ニュースリリース

2024.12.18

◆富士フイルムグラフィックソリューションズ Revoria Press PC1120導入事例   株式会社プリプレス・センター 大ロットのバリアブルジョブで圧倒的な生産性・品質安定性を発揮  最新の検査装置により検品作業が大幅に効率化、クライアントか

 北海道を拠点に、独自に培ったシステム開発力と充実した生産設備を駆使し多様な印刷・加工サービスを提供する株式会社プリプレス・センター(本社:札幌市中央区南10条西8丁目4-1、代表取締役:藤田靖氏)は、20243月、富士フイルムのプロダクションカラープリンター『Revoria Press PC1120』(以下 PC1120)を導入し、主要品目である年賀状や商品券、チケットなど、さまざまな印刷物に活用している。かなりの大ボリュームの仕事もPC1120でこなしているという同社だが、その中でどのようなメリットを感じているのか。導入の経緯や今後の展望なども含め、取締役 営業本部長・福地一美氏、製造部 工場長・柳原茂樹氏に伺った。


    

年賀状事業を軸に、設備拡充を進めながら成長

 プリプレス・センターは、1988年に代表取締役の藤田靖氏により創業。当初は軽印刷業として版下制作などを手がけていたが、1994年、デザイン制作分野のデジタル化を見越してMacintoshとイメージセッターをいち早く導入。24時間体制でDTPおよび出力サービスを展開した。1998年にはPOD機を導入し、印刷業へと業態を変えていく。年賀状ビジネスをスタートしたのもこの時期で、以降、同社を支える基幹事業へと成長していく。2000年代に入ると、システム開発にも力を入れ、2002年には年賀状の自動編集プログラムを自社で開発。この仕組みをベースに、組版から最終印刷データ生成まで自動で実現するシステムを、仕事内容に応じて次々と構築していった。このシステム開発技術は、現在に至るまで同社の大きな強みの一つになっている。

 2015年からはM&Aにも着手。その背景には、スピード感をもって事業拡大を図るという同社の戦略と、後継者問題に悩む印刷会社が増えているという業界の事情があった。現在までに、異業種を含む6社から経営譲渡を受け、『PPCグループ』として北海道から関東・近畿・九州までをカバーするネットワークを形成。事業領域も、マーケティングから一般商業印刷、パッケージおよびノベルティグッズ製作、デジタルメディアまで、幅広い分野に及んでいる。

 また、社内外の環境改善活動にも力を入れており、環境マネジメントシステム『エコアクション21』の認証取得をはじめ、植林活動によるカーボン・オフセット、再生可能エネルギーの活用、FSC認証紙の採用など、さまざまな側面から環境負荷低減に取り組んでいる。女性活躍推進企業としての評価も高く、2023年には『えるぼし認定』の最高位である3つ星を取得している。

 現在、札幌本社の生産設備としては、オフセット枚葉印刷機が3台とトナー方式のデジタル印刷機が3台、さらに各種製本機のほか、ホット箔押し機 8 台、デジタルコールド箔印刷機、ニス盛り上げ加工機など、道内トップクラスの特殊加工設備を誇る。この設備力を活かし、セキュリティ印刷や化粧箱、本の表紙などさまざまな製品に対応しており、同業者からの依頼も多い。

 

検査装置の使いやすさと出力品質の高さが決め手に

 そんな同社がPC1120を導入したのは20243月。トナー方式のデジタル印刷機は20年以上にわたり活用しており、最近では『Color 1000 Press』をメインに運用していたが、品質・生産性のさらなる向上を図るため、PC1120への更新を決めた。

 導入検討にあたって重要視したポイントの一つが、自動検査装置(検査マネジメントシステム)だったという。

  

     福地取締役

「デジタル印刷に関して大きな課題になっていたのが、バリアブルの印刷物の検品です。これまでは多大な時間と労力をかけ、人の目でチェックしていました。この検品の精度を上げ、作業の効率化も図るために、検査装置付きのデジタル機を検討することにしたのです」(福地取締役)

 そこで候補に挙がったのが、PC1120ともう1機種、他メーカーのトナー機だった。

「出力品質は明らかにPC1120の方が優れていたのですが、検査装置の性能としては、その当時、他社機の方が一歩上という印象だったため、社内の意見はそちらに傾いていました。そんな中、PC1120の検査装置がバージョンアップされるという情報が入り、展示会で実機を確認したところ、格段に使いやすくなっていたのです。バリアブルデータの作成を担当しているSEにも一緒に見てもらったうえで検討した結果、PC1120の導入を決めました」(福地取締役)

「検査装置でとくに違いを感じたのは、バリアブル出力の際の、検査箇所を指定する操作です。他社のものは可変部分を1つずつ指定しなければならず、若干煩雑に感じたのですが、PC1120はタッチポイントが少なく、より効率的に出力できるところが魅力的でした。加えて、色再現などの品質や安定性に関しては、Color 1000 Pressでの実績もありますし、実際に出力サンプルを見ても満足できるものでした。これも大きな選択理由の一つです」(柳原工場長)

 

特色も駆使し、年賀状、チケット、商品券など多用途に活用

 PC1120は導入直後から、同社のデジタル印刷機の主力として品質・生産性・安定性を遺憾なく発揮している。用途は多岐にわたるが、自社開発の自動組版システムとの連携で、バリアブルのジョブも多数手がけている。ボリューム的にとくに大きいのが年賀状だ。見本の印刷を含めると、毎年8月から12月にかけての集中生産になる。2024年はトータルで約500万枚を印刷し、そのうち200万枚以上をPC1120が担った。ゴールドやピンクなどの特色も多く使用する。絵柄のバリエーションも、オフセット分を含めて500種類ほどあり、きわめて多品種のジョブである。製作した年賀状は、量販店や文具店などの店頭のほか、自社で運営するECサイトでも販売している。

 定期のバリアブルジョブとしては、プロ野球球団のシーズンシートチケットも手がけている。46万枚という大ロットで、多面付出力しても通し数は2万枚以上。しかも、ナンバリングだけでなく絵柄も1枚ずつすべて異なるフルバリアブルだ。

 また、最近需要が増えているものとして、商品券が挙げられる。全国から問い合わせが増えているといい、地方都市の商店街などの場合は小ロットの発注も多いという。いずれにしても、ナンバリングの正確性を含め、つねに高い品質を担保することが求められる。

「商品券は一種の金券であり、信頼性が非常に重視されます。また、小ロットでもきめ細かく対応できる印刷会社が意外と少ないので、一度手がけるとリピート発注をいただけることも多く、商品券から派生して、お店の小冊子など、別のアイテムの仕事につながるケースもあります。当社の場合、お客さまに『PC1120の検査装置によって自動で高精度な検査を行なっています』と説明でき、しかも組版のシステム構築も含めて総合的に対応できるところが強みになっています」(福地取締役)

 
 

      左:シルバー、ゴールド、ピンクなどの特殊トナーを活用した年賀状のサンプル

    右:メタリックカラー印刷や検査装置など、PC1120の特長をわかりやすく解説したチラシも作成

自動検査装置の活用で、より確実な品質保証が実現

PC1120の導入メリットとしては、まず、自動検査装置による検品の精度アップ・負荷軽減が大きいという。

「たとえば商品券のナンバリングなどは、従来はアナログ的に人海戦術で1枚ずつチェックし、梱包前にも重量検品などを行なっていましたが、人手を介すると、やはりミスのリスクをゼロにすることはできませんし、作業者の負担も大きくなります。しかし現在は、検査装置によってデータの絵柄や可変部分などが1枚ずつ高精度にチェックされるので、検品作業にかける時間は大幅に短縮しています。出力されたものが100%正確だと確信が持てるようになったことで、データを扱っている担当者の安心感も増しましたし、お客さまに対しても、より確実に品質保証できるようになりました」(柳原工場長)

 
  

    柳原工場長

 検査装置に加えて、品質・生産性の向上に寄与しているのが、静電気除去装置だ。とくに冬の北海道は室内が乾燥しやすく、静電気トラブルへの対策は必須と言える。

「以前は、排紙部に除電棒を取り付けて対策していましたが、PC1120の静電気除去装置は当然それよりも遥かに除電効果が大きいです。帯電しやすい合成紙などでも安定して出力できるようになりました」(柳原工場長)

 仕上がり品質への評価も高い。福地取締役は、「特色を使用したときのクオリティの高さが際立っている」と語る。

「とくにピンクトナーは非常に発色がよく、年賀状などで頻繁に使用しています。人物写真などでも、ピンクを加えることで肌の再現品質がぐっと上がりますね。また、ゴールドの質感もとてもいい。当社にはもう1台、特色を使えるトナー機がありますが、そちらのゴールドと比べても、見栄えが全然違います」(福地取締役)

 CMYK4色出力においても、期待通りの品質が得られているという。

「同じ絵柄でオフセットと比べても、ほとんど見分けがつかないレベルですし、用紙や絵柄などの条件によっては、PC1120の方がきれいに仕上がることも珍しくありません。また、PC1120は色の変動が非常に少ないうえ、オフセット印刷で起こりがちなピンホールやゴースト、クワエ汚れといったトラブルもありませんから、品質の安定性という面でもメリットは大きいですね」(柳原工場長)

 

        RIP処理の速さもPC1120の大きな特長。重いバリアブルデータの出力時にも優れた
        瞬発力を発揮する

■さらなる用途開発を進め、他社との差別化を図る

 同社では、PC1120が新たな戦力として加わったことによって、デジタル印刷の活用比率がさらに高まっていくと見込んでいる。

「ここ何年かの加工高の実績を見ると、オフセット印刷はほぼ平行線で推移しているのに対し、デジタル印刷は急速に伸びています。この傾向はさらに顕著になるのではないでしょうか。PC1120は従来のColor 1000 Pressと比べても品質やスピード、信頼性が一段と上がっているので、より幅広い用途で生産機として活用できます。加えて、熟練を必要とせず、さまざまな人材が短期間のトレーニングで扱えるようになるという、デジタル印刷機ならではのメリットもありますからね」(福地取締役)

 その上で、今後のPC1120の活用について、福地取締役はこう語った。

「紙媒体の総需要が減っている中で、印刷事業を成長させていくには、いかに高い付加価値をつけて、他社との差別化を図っていくかが重要な課題だと感じています。そのためには、ただ新しい機械を入れるだけでなく、独自の使い方や商品を生み出していかなければいけません。一例として、いま、PC1120の高精細な再現性を活かしたセキュリティ印刷(コピーガード)などのサンプルを作成し、お客さまに提案しているところです。“PC1120にしかできない印刷物”はほかにもたくさんあると思うので、これからも当社ならではの用途の開発に取り組んでいきたいと考えています」


 

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