ニュースリリース

2024.10.23

◆富士フイルムグラフィックソリューションズ  Revoria Press PC1120 導入事例――株式会社イシクラ 卒業アルバム・文集の短期集中生産で安定性の高さを実感 従来機3台分の仕事を2台でこなし、品質と生産効率を高次元で両立

 卒業アルバムや卒業文集などの企画制作・印刷製本を手がける株式会社イシクラ(本社:埼玉県さいたま市岩槻区古ヶ場1-6-11、代表取締役社長:石倉博幸氏)は、20239月、富士フイルムの『Revoria Press PC1120』(以下PC1120)を2台導入し、卒業文集の生産性や卒業アルバムの画質などを大きく向上させた。また、卒業アルバム以外も含めた“思い出づくりのトータルプロデュース” を目指すべく、PC1120を活用した新商材の開発・生産も進めている。導入の背景や効果、活用戦略などについて、工場部門に相当する同社プロダクト部の部長代理井上大地氏、PC1120の導入検討から運用まで携わっているプロダクト部 マルチプリンティング課 課長戸泉雅生氏に伺った。

  

 

■波打ちなどのトラブル解消のため、トナー機の入れ替えを決断

 株式会社イシクラは、1936年(昭和11)石倉コロタイプ印刷所として創業し、記念アルバムの製作を開始。1959年、株式会社石倉光芸社に改組し、1983年に現社名のイシクラとなる。社員数110で、全国約2,100校(うち、関東で1,600校)、年間25万冊の卒業アルバムを生産する。

現在は、卒業アルバムのみにとどまらず、卒業生のさまざまな思い出をトータルプロデュースする「思い出アーカイブ事業」への変革を進めている。その一環として、スマートフォンで見ることができるコンテンツや、部活動アルバム、クラスアルバムといった新しい形の商品の開発・提案にも取り組んでいる。
 

   井上部長

   
PC1120の導入検討を始めたのは、2022年の秋頃。イシクラでは、デジタル印刷機を使用する仕事の約9割を小ロットの文集が占めているが、従来はこれを他社製モノクロトナー機2台で印刷していた。しかし、これらのモノクロ機は導入後67年経過していたこともあって、故障が頻発し稼働率が低下していた。

 同社が生産する卒業アルバムのうち9割は、写真中心の「アルバム」と文章中心の文集を製本部門で1冊に合本した、特徴的なものである。通常、製本部門で無駄な待ち時間が発生しないよう、文集の印刷を先行して進めている。しかし、PC1120導入の前年は「メーカーのエンジニアが出向する修理が頻発していた」(戸泉課長)という状態であったため、文集印刷の進行が遅れ気味になり、予備のモノクロ機で印刷したり、休日出勤を検討したりと、製本工程においても、大きな影響が出ていたという。

 さらに、井上部長は従来のモノクロ機について、「波打ちが発生しやすいという課題もあった」と振り返る。「文集のページの波打ちが原因で、アルバム部分と文集部分とが剥がれたり皺が入ったしまうことがあり、その場合、アルバムも含めて再度印刷・製本する必要がありました」(井上部長)

 また、小ロットで価格重視の学校向けのアルバムは、富士フイルムのカラートナー機『 Versant 2100 Press 1台で生産していたが、Versant 2100 も導入してから6年ほど経過し、入れ替えを検討する時期に来ていた。

 ところで、同社で生産している卒業アルバムは1校あたりの平均が約120冊だが、少ないところでは10冊、多いところでは1,000冊以上と、学校ごとに部数が大きく異なる。そのため同社では、大ロットのアルバムはオフセット印刷機、小ロットで印刷品質重視のアルバムは富士フイルムのB2枚葉インクジェット機 『Jet Press720750S』、そして小ロットのアルバムの一部と文集をトナー機で印刷するという使い分けを行なっている。

 
 

     2 台の「PC1120」が圧倒的な生産性を発揮

  

      新商材開発においても強力な武器となる

■長時間連続出力時の安定性を重視しPC1120を選択

 20237月頃、新しく導入するトナー機の最終的な選定を行なった。その際、PC1120の他3社のトナー機と、インクジェット機を検討したが、そのうちの1機種は、給紙トレイやスタッカーの容量が小さく、同社が想定している文集の仕事に適さなかった。またもう1機種は、機械の内部構造から見て、長時間運用の際の信頼性に不安があった。また、インクジェット機においては、カラー写真の印刷品質に問題があり、アルバム本文の印刷に適さないと判断した。


       戸泉課長

これに対して、PC1120は、文字や写真の印刷品質の高さ、給紙トレイやスタッカーの容量の大きさなどが、同社の要件にマッチしていた。

さらに、戸泉課長は「色や見当精度の安定性、ハードな運用に耐え得る耐久性・堅牢性のさにも期待できる」と判断したという。

「当時の工場長から『いままではモノクロとカラーを分けて考えていたが今後はカラー機でさまざまな仕事に対応できるようにする』という方向性が示されたことから、汎用性に優れ、信頼性も期待できるPC1120を選びました」(戸泉課長)

 同社が導入したPC1120は、2台とも「2連の給紙トレイ+大容量スタッカー2台」を備えた、大量・長時間連続出力を想定したシステム構成で、さらに予備のトランスポートモジュールも追加している。この構成は、現場での運用のしやすさを考え、戸泉課長が決めたものであった。

 ワークフローについては、従来から卒業アルバムの生産に最適化されたホットフォルダでの運用を行なっていたことから、出力機が変わってもオペレーションへの影響は少なく、PC1120導入にあたっても、立ち上がりはスムーズで、比較的短期間で本格運用に入れたという。

 「文集の仕事の繁忙期となる120日頃から2月末までの約40日間PC1120廻し続けられる範囲で廻していました。退社する際に給紙トレイいっぱいに用紙をセットして、夜の間も無人出力していたのですが、その間、機械のトラブルで止まったことはなく、期待通りの安定性を発揮してくれました」(戸泉課長)

 メンテナンスによる停止も最小限に留めた。最初は1週間に1回と高頻度に設定したが、順調な稼働が続いていたことから2月の中旬からは、生産時間の確保を優先し、2週間ごとに変更した

「こうした運用の結果、文集の印刷に特化したPC1120は、前年まで3台のモノクロ機で印刷していた量の仕事を、2でこなすことができました波打ちのトラブルも大きく改善されたおかげで、製本工程での作業もスムーズになりましたね」(井上部長)

 

  

         卒業アルバム・文集のほか、小ロットの記念冊子などでもPC1120を活用している

■製本工程や営業面でも安心感が高まった

PC1120を導入したことで、フルカラー印刷の仕事にもプラスの効果が出ている。例えば、PC1120でカラー印刷した卒業アルバムに対して、営業部門から「印刷品質がとても良くなった」という声が多く届いているという。「デジタル印刷の品質を気にしていた営業も、『これなら、自信をもってデジタル印刷の仕事を取りに行ける』と言っています」(戸泉課長)

 見当精度が上がったことによるメリットも大きい。

「たとえば、毎年受注している幼稚園様の入園案内が、観音折りのデザインになっているのですが、PC1120の表裏見当精度が非常に高いため、製本部門での折り加工がスムーズになり、営業も安心して納品できるようになっています」(井上部長)

 現在、特殊トナーの活用についても準備を進めている。TX(テクスチャード)トナーはエンボス系の紙への出力で使用することを想定。クリアトナーは、アルバム表面のPP加工の代替として利用可能か、現在検証している。

 ホワイトトナーやピンクトナーの効果的な使い方についても、鋭意模索中だ。

「富士フイルムさんからホワイトを使ったたくさんの魅力的なサンプルを見せていただいており、それらを参考に、自社製品でどう活かせるのか、デザイナーも含めて検討しているところです。そしてピンクトナーは、学校アルバムで「肌の色を修正したい」「美肌を再現したアルバム」といったニーズがあるので、その声に応えるツールとして有効ではないかと考えています。実際にどのような画像でどれだけの効果が出るのか、富士フイルムさんの協力を仰ぎながら研究しているところです」(戸泉課長)

 

■PC1120の特長を活かし、新商材の開発に注力

 イシクラは現在、卒業アルバム・文集の製作にとどまらず、「思い出づくりのトータルプロデュース」を目指した事業展開を行なっており、部活動アルバムやクラスアルバムといった、生徒や保護者などエンドユーザーのニーズに応える新しい商材の開発に力を入れている。そしてこうした取り組みにおいて、PC1120は強力な武器となると期待されている。新商材は、ロットが小さく、PC1120の生産に適したものになることが想定されるためだ。また、特殊トナーを含めた6色出力を活かすことで、色表現の豊かさ、品質の高さで差別化を図ることも可能になる。

「エンドユーザーのニーズに応える商材を生み出していく上で、PC1120の特長はさまざまな形で活かせると思っています。しかし、現状ではまだそのポテンシャルを充分に引き出せていないので、今後、富士フイルムさんにご協力をいただきながら、一緒にその可能性を商品開発につなげていきたいですね。そして、長く愛される商品を、一人でも多くの方に届けていきたいと考えています」(井上部長)

 

 

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