ニュースリリース
2025.03.03
◆モリサワ 「Morisawa サーバーフォントライセンス」を2025年3月3日より提供開始
株式会社モリサワ(代表取締役社長:森澤彰彦 本社:大阪市浪速区敷津東2-6-25、Tel:06-6649-2151 代表、以下モリサワ)は、ネットワーク上のサーバーで動くアプリケーションでフォントを活用できる「Morisawa サーバーフォントライセンス」を、2025年3月3日(月)より提供開始した。

「Morisawa サーバーフォントライセンス」は、ドキュメントの自動処理を行うサーバーアプリケーションやインターネット、LANなどのネットワーク上で、モリサワの提供するフォントが利用できるライセンス。豊富なラインナップの中から書体を選べることが可能で、和文のほか多言語書体も大幅に拡充している。
「Morisawa サーバーフォントライセンス」概要
利用対象:ユーザーが運用する1サービス
契約形態:1年更新
フォントフォーマット:OpenType、TrueTypeのいずれかを選択
納品形式:オンライン
価格: 日本語・中国語・韓国語 1書体 165,000円(税込) から
ラテン語含むその他言語 1書体 55,000円(税込)から
詳しくは、Morisawa サーバーフォントライセンス製品ページをご覧ください。
https://www.morisawa.co.jp/products/fonts/msfl/
「サーバーアプリケーション用フォントライセンス」既存契約の対応
現在利用中のユーザーは2028年2月28日(月)まで、契約の更新手続きが可能である。
また「利用可能全書体パック」を利用しているユーザーへの新書体提供は2025年度版までとなる。
●同件に関する問い合わせ
https://forms.morisawa.co.jp/webapp/form/25784_sdmb_6/index.d
SNSでも最新情報を公開しております
X(旧Twitter):@Morisawa_JP
Facebook:@MorisawaJapan
※記載されている内容は、予告なく変更する場合がある。
※記載されている会社名・商品名は、それぞれ各社の登録商標または商標である。
2025.02.28
◆モリサワ 阪神甲子園球場との100周年記念共同プロジェクト 『甲子園フォント』お披露目式を開催 ~伝統と革新が融合した新たな『甲子園フォント』ついにお披露目~
株式会社モリサワ(代表取締役社長:森澤彰彦 本社:大阪市浪速区敷津東2-6-25、Tel:06-6649-2151代表、以下モリサワ)は、阪神電気鉄道株式会社(代表取締役社長:久須勇介 本社:大阪市福島区、以下阪神電気鉄道)との100周年記念共同プロジェクト『甲子園フォント』を開発し、2025年2月27日(木)に阪神甲子園球場でお披露目式を行った。

(上)選手名は阪神タイガースリーグ2023年優勝時のスターティングメンバー
(下)1985年開幕時のスターティングメンバー
同プロジェクトは、阪神甲子園球場が大切に受け継いできた「甲子園文字」を、文字のプロフェッショナルとして歴史を紡いできたモリサワが、現代の実用に即した『甲子園フォント』として制作したものである。『甲子園フォント』は、2025年シーズンから阪神甲子園球場のスコアボードで使用されるほか、タオルなどの球場オリジナルグッズにも使用される。
■甲子園文字と『甲子園フォント』について
阪神甲子園球場のスコアボードでは、1983年まで、職人が黒い板に毛筆で手書きをした文字を使用しており、その独特な字形が「甲子園文字」として親しまれてきた。スコアボードを電光掲示に改修した1984年以降も、その伝統を受け継ぐべく、同球場の職員が甲子園文字を踏襲したオリジナルの文字を作り、表示することで、その伝統を受け継いできた。
『甲子園フォント』は、「甲子園文字」の伝統を次の時代に繋ぐコンセプトで、より多くの方の読みやすさに配慮したUD(ユニバーサルデザイン)フォントをベースとしている。甲子園文字の筆書きのニュアンスを取り入れながら、太みと文字サイズの調整を行って、ビジョンに表示された時も視認性を確保した明朝体として制作した。また、スコアボード上で重要となる数字の書体は、甲子園文字ではゴシック体だったことから、今回も同様にゴシック体を継承している。
『甲子園フォント』の開発を記念して、開発の裏側を映したメイキング動画を本日公開しました。動画では、当時の「甲子園文字」を知る元阪神タイガース・真弓明信氏にも話を伺い、手書きの甲子園文字の思い出や、新たな『甲子園フォント』について、「甲子園文字の力強さがありながらかっこいい」との感想も得ている。
メイキング動画はこちら https://www.shashokuki100.jp/koshien/

手書きの甲子園文字の思い出を語る真弓明信氏(メイキング動画より)

『甲子園フォント』を開発中の様子
また、モリサワ公式noteにて甲子園文字の歴史、タイプデザイナーによるデザインの解説や制作秘話などを紹介している。

モリサワ公式note「甲子園文字を未来につなぐ共同
プロジェクト『甲子園フォント』が生まれるまで」はこちら
https://note.morisawa.co.jp/n/n50ff2e857ef3
■阪神甲子園球場におけるお披露目式
2025年2月27日に開催したお披露目式では、大勢の関係者や報道陣が集まり歴史的な瞬間を見届けた。イベントでは事前レクチャーでプロジェクトメンバーが「甲子園文字」の歴史やフォント制作の背景について詳しい説明を行い、その後グラウンドに移動。甲子園球場の歴史や『甲子園フォント』制作の舞台裏を紹介する動画が流れた後、スコアボードに『甲子園フォント』が表示され、場内放送係員のコールに合わせて阪神タイガース2023年優勝時のスターティングメンバーと1985年の開幕時のスターティングメンバーの名が並んだ。過去と現在の選手名が表示されるたびに、会場は大きな拍手と歓声に包まれた。
また、登壇者として阪神電気鉄道の谷本修取締役と、モリサワの森澤彰彦代表取締役社長が登場し、『甲子園フォント』の完成を祝った。

■登壇者コメント
阪神電気鉄道株式会社 谷本修 取締役 スポーツ・エンタテインメント事業本部長
阪神甲子園球場では、スコアボードが手書きから電光式に変わってからも、甲子園文字を受け継ぐ、球場オリジナルの文字を作り、表示することで、その伝統を継承してまいりました。
今回、モリサワ様の手により、甲子園文字のデザイン的特徴を受け継ぐ、『甲子園フォント』が開発され、デジタル表示における甲子園文字が完成形となったことで、これからの100年にも甲子園文字を受け継いでいけることを、大変嬉しく思っております。
この『甲子園フォント』が、多くのファンの皆様に親しまれ、これから生まれる名勝負、名選手たちとともに、新たな歴史を刻んでいってくれることを願っています。
株式会社モリサワ 森澤彰彦 代表取締役社長
創業者が世界で初めて「邦文写真植字機」を発明してから100周年という記念すべきタイミングで、阪神甲子園球場様と共に「甲子園文字の伝統を次の時代に繋ぐ」というコンセプトの『甲子園フォント』開発プロジェクトに携わることができ光栄です。「文字を通じて社会に貢献する」を社是に、数々のフォントを作り続けているモリサワが、長年使用されてきた文字の特徴を活かしつつも、実用に即したユニバーサルデザインフォントをベースに、視認性を保つよう開発したフォントです。今後も長きにわたって『甲子園フォント』が野球ファンの皆さまに愛されるものになりますよう願っております。
■『甲子園フォント』使用のグッズについて
『甲子園フォント』誕生を記念したグッズが、2月28日(金)より甲子園eモール、球場ショップ限定で販売される。
詳細はこちら(https://koshien.hanshin.co.jp/goods/)

左上から 甲子園フォント フェイスタオル、ネックストラップ、シークレットポジション木札、トートバッグ
■甲子園歴史館にて、特別展示を4月6日(日)まで開催
甲子園歴史館で開催中の「センバツ企画展2025」において、『甲子園フォント』に関する特別展示を開催している。
甲子園文字の歴史や『甲子園フォント』プロジェクトの概要、フォント制作方法などをパネルで紹介する他、フォント制作の基となる原図や、原図の制作道具などの展示、2024年の阪神タイガース公式戦でモリサワが開催した、『甲子園フォント』制作を記念した冠試合の様子などを紹介している。
モリサワについて
創業者である森澤信夫は、石井茂吉氏(株式会社写研の創業者)と共に、1924年に世界で初めて「邦文写真植字機」を発明し特許を申請、従来の活版印刷に代わる新たな印刷技術として印刷・出版社へ普及しました。「文字を通じて社会に貢献する」を社是に研究・開発を続け、2025年現在、より多くの人が読みやすいUDフォントや、2,000書体以上を搭載したフォントサブスクリプションサービス「Morisawa Fonts」などを展開しています。
●同件に関する問い合わせ
株式会社モリサワ コーポレート・ブランディング部 広報宣伝課
E-mail:pr@morisawa.co.jp
SNSでも最新情報を公開しております
X(旧Twitter):@Morisawa_JP
Facebook:@MorisawaJapan
※記載されている内容は、予告なく変更する場合がある。
※記載されている会社名・商品名は、それぞれ各社の登録商標または商標である。
2025.02.20
◆モリサワ 大阪・関西万博「大阪ヘルスケアパビリオン」展示ディスプレイにゴシックMB101などのフォントが採用
株式会社モリサワ(代表取締役社長:森澤彰彦 本社:大阪市浪速区敷津東2-6-25、Tel:06-6649-2151 代表、以下モリサワ)は、このほど、大阪府と大阪市などが出展する「大阪ヘルスケアパビリオン Nest for Reborn(以下、大阪ヘルスケアパビリオン)」のサポーターとして、フォントを提供することを発表した。

大阪ヘルスケアパビリオンは、オール大阪の知恵とアイデアを結集させ、訪れた人々が「いのち」や「健康」、近未来の暮らしを感じられる展示を実現するとともに、大阪という都市の活力・魅力を世界のより多くの人々に伝えることを狙いとしたパビリオン。誰もがわくわくしながら、驚きや新たな発見に満ちた感動が味わえるとともに、体験や共創を通じて、深く心に記憶され、新たな行動につながるような参加型のパビリオンを目指している。

大阪ヘルスケアパビリオンで使用されるフォントは、会場の平面サインに「見出ゴMB31」「太ゴB101」、アプリケーション用組込みフォントに「ゴシックMB101 B」「UD新ゴ ハングル」の採用が決まっている。
見出ゴMB31、太ゴB101、ゴシックMB101は、写真植字(写植)書体としてのルーツを持ち、安定した力強さや風格を兼ね備えたゴシック体。オーソドックスなデザインで汎用性が高く、サインや見出しから本文組まで、さまざまな用途に使いやすいフォントである。
またUD新ゴ ハングルは、造形的なバランスを保ちながら、和文のUD新ゴと同様にふところを広くして、縦横どちらの組み方向でも読みやすいように設計したUD(ユニバーサルデザイン)フォント。高い視認性と可読性により、公共の場での情報伝達を支援している。
モリサワは、これらフォントの提供を通じて、大阪ヘルスケアパビリオンの成功に貢献していくとのことだ。
2025年日本国際博覧会(以下、大阪・関西万博)への協賛について
モリサワは、2023年7月に公益社団法人2025年日本国際博覧会協会と「大阪・関西万博PRブロンズパートナー」として協賛契約(広報・プロモーション参加)、2024年5月にフォント提供に関する協賛契約の締結を発表しており、大阪・関西万博の会場サインや公式アプリ、パンフレットなどで使用するための各種フォントも提供している。
モリサワについて
株式会社モリサワは、「文字を通じて社会に貢献する」を社是に研究・開発を続けているフォントメーカーである。Windows10以降に搭載されているBIZ UDフォントやUDデジタル教科書体など、より多くの人にとって読みやすく設計されたUDフォントなどを開発している。2,000書体以上が使えるフォントサブスクリプションサービスMorisawa FontsやUDフォント55書体が使えるMORISAWA BIZ+のほか、機器やアプリケーションへの組込みフォントやWebフォントなど、利用環境に合わせたさまざまなフォントサービスを提供している。
●同件に関する問い合わせ
株式会社モリサワ EXPO2025推進室
E-mail:EXPO2025@morisawa.co.jp
SNSでも最新情報を公開している
X(旧Twitter):@Morisawa_JP
Facebook:@MorisawaJapan
※記載されている内容は、予告なく変更する場合がある。
※記載されている会社名・商品名は、それぞれ各社の登録商標または商標である。
2025.01.31
◆モリサワ ゴールドスポンサーとして「Adobe MAX Japan 2025」に協賛【2/13・東京】
株式会社モリサワ(代表取締役社長:森澤彰彦 本社:大阪市浪速区敷津東2-6-25、Tel:06-6649-2151 代表、以下モリサワ)は、2025年2月13日(木)に開催されるクリエイターのための祭典「Adobe MAX Japan 2025」にゴールドスポンサーとして協賛する。
アドビ株式会社が主催するAdobe MAX Japanは、グラフィックデザイン、写真、Web制作、UI/UXデザイン、映像制作、3D制作などに携わるクリエイター、およびそれらを目指す人が楽しめる日本最大級のクリエイティブイベントである。
モリサワの企業ブースでは、「Adobe Fontsにちょい足し」をテーマに、当社初のバリアブルフォントDriveFluxをはじめとする個性豊かな新書体ラインナップや、使いたい書体が選べる「Morisawa Fonts」の便利な新プラン「Select8 / Select24」を紹介する。
また、新書体にぴったりのワードを応募した人に、特製アクリルキーホルダーや最新の書体見本帳をプレゼントする参加型企画を用意しているほか、アフターパーティー前のメインステージにて、多彩な書体を楽しめる即興映像のVJパフォーマンスを実施する。
同社では、書体たちが演出するクリエイティブな世界観を会場で体験してもらうことを望んでいる。
■開催概要
名称:Adobe MAX Japan 2025
会期:2025年2月13日(木)10:00〜20:00
会場:東京ビッグサイト 東7 / 8ホール
イベント詳細はこちら https://maxjapan.adobe.com/
※来場者プレゼントなどの詳細は、モリサワの公式X(旧Twitter)
「@Morisawa_JP(https://x.com/morisawa_jp) 」で案内。
■出展内容
Morisawa Fonts
https://morisawafonts.com/
2024年度 モリサワ新書体
https://new.morisawafonts.com/2024/
●同件に関する問い合わせ
株式会社モリサワ コーポレート・ブランディング部 広報宣伝課
E-mail:pr@morisawa.co.jp
SNSでも最新情報を公開している
X(旧Twitter):@Morisawa_JP
Facebook:@MorisawaJapan
※記載されている内容は、予告なく変更する場合がある。
※記載されている会社名・商品名は、それぞれ各社の登録商標または商標である。
2025.01.31
◆富士フイルムグラフィックソリューションズ Revoria Press PC1120導入事例――株式会社小松写真印刷 3,000通し以下のジョブをデジタル印刷に移行し、生産効率アップ 品質の制約がなくなり、オフセット/デジタルの臨機応変な使い分けが
「印刷文化を通じて地域社会に貢献する」の理念のもと、山形県酒田市で120年以上にわたり印刷事業を展開する株式会社小松写真印刷(本社:山形県酒田市京田2-59-3、代表取締役社長:村上慈氏)は、2024年3月、富士フイルムのプロダクションカラープリンター『Revoria Press PC1120』(以下PC1120)を導入し、「オフセットジョブのデジタル印刷への移行」による生産工程の効率化を図っている。特色対応モデルではなく敢えて4色モデルを選択し、“オフセット印刷機に代わる新たな生産機”としてフル活用しているという同社に、導入の狙いや効果などについて伺った。

■女性が活躍しやすい環境づくりに注力
小松写真印刷は、1902年(明治35年)、米どころ・庄内の地で小松幸吉氏により『小松活版所』として創立。米穀取引所で発行する「米券」の印刷を手がけたのが始まりである。その後、文芸誌、総合雑誌、詩集・句集などの出版物の製作を通じて地域文化の発展に貢献。ここで培った技術力や地元顧客との信頼関係を礎として、各種商業印刷、パッケージ印刷、情報誌の企画編集、Web・動画制作、イベントの企画運営などへと事業領域を拡大し、総合印刷会社としての地位を確立していった。
現在の同社の大きな特色として、企画・制作部門に約30名と、多くの人員を擁していること、そして女性従業員の比率が高いことが挙げられる。
「私どもの本拠地である酒田市は、『日本一女性が働きやすい町』を目指して行政が女性支援を積極的に行なっています。当社もその流れに沿い、女性が活躍しやすい職場づくりに取り組んでおり、作業環境のクリーン化・スキルレス化などを進めています。現在、約110名の社員のうち45%ほどが女性です」(村上社長)
1991年には、女性のみの編集部を立ち上げ、地域情報誌『SPOON』を刊行。「30歳代の女性が誇りをもって働けるよう、地元に密着した情報を発信する」というコンセプトで、庄内地域の文化や人、生活を女性目線で紹介し、幅広い世代からの支持を集めた。この『SPOON』の刊行事業により、同社は2005~2006年度に「庄内文化賞」「山形県産業賞」を受賞している。
さらに、2023年には、女性活躍推進企業として『えるぼし』の5つの評価項目すべてを満たし「3段階目」の認定を取得した。
現在、印刷設備としては、オフセット枚葉機4台および輪転機2台を有するほか、2017年に新設したフレキソ工場には、ウインドミュラー&ヘルシャー社のCI型フレキソ印刷機を備え、環境に配慮した水性フレキソによる軟包装印刷も手がけている。
■オフセットからの移行を進めるため、品質重視で選定
同社はデジタル印刷機も長年にわたり活用を続けており、これまではPC1120の前任機である『Color 1000 Press』を主力機として運用していた。しかし、サポート期間の終了が近づいたことと、「今後は小ロットジョブを中心にオフセット印刷からデジタル印刷への切り替えを推進していくことが必要」との考えから、印刷設備運用の見直しも兼ね、2022年頃から新機種の検討を開始した。その背景について、村上社長はこう語る。
「いま、当社にとって一番の課題は人手不足です。とくにオフセット印刷機のオペレーターは、募集をかけてもなかなか集まりません。小ロットのジョブが多くなると生産効率がかなり低下してしまうため、デジタル印刷で対応できる仕事はなるべくデジタル印刷機に振り分け、生産能力を確保したいという思いがありました」

村上社長
同社では、デジタル印刷機を印刷工場ではなく制作部のフロアに設置し、オペレーションも、デザイナーなど制作部のスタッフが行なう体制をとっている。制作部門は印刷オペレーターに比べて人材を確保しやすいという。また、デジタル印刷機であればオフセット印刷機に比べ短期間で操作の習得が可能である。こうしたことから、デジタル印刷への移行を進め、生産工程全体の効率を高めようという考えだ。
これを実現するためには、「オフセットと同等品質のデジタル印刷機」が必要になる。そのため、新たに導入する機種については品質を重視して選定した。
「富士フイルム以外のメーカーの機種もいくつか検討しましたが、その中で、オフセット印刷との品質差が最も小さかったのがPC1120でした。人物写真の入った同じデータをオフセットとPC1120で印刷して比較したところ、社内でも違いがわかる人はほとんどいませんでした。Color 1000 Pressと比べても明らかに品質が上がっていますね。これだけの仕上がりが得られるなら、色に厳しい仕事でも充分に活用できると確信しました」(村上社長)
もう一つ、選定の決め手になったのは、導入前に実施したジョブ分析だ。オフセット枚葉機のジョブを5カ月分抽出し、FFGSで分析した結果、菊半3,000通し以下のジョブが全体の約66%を占め、それらのジョブにおける可働率(べきどうりつ=総作業時間に対する正味印刷時間の割合)は約11%にとどまっていることが判明。その上で、オフセットジョブのPC1120への移行についてシミュレーションを行なったところ、約3,000通しのジョブでも、作業時間やコストなどにおいてメリットが出ることがわかった。こうして損益分岐点や具体的な効果などがデータとして示されたことも、PC1120の導入を後押しした。

PC1120のオペレーションは制作部のスタッフが担当。印刷未経験者でも問題
なく使いこなせているという
■営業も積極的にPC1120を選択。出力枚数は前年の7倍に
同社では、特色などを使った付加価値提案や商材開発よりも、まずは「デジタル・オフセット併用による生産効率化」を重視するという考えから、PC1120の4色モデルを選択した。村上社長は「CMYKの4色でも品質面のメリットは大きく、当初の狙い通り、オフセットからの移行は順調に進んでいる」と評価する。
遠藤氏
「導入から約3カ月後のPC1120の稼働実績を見ると、Color 1000 Pressを運用していた前年同時期に比べ、出力枚数が一気に7倍に増えています。従来はオフセットに回していた仕事でも、いまは積極的にPC1120を活用するようになっているので、その結果が表れていると思います」(村上社長)
オペレーションを担当する制作部の遠藤由果氏も、「PC1120を導入してからデジタル印刷のジョブが明らかに増えている」と実感を語る。
「印刷ダイヤ(ジョブのシフト表)を見ると、PC1120はびっしり埋まっていてフル稼働状態。平均ロットも以前に比べて大きくなっていると思います。Color 1000 Pressでは300~400枚ぐらいまでのジョブがほとんどでしたが、PC1120では2,000枚、3,000枚といったジョブも通しています」
オフセット/デジタルへのジョブの振り分けは、主に営業が受注時に判断しているという。PC1120への移行が早い段階から進んだのは、損益分岐点が約3,000枚になるという情報が営業部門にもしっかりと共有された結果だろうか。
「もちろんそれもあると思いますが、加えて、短納期の要望が増えていることも背景にあるでしょう。オフセットの場合は加工を含めて3日ほどの納期が必要ですが、デジタル印刷機では、最短で即日納品も可能ですから、品質がほぼ同じでコストアップにならなければ、納期の短い方を選びます。PC1120の導入後はこのように印刷設備の柔軟な選択が可能になりました」(村上社長)
また、オフセットの印刷物に色を合わせるケースでも、PC1120のメリットが活きているという。
「たとえば、初版をオフセットで印刷し、再版は少部数をデジタル印刷機で出力するといった場合に、PC1120ならかなりの精度で近づけることができます。Color 1000 Pressと比べても、さらに合わせやすくなったと感じます」(遠藤氏)
色のマッチングも含め、オフセット印刷とデジタル印刷の臨機応変な併用が可能になったことで、その効果は印刷工程全体にも。
「以前は、時期によってオフセットに仕事が集中してしまい、残業しなければこなし切れないという状況が発生していましたが、いまではそうしたバランスの悪さがだいぶ解消されています。まだ詳細なデータはとっていませんが、これまでにオフセットジョブの30%近くがPC1120に切り替わっていると思います。オフセット側では、3,000通し以下の小ロットジョブが減った分、付帯作業時間の割合も減少し、実質的な稼働率は確実に上がっているはずです」(村上社長)

イベント案内パンフレット、日本酒ラベル、地域情報誌など、さまざまな印刷物にPC1120を活用
■印刷物の多言語展開など、新規提案への活用も
PC1120の稼働開始から1年経たずして、その品質性能を存分に引き出しながら、生産効率化、人材確保などの面で確かな成果を挙げている小松写真印刷。今後は、社内全体の効率化・DXをさらに推進しながら、デジタル印刷ならではの特性を活かした新たな受注の獲得にも取り組んでいく考えだ。
「酒田は港町ということもあり、外国人観光客の来訪が増えており、それに伴って最近は多言語の印刷物の需要が高まっています。たとえば、イベント案内や観光施設のパンフレットなどを複数の言語で作成する場合、多品種小ロットになりますから、デジタル印刷が適しています。地元のスーパーや道の駅などでも、インバウンド向け多言語小冊子や店内POP、チラシ、ポスターなどのニーズが見込めるので、これから積極的に提案していきたいですね」(村上社長)
さらに、紙器パッケージなどへの活用も視野に入れているという。
「いま、地元の洋菓子店さんとコラボ企画を進めており、その中でパッケージの製作についても相談をいただいています。コラボ商品はやはり小ロットになるので、PC1120の新たな用途の一つになるのではないかと考えています」(村上社長)
社内の課題解決だけにとどまらず、地域のニーズにきめ細かく応えるためのツールとしても、同社のPC1120の活用はまだまだ広がりを見せそうだ。
2024.12.26
◆年頭所感 富士フイルムホールディングス株式会社 代表取締役社長・CEO 後藤 禎一

代表取締役社長・CEO 後藤 禎一
グローバルで印刷業界の変革をリードし、お客様に価値を提供していく
2025年の新春を迎え、印刷業界の皆さまに謹んでご祝詞を申し上げますとともに、旧年中の多大なるご愛顧・ご支援に対し、心より御礼を申し上げます。
富士フイルムグループは、昨年1月20日に創立90周年を迎えました。この長きにわたる歴史の中で、当社をご支援くださった皆さまに心から感謝申し上げます。
この90周年の節目にあたり、よりよい未来を創るために富士フイルムグループが社会で果たしていくべき役割は何なのか社内で議論を重ね、「地球上の笑顔の回数を増やしていく。」というグループパーパスを制定しました。そして、グループパーパスの下で推進する成長戦略として、昨年4月には中期経営計画『VISION2030』をスタートしました。2030年のあるべき姿を「富士フイルムグループの企業価値をさらに高め、世界TOP Tierの事業の集合体としてさまざまなステークホルダーの価値(笑顔)を生み出す企業」と定め、その実現に向けて事業ポートフォリオマネジメントを一層強化してまいります。
その事業ポートフォリオ強化の一環として、昨年、グラフィックコミュニケーション事業を富士フイルムビジネスイノベーションに統合しました。この再編により、刷版材料におけるグローバルでの強固な基盤や、生産ラインの統廃合により構築したリーンな体制、ゼログラフィー技術とインクジェット技術を併せ持つことによる価値提供の拡大など、さらなるシナジーの強化を図っていきます。
その新たなスタートの場となったのが、昨年、ドイツ・デュッセルドルフで開催された『drupa2024』であり、アナログ印刷からデジタル印刷、DXまで、世界最大規模の製品・サービスのラインアップ展示を通じて、圧倒的な総合力を世界にアピールすることができました。私も現地に赴き、そこで確信したのは、デジタル印刷やパッケージ印刷、サイネージなどの分野では新たなビジネスチャンスが生まれており、グラフィックコミュニケーション事業には成功の余地が十分にあるということ。当社グループの総合力や環境性能の高さについても多大なるご評価をいただき、「グローバルで印刷業界の変革をリードして多くのお客さまに価値を提供していくこと」が私どもの使命であるとの決意を新たにいたしました。今後も事業を通じて卓越した価値を提供し、業界の皆さまにより多くの笑顔をもたらすことができるよう挑戦を続けてまいりますので、どうぞご期待ください。
最後になりましたが、皆さまのご多幸とさらなるご繁栄を祈念いたしまして、新年のごあいさつとさせていただきます。
2024.12.26
◆年頭所感 富士フイルムグラフィックソリューションズ株式会社 代表取締役社長 山田 周一郎

代表取締役社長 山田 周一郎
各印刷会社の強みを活かした付加価値の創出を支援する
明けましておめでとうございます。印刷業界の皆さまにおかれましては、新たな決意を胸に2025年の新春を健やかにお迎えのことと、心よりお慶び申し上げます。
さて、産業界はいま、エネルギー価格・物価の上昇、サプライチェーンの混乱、そして人手不足といった多くの課題に直面しています。しかし、課題があるところには必ず「解決策」のニーズが存在します。印刷が貢献できることも、決して少なくないでしょう。この状況を、“課題解決のための新たな商品やサービス”を生み出す好機と捉え、成長へとつなげていきたいものです。
厳しい環境の中でも、印刷業界は確実に、新しい時代へと前進しています。それを実感させてくれたのが、昨年5月に開催された『drupa2024』でした。とくに、AIをはじめとするデジタル技術を駆使した提案は、富士フイルムを含め多くのメーカーが打ち出し、人材不足などの課題に対する有効策として注目を集めていました。
FFGSとしても、トナー/インクジェットのデジタル印刷機をはじめとして、全工程を包括する実践的なソリューションの拡充を進めています。また、アナログ・デジタル双方のソリューションを持ち、それらをお客さまの課題や戦略に応じて最適な形で提供できることも当社の大きな強みの一つ。オフセット印刷とデジタル印刷の知見を活かして4年前から注力している「生産環境の最適化」のご提案は、多くのお客さまからご賛同をいただいています。
今後、FFGSではこの「生産基盤づくりのサポート」をさらに推し進め、「各印刷会社の強みを活かした付加価値の創出」までをお手伝いできるよう、ソリューションの拡充、提案力の向上に努めてまいります。いま、印刷に求められるのは「量」よりも「質」、すなわち「価値」です。価値とは、言い換えれば「コスト分の効果」。お客さまが支払う金額や費やす時間に見合う、あるいはそれ以上の効果を提供できるかどうか。そこには、印刷会社それぞれの独自性を発揮できる余地がたくさんあるのではないでしょうか。皆さまがこれまで培ってこられたノウハウや技術力に、新しいアイデアを加えて、「いままでにない価値」を創り出す。そのお手伝いをさせていただき、印刷需要の創出に貢献していきたいと考えています。
FFGSは、今年も皆さまと共に走り続けます。困難な時代でも、諦めなければ必ず道はひらけるはず。一緒に新しい印刷の時代をつくっていきましょう。
最後になりましたが、皆さま方のご健勝とますますのご発展をお祈りし、新年のごあいさつとさせていただきます。
2024.12.23
◆モリサワ Morisawa FontsにWebフォントのプロジェクト情報を引き継げる新機能を追加
株式会社モリサワ(代表取締役社長:森澤彰彦 本社:大阪市浪速区敷津東2-6-25、Tel:06-6649-2151 代表、以下モリサワ)は、フォントサブスクリプションサービス「Morisawa Fonts」のWebフォントにおいて、フォントを配信するためのプロジェクト情報を別のプロジェクトへ簡単に引き継げる機能を新たに追加し、より効率的なWebサイトの制作、運用を実現した。

通常、フォント配信用の埋め込みコード(CSSコード)は、Morisawa FontsのWebプロジェクト設定よりプロジェクトごとに指定される。そのため、プロジェクトの変更が発生した際は、新たなCSSコードをWebサイト上で再設定する作業が必要だった。
しかし、この度の「プロジェクト引き継ぎ機能」を利用することにより、埋め込みコードを含むフォント情報やドメインをプロジェクト間で簡単に引き継げるようになり、Webサイトを効率的に運用できるようになった。
Webフォントを自身が管理する別プロジェクトで使用する場合はもちろん、制作委託先がWebサイトをサイトオーナーへ納品するケースなど、他のユーザーへプロジェクトを移行する際の作業も円滑に進むため、Webフォントがさらに利用しやすくなっている。
◆提供開始日
2024年12月23日(月)
対象プラン
Morisawa Fonts Webフォント
https://morisawafonts.com/plans/webfont/
◆利用方法
〈プロジェクトをエクスポートする〉
1.「Webプロジェクト設定」内の「ダッシュボード」から引き継ぎたいプロジェクトを選択する。

2.「プロジェクト設定」のメニューから「プロジェクトの引き継ぎ」をクリックする。

3.「プロジェクトの設定をエクスポートする」トグルをオンにして、エクスポートを実行する。

4.エクスポートしたプロジェクトの情報(プロジェクトI D)を、引き継ぎ先に連携させる。
〈プロジェクトをインポートする〉
1.「Webプロジェクト設定」内の「ダッシュボード」から、引き継ぎ情報を取り込みたいプロジェクトを選択もしくは新規作成する。
2.「プロジェクト設定」のメニューから「プロジェクトの引き継ぎ」をクリックする。
3.「他のプロジェクトの設定をインポートする」の「インポートする」ボタンをクリックする。

4.取り込みたいプロジェクトIDを入力し、「インポートする」ボタンをクリックする。

5.インポート完了後、「フォントを同期する」ボタンをクリックすると、Webフォントの配信が開始される。

注意事項
・プロジェクトの引き継ぎが完了すると、引き継ぎ元のプロジェクトは新しい埋め込みコード(CSSコード)に自動変更される。
・引き継ぎ機能は、設定をオンにしてから30日間有効である。30日が経過すると引き継ぎができなくなるので、引き継ぎを実施したい場合は再度「プロジェクトの設定をエクスポートする」トグルをオンにする必要がある。
Morisawa Fontsについて
Morisawa Fontsはクラウド型のフォントサブスクリプションサービス。グラフィックデザイン、WebサイトやプロダクトのUI/UX、映像や動画といったモーショングラフィックスなど、さまざまなクリエイティブスタイルに必要なフォント環境を柔軟に提供する。また、事業規模に応じたエンタープライズ要件に対応する機能も随時アップデートし、効率的なワークフローをサポートしている。さらに、日本国内だけでなく2024年3月にはシンガポールで販売開始するなど、国境をまたぐグローバルなクリエイティブワークにも対応している。
Morisawa Fontsサービスサイトは以下より
https://morisawafonts.com/
●同件に関する問い合わせ
https://support.morisawafonts.com/hc/ja/requests/new
SNSデモ最新情報を公開している
X(旧Twitter):@Morisawa_JP
Facebook:@MorisawaJapan
※記載されている内容は、予告なく変更する場合がある。
※記載されている会社名・商品名は、それぞれ各社の登録商標または商標である。
2024.12.18
◆富士フイルムグラフィックソリューションズ Revoria Press PC1120導入事例 株式会社プリプレス・センター 大ロットのバリアブルジョブで圧倒的な生産性・品質安定性を発揮 最新の検査装置により検品作業が大幅に効率化、クライアントか
北海道を拠点に、独自に培ったシステム開発力と充実した生産設備を駆使し多様な印刷・加工サービスを提供する株式会社プリプレス・センター(本社:札幌市中央区南10条西8丁目4-1、代表取締役:藤田靖氏)は、2024年3月、富士フイルムのプロダクションカラープリンター『Revoria Press PC1120』(以下 PC1120)を導入し、主要品目である年賀状や商品券、チケットなど、さまざまな印刷物に活用している。かなりの大ボリュームの仕事もPC1120でこなしているという同社だが、その中でどのようなメリットを感じているのか。導入の経緯や今後の展望なども含め、取締役 営業本部長・福地一美氏、製造部 工場長・柳原茂樹氏に伺った。

■年賀状事業を軸に、設備拡充を進めながら成長
プリプレス・センターは、1988年に代表取締役の藤田靖氏により創業。当初は軽印刷業として版下制作などを手がけていたが、1994年、デザイン制作分野のデジタル化を見越してMacintoshとイメージセッターをいち早く導入。24時間体制でDTPおよび出力サービスを展開した。1998年にはPOD機を導入し、印刷業へと業態を変えていく。年賀状ビジネスをスタートしたのもこの時期で、以降、同社を支える基幹事業へと成長していく。2000年代に入ると、システム開発にも力を入れ、2002年には年賀状の自動編集プログラムを自社で開発。この仕組みをベースに、組版から最終印刷データ生成まで自動で実現するシステムを、仕事内容に応じて次々と構築していった。このシステム開発技術は、現在に至るまで同社の大きな強みの一つになっている。
2015年からはM&Aにも着手。その背景には、スピード感をもって事業拡大を図るという同社の戦略と、後継者問題に悩む印刷会社が増えているという業界の事情があった。現在までに、異業種を含む6社から経営譲渡を受け、『PPCグループ』として北海道から関東・近畿・九州までをカバーするネットワークを形成。事業領域も、マーケティングから一般商業印刷、パッケージおよびノベルティグッズ製作、デジタルメディアまで、幅広い分野に及んでいる。
また、社内外の環境改善活動にも力を入れており、環境マネジメントシステム『エコアクション21』の認証取得をはじめ、植林活動によるカーボン・オフセット、再生可能エネルギーの活用、FSC認証紙の採用など、さまざまな側面から環境負荷低減に取り組んでいる。女性活躍推進企業としての評価も高く、2023年には『えるぼし認定』の最高位である3つ星を取得している。
現在、札幌本社の生産設備としては、オフセット枚葉印刷機が3台とトナー方式のデジタル印刷機が3台、さらに各種製本機のほか、ホット箔押し機 8 台、デジタルコールド箔印刷機、ニス盛り上げ加工機など、道内トップクラスの特殊加工設備を誇る。この設備力を活かし、セキュリティ印刷や化粧箱、本の表紙などさまざまな製品に対応しており、同業者からの依頼も多い。
■検査装置の使いやすさと出力品質の高さが決め手に
そんな同社がPC1120を導入したのは2024年3月。トナー方式のデジタル印刷機は20年以上にわたり活用しており、最近では『Color 1000 Press』をメインに運用していたが、品質・生産性のさらなる向上を図るため、PC1120への更新を決めた。
導入検討にあたって重要視したポイントの一つが、自動検査装置(検査マネジメントシステム)だったという。

福地取締役
「デジタル印刷に関して大きな課題になっていたのが、バリアブルの印刷物の検品です。これまでは多大な時間と労力をかけ、人の目でチェックしていました。この検品の精度を上げ、作業の効率化も図るために、検査装置付きのデジタル機を検討することにしたのです」(福地取締役)
そこで候補に挙がったのが、PC1120ともう1機種、他メーカーのトナー機だった。
「出力品質は明らかにPC1120の方が優れていたのですが、検査装置の性能としては、その当時、他社機の方が一歩上という印象だったため、社内の意見はそちらに傾いていました。そんな中、PC1120の検査装置がバージョンアップされるという情報が入り、展示会で実機を確認したところ、格段に使いやすくなっていたのです。バリアブルデータの作成を担当しているSEにも一緒に見てもらったうえで検討した結果、PC1120の導入を決めました」(福地取締役)
「検査装置でとくに違いを感じたのは、バリアブル出力の際の、検査箇所を指定する操作です。他社のものは可変部分を1つずつ指定しなければならず、若干煩雑に感じたのですが、PC1120はタッチポイントが少なく、より効率的に出力できるところが魅力的でした。加えて、色再現などの品質や安定性に関しては、Color 1000 Pressでの実績もありますし、実際に出力サンプルを見ても満足できるものでした。これも大きな選択理由の一つです」(柳原工場長)
■特色も駆使し、年賀状、チケット、商品券など多用途に活用
PC1120は導入直後から、同社のデジタル印刷機の主力として品質・生産性・安定性を遺憾なく発揮している。用途は多岐にわたるが、自社開発の自動組版システムとの連携で、バリアブルのジョブも多数手がけている。ボリューム的にとくに大きいのが年賀状だ。見本の印刷を含めると、毎年8月から12月にかけての集中生産になる。2024年はトータルで約500万枚を印刷し、そのうち200万枚以上をPC1120が担った。ゴールドやピンクなどの特色も多く使用する。絵柄のバリエーションも、オフセット分を含めて500種類ほどあり、きわめて多品種のジョブである。製作した年賀状は、量販店や文具店などの店頭のほか、自社で運営するECサイトでも販売している。
定期のバリアブルジョブとしては、プロ野球球団のシーズンシートチケットも手がけている。46万枚という大ロットで、多面付出力しても通し数は2万枚以上。しかも、ナンバリングだけでなく絵柄も1枚ずつすべて異なるフルバリアブルだ。
また、最近需要が増えているものとして、商品券が挙げられる。全国から問い合わせが増えているといい、地方都市の商店街などの場合は小ロットの発注も多いという。いずれにしても、ナンバリングの正確性を含め、つねに高い品質を担保することが求められる。
「商品券は一種の金券であり、信頼性が非常に重視されます。また、小ロットでもきめ細かく対応できる印刷会社が意外と少ないので、一度手がけるとリピート発注をいただけることも多く、商品券から派生して、お店の小冊子など、別のアイテムの仕事につながるケースもあります。当社の場合、お客さまに『PC1120の検査装置によって自動で高精度な検査を行なっています』と説明でき、しかも組版のシステム構築も含めて総合的に対応できるところが強みになっています」(福地取締役)

左:シルバー、ゴールド、ピンクなどの特殊トナーを活用した年賀状のサンプル
右:メタリックカラー印刷や検査装置など、PC1120の特長をわかりやすく解説したチラシも作成
■自動検査装置の活用で、より確実な品質保証が実現
PC1120の導入メリットとしては、まず、自動検査装置による検品の精度アップ・負荷軽減が大きいという。
「たとえば商品券のナンバリングなどは、従来はアナログ的に人海戦術で1枚ずつチェックし、梱包前にも重量検品などを行なっていましたが、人手を介すると、やはりミスのリスクをゼロにすることはできませんし、作業者の負担も大きくなります。しかし現在は、検査装置によってデータの絵柄や可変部分などが1枚ずつ高精度にチェックされるので、検品作業にかける時間は大幅に短縮しています。出力されたものが100%正確だと確信が持てるようになったことで、データを扱っている担当者の安心感も増しましたし、お客さまに対しても、より確実に品質保証できるようになりました」(柳原工場長)

柳原工場長
検査装置に加えて、品質・生産性の向上に寄与しているのが、静電気除去装置だ。とくに冬の北海道は室内が乾燥しやすく、静電気トラブルへの対策は必須と言える。
「以前は、排紙部に除電棒を取り付けて対策していましたが、PC1120の静電気除去装置は当然それよりも遥かに除電効果が大きいです。帯電しやすい合成紙などでも安定して出力できるようになりました」(柳原工場長)
仕上がり品質への評価も高い。福地取締役は、「特色を使用したときのクオリティの高さが際立っている」と語る。
「とくにピンクトナーは非常に発色がよく、年賀状などで頻繁に使用しています。人物写真などでも、ピンクを加えることで肌の再現品質がぐっと上がりますね。また、ゴールドの質感もとてもいい。当社にはもう1台、特色を使えるトナー機がありますが、そちらのゴールドと比べても、見栄えが全然違います」(福地取締役)
CMYKの4色出力においても、期待通りの品質が得られているという。
「同じ絵柄でオフセットと比べても、ほとんど見分けがつかないレベルですし、用紙や絵柄などの条件によっては、PC1120の方がきれいに仕上がることも珍しくありません。また、PC1120は色の変動が非常に少ないうえ、オフセット印刷で起こりがちなピンホールやゴースト、クワエ汚れといったトラブルもありませんから、品質の安定性という面でもメリットは大きいですね」(柳原工場長)

RIP処理の速さもPC1120の大きな特長。重いバリアブルデータの出力時にも優れた
瞬発力を発揮する
■さらなる用途開発を進め、他社との差別化を図る
同社では、PC1120が新たな戦力として加わったことによって、デジタル印刷の活用比率がさらに高まっていくと見込んでいる。
「ここ何年かの加工高の実績を見ると、オフセット印刷はほぼ平行線で推移しているのに対し、デジタル印刷は急速に伸びています。この傾向はさらに顕著になるのではないでしょうか。PC1120は従来のColor 1000 Pressと比べても品質やスピード、信頼性が一段と上がっているので、より幅広い用途で生産機として活用できます。加えて、熟練を必要とせず、さまざまな人材が短期間のトレーニングで扱えるようになるという、デジタル印刷機ならではのメリットもありますからね」(福地取締役)
その上で、今後のPC1120の活用について、福地取締役はこう語った。
「紙媒体の総需要が減っている中で、印刷事業を成長させていくには、いかに高い付加価値をつけて、他社との差別化を図っていくかが重要な課題だと感じています。そのためには、ただ新しい機械を入れるだけでなく、独自の使い方や商品を生み出していかなければいけません。一例として、いま、PC1120の高精細な再現性を活かしたセキュリティ印刷(コピーガード)などのサンプルを作成し、お客さまに提案しているところです。“PC1120にしかできない印刷物”はほかにもたくさんあると思うので、これからも当社ならではの用途の開発に取り組んでいきたいと考えています」
2024.12.18
◆モリサワ 「Morisawa Fonts」教育機関/公共団体向けのプランを 2025年早春から提供開始 〜「教育機関/公共団体向け MORISAWA PASSPORT 」は販売終了〜
株式会社モリサワ(代表取締役社長:森澤彰彦 本社:大阪市浪速区敷津東2-6-25、Tel:06-6649-2151 代表、以下モリサワ)は、フォントサブスクリプションサービス「Morisawa Fonts」において、教育機関/公共団体向けのプランを2025年早春から提供開始することを発表した。
このほど提供予定の「Morisawa Fonts 教育機関/公共団体プラン」の「設備ライセンス」を使用することで、教育機関および公共団体が管理する共有の設備PCに、Morisawa Fontsに収録されている2,000書体以上の豊富なフォントライブラリーを導入できる。デバイス単位のライセンス形態で、商業利用も可能。契約期間は〈1年・3年・5年〉から選択でき、価格は教育機関プランが1ライセンスあたり27,720円(税込)/年〜、公共団体プランは1ライセンスあたり44,220円(税込)/年〜である。
同プランによって、教育現場における充実したフォント環境が実現するほか、UD(ユニバーサルデザイン)フォントをはじめ高い可読性と視認性を備えたモリサワのフォントが、公共団体の広報紙や案内表示などさまざまな情報伝達を支援可能になっている。
なお、Morisawa Fonts 教育機関/公共団体プランの提供開始に伴い、従来の製品「教育機関/公共団体向け MORISAWA PASSPORT」は段階的に新規契約・契約更新の受付を終了し、サービスの提供を終了する予定である。終了に関する今後のスケジュールは、決まり次第案内する。
■設備ライセンス 概要
1ライセンスあたりの提供価格
◆教育機関向け
ライセンス数 価格(税込)/年
1-9ライセンス ¥27,720
10-39ライセンス ¥25,080
40ライセンス以上 ¥17,160
◆公共団体向け
ライセンス数 価格(税込)/年
1-9ライセンス ¥44,220
10-39ライセンス ¥42,240
40ライセンス以上 ¥39,600
※複数年契約による割引や利用継続年数に応じた割引はない。
契約期間:1年/3年/5年
ライセンス形態:デバイスライセンス
提供開始時期:2025年早春予定
◆購入方法:
Morisawa Fontsサービスサイト内にて購入申請書を発行後、販売代理店もしくはモリサワへ注文を
※詳細情報は提供開始時に案内する。
■教育機関/公共団体向け MORISAWA PASSPORT終了に関する案内
教育機関/公共団体向け MORISAWA PASSPORTは、今後各種手続きを順次終了し、2025年度以降は新書体が追加されない。2025年度以降の新書体は、後継プランの「Morisawa Fonts 教育機関/公共団体プラン」で提供する。
教育機関/公共団体向け MORISAWA PASSPORTを利用中のユーザーへ、2025年度以降の新書体を利用するための方策として、Morisawa Fonts 教育機関/公共団体プランのライセンスに無償で切り替え対応を行う「新書体サポートプログラム」を実施する。
同プログラム対象のユーザーには、メールにて手続きの詳細を案内する。Morisawa Fontsのライセンスに切り替えを希望のユーザーは、ユーザー自身で手続きが必要になるため、今後の案内を待つことになる。
※Morisawa Fonts は、MORISAWA PASSPORTと動作環境等が異なる製品である。切り替えを検討のユーザーは、事前に動作環境(https://mf-migration.morisawa.co.jp/hc/ja/articles/8918246504473)を確認すること。
■「Morisawa Fonts 教育機関プラン」の拡充について
学生や教職員PCのフォントを教育機関が管理できる「学生ライセンス」「教職員ライセンス」のほか、学生や教職員、学内設備PCのフォントを学校単位で導入できる「包括ライセンス」を、2025年早春より提供開始予定である。
モリサワは、今後もクリエイティブ活動をするすべての学生とそれを支援する教職員、教育機関を応援するとともに、より良いサービスの追求を続けていく予定である。
「学生/教職員ライセンス」「包括ライセンス」の詳細は以下より
https://www.morisawa.co.jp/about/news/14663
Morisawa Fontsについて
Morisawa Fontsはクラウド型のフォントサブスクリプションサービス。グラフィックデザイン、WebサイトやプロダクトのUI/UX、映像や動画といったモーショングラフィックスなど、さまざまなクリエイティブスタイルに必要なフォント環境を柔軟に提供している。また、事業規模に応じたエンタープライズ要件に対応する機能も随時アップデートし、効率的なワークフローをサポートしている。さらに、日本国内だけでなく2024年3月にはシンガポールで販売開始するなど、国境をまたぐグローバルなクリエイティブワークにも対応している。
Morisawa Fontsサービスサイトはこちら https://morisawafonts.com/
●同件に関する問い合わせ
https://support.morisawafonts.com/hc/ja/requests/new
SNSでも最新情報を公開しております
X(旧Twitter):@Morisawa_JP
Facebook:@MorisawaJapan
※記載されている内容は、予告なく変更する場合があります。
※記載されている会社名・商品名は、それぞれ各社の登録商標または商標です。




