に優れたモデルを中心に、いくつかの機種を検討していました。その中でIridesseは、特殊トナーが使用でき、さまざまな用紙に対応していることはもちろん、生産性が他社機より2割ほど高く、しかもトナーが低温で定着するため消費電力が抑えられるなど、環境性能も優れている。いろいろな面で時代に合った機械だと感じられたのです」

 高付加価値ニーズへの対応力に加え、同社が重視するスピードや環境性にも魅力を感じたことが決め手になったという。PC1120の導入はそれから3年後、2021年のこと。デジタル印刷サービスの拡充や生産効率アップが大きな狙いだった。

PC1120は、高性能なIridesseからさらに進化していますね。導入を決めた理由はいくつかありますが、その一つが除電装置です。それまでは、タック紙やPET素材などを使う仕事では、出力後に帯電して張り付いた紙を1枚ずつ剥がしたり、カールしたものを伸ばしたりしていましたが、こうした作業が不要になるのは非常に魅力的でした。また、高精度な自動検査装置を装備できるところや、RGB画像の自動補正機能、安定した長尺印刷が可能な点なども、サービスの幅を広げる上で大きなメリットになると考えました」(橋田次長)

 そして2025年春には、それまで使用していたモノクロのトナー機に代わり、EC1100を導入。定期で受注する冊子ものなどで活用を開始するとともに、従来オフセットで対応していた小ロットジョブの一部をデジタル印刷に切り替えた。また、これと併せて、デジタルワークフローシステム『Revoria XMF PressReady』(以下 PressReady)の運用も開始し、プリプレス作業の省力化を図ると同時に、5台のデジタル印刷機の一元管理が可能な環境を構築。さらなる生産効率アップを実現した。

EC1100PC1120と同様、オフセット印刷と遜色のない仕上がり品質と高い安定性を持っているので、オフセットからの移行も問題なく進めることができました。小ロットジョブのデジタル移行と、PressReadyの導入によって、工場全体の生産効率が上がっています」(橋田次長)

 

          

タック紙やフィルム系素材への出力では、除電機能が効果を発揮。厚紙ジョブも難なくこなす

 

 

■こだわりのある顧客からも高く評価されるPC1120の表現力

 こうして、3機種・計5台体制となった帆風のデジタル印刷機群。実際の運用では、時間的なロスを最小限に抑えるため、各ジョブの紙種や製本仕様などの条件により使い分けているという。

 

「当社で扱う紙の種類はかなりの数に上りますが、紙種によってトナーの定着温度が異なる関係で、どうしても生産性に差が出てしまいます。また、紙の入れ替えに伴うロスもできるだけ抑えたい。そこで、まずは厚紙と薄紙で機械を分け、さらに紙種によっても分けることで生産効率を保つようにしています。たとえば、凹凸のある紙を使用するジョブであればTXトナー搭載の機械、薄紙で平綴じの資料印刷などはインライン製本対応の機械、という具合に振り分けています」(森川課長)

 同社では、スピード重視の顧客だけでなく、「いいものをつくりたい」というこだわりのある顧客からのオーダーも増えており、そうした高付加価値ニーズに応えるために、「効率的な生産」と「多様な紙種への対応」をいかに両立させるかが重要な課題になっているという。その点で大きなメリットになっているのが、PC1120の用紙対応力の高さだ。

「販促用の印刷物などは、差別化の観点から、紙にこだわるお客さまが多くなっていますね。また最近では、小ロットのパッケージや、組み立てて使う立体POPなどの受注も増えているのですが、PC1120400g/m2までの用紙を通せるので、こうした厚紙を使った商材も問題なく生産でき、大きな戦力になっています。また、タック紙やフィルム系素材を使ったアイテムでは、除電装置が期待通りの効果を発揮してくれています」(橋田次長)

 また、モバイルバッテリーやTシャツ、ボールペンなどのノベルティ、トランプやトレーディングカードといったグッズ類を、オリジナルのパッケージと合わせて受注するケースも増えているという。

「先日はある企業様から、トランプ2,000個をパッケージとセットで発注いただきました。少し前までは、トランプというと個人のお客さまが思い出の品としてつくるケースがほとんどでしたが、いまでは、有名なアニメや漫画のキャラクターのトランプなど、お店で販売するグッズの注文もいただくようになりました。品質に対する要求レベルも高くなっていますが、その分、PC1120ならではの表現力が活かされています」(森川課長)

 表現力の高さを活かしたサービスとしては、ピンクトナーを使ったRGBデジタル印刷メニューも好評だという。これは、RGB画像をCMYK+ピンクの5色に自動分版するPC1120の機能を活用したものだ。

「同人誌のイラストや、コスメ関係、食品関係などの写真を使った印刷物で、RGB画像を鮮やかに再現したいという方にご利用いただいています。お客さまの方で特色の版をつくっていただかなくても、簡単にビビッドな発色が得られるということで、個人のお客さまにも人気のメニューになっています」(橋田次長)

 

 

多彩なデジタル印刷サンプル。PC1120の導入

により、ピンクトナーを活用した鮮やかな色彩

表現や、ホログラム風シールなど、さまざまな

ニーズへの対応が可能になった

 

7台目、8台目も視野に、デジタル印刷の生産体制をさらに強化

 PC1120を中心としたデジタル印刷機の生産体制の拡充により、小ロット・短納期・高付加価値ニーズへの対応力を一段と高めた帆風。各印刷機の安定した稼働と、徹底的に無駄を排除した効率的な運用により、5台合わせた月間出力量は約100万カウンターと、膨大なボリュームをこなしている。また、同社では今後もオフセットからデジタルへのシフトを進め、デジタル印刷の比率をさらに高めていく考えだ。こうしたことから、現在、6台目のデジタル機の導入を計画している。

6台目はPC11204色モデルを予定しており、現在オフセットで印刷しているA4チラシなどのジョブをそちらに移行しようと考えています。ポストプレスと同じフロアに設置し、断裁後は自動梱包ラインに乗せて出荷するというラインを想定しています。また、既設のデジタル機には、小ロットの厚紙ジョブをオフセットから移すなど、全体的にジョブの振り分けを見直す予定です。オフセット印刷とデジタル印刷の閾値(振り分け基準)については、現在はA4200部、つまりデジタル機のA3出力で100通しを基準にしているのですが、これを250300通しまで引き上げる計画です。具体的な値については、あらためてコストを算出した上で判断しようと考えています」(橋田次長)

 将来的には、「7台目、8台目のデジタル機導入の可能性もある」という。品質を担保しながら小ロット・短納期への対応力に磨きをかけ、サービスの質をさらに高めていくためだ。もちろん、現場のスキルレス化、無駄なコストの削減といった狙いもある。今後の構想について、橋田次長はこう語った。

7台目以降のデジタル機としては、トナー機だけでなく、インクジェット機も視野に入っています。ただ、インクジェットの場合、オフセットからの切り替えでどれだけの効果が出るか、慎重に試算する必要があります。現時点では、イニシャルコストやランニングコスト、運用効率などを考慮するとトナー機の増設が有効かなと。いずれにしても、デジタル印刷への移行は今後も積極的に進めていき、サービスの拡充、生産工程全体の効率アップにつなげていきたいですね」

 

 

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