ニュースリリース
2023.11.02
◆モリサワ UDフォント開発と普及促進の取り組みが「STI for SDGs」アワード優秀賞を受賞
株式会社モリサワ(代表取締役社長:森澤彰彦 本社:大阪市浪速区敷津東2-6-25Tel:06-6649-2151 代表、以下モリサワ)は、国立研究開発法人科学技術振興機構(以下JST)が実施する「STI for SDGs」アワードにおいて「UDフォント(ユニバーサルデザインフォント)開発と普及促進」の取り組みが優秀賞を受賞した。
「STI for SDGs」アワードは、JSTが2019年度に創設したアワードです(後援:文部科学省)。科学技術・イノベーション(Science, Technology and Innovation: STI)を用いて社会課題を解決する日本発の優れた取り組みを表彰することで、その取り組みのさらなる発展や同様の社会課題を抱える国内外の他地域への水平展開を促し、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)の達成に貢献することを目的として、毎年実施されている。
モリサワは、2009年に最初のUDフォントをリリース以来、これまでさまざまなUDフォントを開発してきた。今回、モリサワが取り組むUDフォント開発と普及促進の活動が評価され、優秀賞を受賞した。
■受賞した取り組み
名称:「UDフォント(ユニバーサルデザインフォント)開発と普及促進」
概要:ロービジョン(弱視)やディスレクシア(読み書き障害)、加齢などによる視力や認知機能低下などで、文字からの情報収集に困難を抱える人にとって、文字の見やすさ、読みやすさは、日常生活に大きな影響を与える社会課題である。モリサワのUDフォントは、その課題に向き合い、さまざまな使用場面に応じて開発してきた。
その一つである「UDデジタル教科書体」は、読み書きに困難さを抱えた子どもに配慮したデザインであり、Windows OSに標準搭載されたことから、学校を含む教育現場でも活用されている。開発やデザイン修正の過程では、ロービジョンやディスレクシアなどの小学生を対象とした検証、障害当事者の参画、視覚障害シミュ
レーション用機器の利用などで、改善を重ねた。
英語、中国語、ハングル、アラビア語、タイ語などの多言語対応のUDフォントも開発・提供しており、現在進行形で新たなUDフォントの研究と開発を進めている。
UD教科書体の特徴
受賞理由
フォントの開発過程において、科学的な検証が繰り返し行われていること、読みやすさを重視するUDフォントの開発が多数行われていること、視覚認知に困難を抱える方のニーズに焦点をあて、当事者が間違いやすいポイントを丁寧に抽出し、修正と検証が繰り返すデザインプロセスを構築していることなどが評価された。
主としてSDGs目標4の他、3、11の達成への貢献が期待でき、UDフォント開発に携わるスタッフの活動やその意義は広く認知されるべきものであること、また他の目標達成を著しく損なうことのない活動であることから、選考委員会において優秀賞にふさわしいと判断された。
科学技術振興機構(JST)によるプレスリリースはこちら
https://www.jst.go.jp/pr/info/info1649/index.html
「STI for SDGs」アワードについてはこちら
https://www.jst.go.jp/sis/co-creation/sdgs-award/
なお、JSTが主催する「サイエンスアゴラ2023」にて、受賞者による取り組みの紹介やトークセッションを行う。
タイトル:STI for SDGs ~科学のチカラで未来をつくる!~ STI for SDGs: Shaping the Future with the Power of Science!
日時:2023年11月18日(土)14:30~16:00
会場:サイエンスアゴラ2023 5FオープンスペースE(テレコムセンタービル)
詳細はこちら
https://peatix.com/event/3699104
モリサワについて
モリサワは、大阪市に本社を置くフォントメーカー。Windows10以降に搭載されているBIZ UDフォントやUDデジタル教科書体など、より多くの人にとって読みやすく設計されたUDフォントも開発している。2,000書体以上が使えるフォントサブスクリプションサービスMorisawa FontsやWebフォント、機器やアプリケーションへの組込みフォントなど、利用環境に合わせたフォントサービスを提供している。
モリサワのサステナビリティ活動について
https://www.morisawa.co.jp/about/sustainability/
●同件に関する問い合わせ先
株式会社モリサワ サステナビリティ推進部 ダイバーシティ推進室
E-mail:sustainability@morisawa.co.jp
SNSでも最新情報を公開している
X(旧Twitter):@Morisawa_JP
Facebook:@MorisawaJapan
※記載されている内容は、予告なく変更する場合がある。
※記載されている会社名・商品名は、それぞれ各社の登録商標または商標である。
2023.11.02
◆富士フイルム 2023グリーンプリンティング認定制度で「GP資機材環境大賞」を受賞 GP資機材認定製品の機材部門において環境貢献度の高さを評価
富士フイルム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO:後藤 禎一)は、一般社団法人日本印刷産業連合会(以下、日印産連)の『2023グリーンプリンティング(GP)認定制度表彰』において、「2023GP資機材環境大賞」を機材部門で受賞した。これは、GP資機材環境大賞が創設された2018年の資材部門での受賞に続き2度目となる。10月18日、東京・新宿区のDNP左内町ビル・ホールで行なわれた表彰式には、富士フイルムグラフィックソリューションズ株式会社 代表取締役社長・山田周一郎と、富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 アドバンストオフセットアンドインダストリアルプリンティング事業部長・柳瀬健が出席し、日印産連副会長の堆誠一郎氏より賞状と盾が授与された。
「グリーンプリンティング(GP)」認定制度は、SDGsが社会の共通目標になる中、印刷総合環境配慮制度として日印産連が進めている取り組みで、印刷業界で環境配慮自主基準を達成した工場・事業所を認定するとともに、同基準に適合した印刷製品への「GPマーク」表示の認定、印刷工場が使用する資機材の認定などを行なっている。
富士フイルムが受賞した「GP資機材環境大賞」は、GP資機材認定製品の登録により、GP資機材認定製品を積極的に提供することで印刷工場の環境負荷低減および作業環境改善に貢献しているメーカーに贈られるものだ。富士フイルムは、インクジェットデジタルプレス『Jet Press 750S』をはじめとするJet Pressシリーズ、CTPセッターなどの多くが最高位であるスリースターの認定を受けていることから、今回の受賞につながった。
2023GP資機材環境大賞 機材部門 対象受賞 (左)日本印刷 左からグリーンプリンティングPR大使・小山薫堂氏、ウエノ
産業連合会副会長・堆誠一郎氏 (右)FFGS代表取締役社長・ 株式会社代表取締役社長・上野靖史氏、FFGS代表取締役社長・
山田周一郎氏 山田周一郎氏、日本印刷産業連合会副会長・堆誠一郎氏
賞状授与の後、「GP資機材環境大賞」を受賞した2社を代表して挨拶に登壇した山田社長は、「印刷会社様の環境負荷低減への意識が高まるなか、印刷業界の環境の改善に少しでも貢献できるよう製品開発と普及に取り組んできました。今回の受賞はその結果と考えており大変うれしく思います。2018年にいただいた資材部門に続き今回表彰いただけたことはとても栄誉なことです」と話した。
富士フイルムグループではこれまでも、CSR計画『Sustainable Value Plan 2030(SVP2030)』に基づき、生産活動で生じる環境負荷低減に注力しているほか、ご導入いただいたお客さま先での使用や廃棄に至るまでの製品のライフサイクル全体で、CO2排出量の削減や資材の有効利用を進めてきた。とくに近年では、印刷物の小ロット・多品種化が加速する中、オフセットライクな印刷品質で定評のあるインクジェットデジタルプレス『Jet Pressシリーズ』など、資材のロスを抑え、環境負荷低減に貢献しながら発注者のニーズに応えることのできる製品・ソリューションの開発・提案に注力している。富士フイルムグループはこれからも、ユーザーとのコミュニケーションを大切にし、品質・安定性・環境性を高いレベルで実現する製品の開発と普及に努めていくとのことだ。
2023GP資機材環境大賞 機材部門 大賞受賞 (左)富士フイルムビジネスイノベー
ションアドバンストオフセットアンドインダストリアルプリンティング事業部長・
柳瀬健氏 (右)FFGS代表取締役社長・山田周一郎氏
同件に関する問い合わせは、下記まで。
富士フイルムグラフィックソリューションズ株式会社 広報宣伝部
TEL:03-6419-0380 FAX:03-6419-9896
〒106-0031 東京都港区西麻布2-26-30 富士フイルム西麻布ビル
2023.10.23
◆モリサワ カワサキモータース初の電動・ハイブリッドバイクに モリサワ開発のオリジナルフォントが採用
株式会社モリサワ(代表取締役社長:森澤彰彦 本社:大阪市浪速区敷津東2-6-25、Tel:06-6649-2151 代表、以下モリサワ)は、このほど、カワサキモータース株式会社(代表取締役 社長執行役員:伊藤浩 本社:兵庫県明石市、以下カワサキ)が初めて手がけた電動モーターサイクルおよびハイブリッドモーターサイクルにオリジナルフォントを開発、提供した。
カワサキが、モーターサイクル用にオリジナルフォントを採用するのは今回が初めてです。カワサキ初の電動モーターサイクルであるNinja e-1とZ e-1およびハイブリッドモーターサイクルNinja 7 Hybridにふさわしいデザインを実現するため、オリジナルフォントを開発、採用することとなった。今回採用されたのは、「Kawasaki Type 001」と「Kawasaki Type 002」の2つのフォントで、TFTメーターの時計部分に「Kawasaki Type 001」、それ以外のスピード、ギアポジション、バッテリー表示などに「Kawasaki Type 002」が使用されています。また、車両の状態や走行ログなどを確認するためのアプリ『RIDEOLOGY THE APP』にも「Kawasaki Type 002」が採用されている。
「Kawasaki Type 001」「Kawasaki Type 002」いずれも、走行中の振動や天候などさまざまな状況下における視認性を重視しつつ、「Kawasaki Type 002」は、スピード感やメカニック感といった個性をデザインで表現し、「Kawasaki Type 001」は、より幅広いモデルでの使用を想定している。ともに、今後、カワサキが発売する新たなモデルにも採用予定だ。
TFT液晶スクリーンの時計部分にはKawasaki Type 001、それ以外の
部分には、Kawasaki Type 002が使われている。
今回、発表されたNinja e-1、Z e-1は、欧州など導入国にて順次発売が開始され、日本国内においても発売が予定されている。Ninja 7 Hybridは2024年より、導入国にて順次発売予定です。燃費の良さと高い走行性能を両立し、近距離の通勤通学からツーリングなどで活躍するモーターサイクルである。
初のオリジナルフォント採用の背景や開発中のエピソードについて、モリサワではカワサキモータース企画本部デザイン部のスタイリングデザイナーに伺っているので、インタビュー内容は下記URLより見ることができる。
モリサワUser’s Voice
カワサキ初の電動モーターサイクル、ハイブリッドモーターサイクルとともに誕生
屋外走行に耐える視認性を備えたオリジナルフォント
https://www.morisawa.co.jp/products/fonts/voices/9797
モリサワnote
カワサキ初の電動モーターサイクル、ハイブリッドモーターサイクルに導入された
「視認性×個性」を叶えたオリジナルフォントの話
https://note.morisawa.co.jp/n/nb8a8a1b0e944
オリジナルフォントとは、独自のブランドや製品のイメージに合わせてカスタマイズする独自のフォント。既存のフォントをベースにデザインをカスタマイズしたり、新たな文字を追加することなどもできる。欧文フォントと和文フォントの組み合わせや、Webフォントや組込みフォントなど、利用目的に合わせた提供が可能である。
モリサワのオリジナルフォントについては以下より
https://www.morisawa.co.jp/products/fonts/embedding/original-font/
Ninja e-1、Z e-1については以下より
https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/20230921_1.html
Ninja 7 Hybridについては以下より(英文)
https://www.kawasaki.eu/en/News_and_events/kawasaki--change-the-game--with-new-strong-hybrid-ninja-7-hev.html
今回、発表されたNinja e-1、Ninja 7 Hybridは、Japan Mobility Show 2023 に展示予定。
https://www.kawasaki-cp.khi.co.jp/corp/news/23-10-12/index.html
モリサワについて
モリサワは、大阪市に本社を置くフォントメーカーです。Windows10以降に搭載されているBIZ UDフォントやUDデジタル教科書体など、より多くの人にとって読みやすく設計されたUD(ユニバーサルデザイン)フォントも開発しています。2,000書体以上が使えるフォントサブスクリプションサービスMorisawa FontsやWebフォント、機器やアプリケーションへの組込みフォントなど、利用環境に合わせたフォントサービスを提供しています。
●オリジナルフォントに関する問い合わせ先
株式会社モリサワ エンタプライズ営業部 エンタプライズ営業課
E-mail:enterprise-sales@morisawa.co.jp
●同件に関する問い合わせ先
株式会社モリサワ 東京本社 ブランドコミュニケーション部 広報宣伝課
E-mail:pr@morisawa.co.jp
SNSでも最新情報を公開している
X(旧Twitter):@Morisawa_JP
Facebook:@MorisawaJapan
※記載されている内容は、予告なく変更する場合がある。
※記載されている会社名・商品名は、それぞれ各社の登録商標または商標である。
2023.10.05
◆富士フイルム グラフィックコミュニケーション事業分野で6点の製品・技術が「グッドデザイン賞」を受賞 「構造色インクジェット技術」が「グッドデザイン・ベスト100」に選定
富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 (本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO:浜 直樹)は、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する2023年度グッドデザイン賞※1において、外観デザインの美しさのみならず、優れた性能や快適な操作性を実現するデザインなどに対する高い評価を受け、グラフィックコミュニケーション事業分野の製品や技術においては計6点が「グッドデザイン賞」を受賞した。このうち、「構造色インクジェット技術」は「グッドデザイン・ベスト100」※2に選ばれている。
※1 1957年に通商産業省(現経済産業省)によって創設された「グッドデザイン商品選定制度(通称Gマーク制度)」を母体とし、1988年より財団法人日本産業デザイン振興会(現公益財団法人日本デザイン振興会)の主催事業として運営される日本で唯一の総合的なデザイン評価・推奨制度。
※2 「グッドデザイン賞」受賞製品のなかでも特に高い評価を得た100製品に贈られる賞。
【受賞製品と審査委員評価コメント】
■「構造色インクジェット技術」<グッドデザイン・ベスト100>
構造色インクジェット技術は、特定の光波長を反射する微細構造をインクジェットで形成することで、色素がなくとも発色する「構造色」を発現させる技術。モルフォ蝶やタマムシのような構造色の色彩や、自然界に無い構造色のパターンもインクジェット印刷で自在に描画でき、デザインの可能性が広がる。
審査委員評価コメント
色素が発する色ではなく、光の屈折や干渉が発する色(構造色)を再現できるインクジェット技術である。これまでの印刷の常識にとらわれず、自然界の色を印刷で再現できないかという社内デザイナーの夢が取り組みのきっかけとなっており、柔軟な発想を生み出す環境と、それを具現化する技術力が実現したイノベーションに審査委員の評価が集まった。これからの教育やパッケージデザイン、製品加飾、アートの分野の表現を大きく拡張する、新たな印刷技術として大いに期待したい。
■プロダクションカラープリンター「Revoria PressTM PC1120」
CMYKトナーに加え最大2色の特殊トナーを搭載した6色トナー使用時も、120頁/分の高速プリントによる高い生産性、2400×2400dpiの高い出力解像度による高精細な表現、プリンターの生産性を最大限に引き出す高性能なプリントサーバーが特長。世界初※3の接着機能を持つ圧着トナーは、販促目的で使用される圧着はがきなどの制作工程を効率化。
※3 当社調べ。接着機能を持つ実用化されたトナーおよびその技術は世界初。(2023年4月25日時点)
審査委員評価コメント
特殊トナーを使用し、金、銀、白、クリアー、ピンクなどの色彩を活用して、オンデマンド印刷における新たな表現の可能性を進化させる開発姿勢には驚かされる。さらに、複雑になる出力物に対して、モニター上の3Dで特殊トナーの光沢感と色味が出力される質感が映し出され、誰もが一目で確認することができる。このような精度の高い確認が出力前に行えることで、無駄の少ない高品質な出力を達成できることは非常に優れている点である。本体はダークグレイとホワイトの色で上下に面取り処理で分割され、軽快な印象を与えるその造形は、横並びになると、連続性が強調され、凛とした精緻で美しい繋がりを魅せる。機械上面部の作業エリアや、モニター、出力トレイなども印刷物の視認性を良く見せるダークグレーで統一され、オペレーターへのきめ細やかな配慮もなされている。
■プロダクションプリンター「ApeosProTM C810 / C750 / C650」
美しい出力品質、幅広い用紙汎用性で、さまざまな販促物もスピーディに作成できる。プロユースでありながら、100V電源を実現し、セキュリティーをはじめ、複合機に求められる最新の機能をしっかり備え、一般のオフィスワークにも「1台2役」で活用可能。ビジネスの可能性を大きく広げる。
審査委員評価コメント
通常は外注することでしか得られなかった、特殊用紙を用いた高品質なチラシやポスターなどの印刷を可能にする高性能複合機である。 世界初である2400dpi×2400dpiの高画質印刷ができるプロユースの高性能複合機にも関わらず、無骨さを感じさせることは一切なく、Apeosシリーズとしての統一感を踏襲し、ユーザーフレンドリー、オフィスフレンドリーを製品全体で表現するデザインとしてまとめられている。
■印刷工程管理ソフトウェア「Revoria OneTM Production Cockpit」
印刷の全工程を1か所で管理可能な、統合型ワークフローシステムを実現するソフトウェア。「オープン化」「自動化」「見える化」により、生産性向上と業務改善に貢献する。印刷工場のスマートファクトリー化を実現し、印刷ビジネス拡大のための変革を推進する。
審査委員評価コメント
わたしたちの日常生活を支えるあらゆる製造業や工場などの業務の現場における人手不足は大きな社会課題であり、業務DXによる省力化や効率化による生産性向上のニーズが高まっている。本ソフトウェアは、印刷会社における工程を網羅的に一元管理できるソフトウェアとして必要な機能を備え、プロフェッショナルツールとしてユーザーインターフェイスのデザインも洗練されている点が評価された。
■軟包装用水性インクジェットデジタルプレス「Jet Press FP790」
水性インクを使用する軟包装用インクジェットデジタル印刷機。食品用の軟包装印刷にも安心して利用できる水性顔料インクを使用し、最大790mm幅のロールメディアを50m/minのスピードで高速印刷可能。BOPPやPETフィルムに印刷するための前処理により水性インクでも高い定着性を可能とし、1200 X 1200 dpiの印刷ヘッドにより高解像度で、2つのホワイトインクジェットチャネルにより鮮やかな発色による最高品質の印刷が可能。
審査委員評価コメント
小ロット、多品種の印刷はもちろん、一つ一つ異なるパッケージさえも多品種と同型のジョブで、同一ロールの面付により達成し、高速印刷、高品質を実現している。それは端正な印象にまとめ上げられた、美しい産業向けデジタル印刷機である。シリーズのハイエンドイメージであるブラック&シルバーのカラーリングも踏襲され、ユーザーにとって長年の信頼を感じられる表現として確立できている。日本の誇る印刷技術力が結集した機器を感じさせる堅牢感ある扉と、そこに施された側面の緩やかなテーパーなど、強さの中にも洗練された新しい進化の風格を感じる。有機溶剤を使用しない水性インクの採用においても、良好な作業環境の実現と環境負荷の低い運用につながり、高い付加価値をもたらす取り組みにとして高く評価したい。
■「メタリックインクジェット技術」
独自の分散技術とインクジェット技術を掛け合わせることで、輝度の高いメタリック印刷を可能とした技術。インクジェットの特長を活かしたグラデーションや質感表現、カラーメタリックなど、表現の可能性を広げる印刷技術。
審査委員評価コメント
デジタル化によって縮小するフィルム事業で培った技術が、デジタル化がもたらす新しい需要に応える開発に活かされることは消費者、技術者、企業、そして産業にとって理想的な流れといえる。箔押しに近い高いレベルで再現できる技術は質感の制御が可能で、単に箔押しの代用ではなく新しい表現手法としてグラフィックデザインの可能性を広げるだろう。
2023.10.02
◆千代田グラビヤ/SCREEN GA 軟包装印刷のデジタル化推進に向けた協業に合意
株式会社千代田グラビヤ(以下、千代田グラビヤ)と株式会社SCREENグラフィックソリューションズ(以下、SCREEN GA)は、このほど、小ロット~中ロット印刷の本格的な生産が可能な水性デジタルインクジェット印刷機「Truepress PAC 830F」を活用した、軟包装印刷のデジタル化推進に向けた協業に合意した。
左から千代田グラビヤ 代表取締役社長 佐藤裕芳氏、SCREEN GA Truepress PAC 830F
代表取締役社長執行役員 田中 志佳氏
近年、世界的に「サステナブルな社会」への対応が進行する中、パッケージ業界でも環境配慮型の生産と供給責任のニーズが高まっている。これまで業界でスタンダードとなっていたグラビア印刷は、大ロットの印刷に適した印刷方式であるため、「小ロット~中ロット」の印刷において、生産性が低い、印刷オペレーターへの負担が大きい、廃棄ロスが多い、などの課題があり、関係各社が解決策を模索している状況だった。
このような業界の動向を背景に、千代田グラビヤとSCREE GAでは、SCREEN GAが「小ロット~中ロット印刷」を本格的に量産できる水性デジタルインクジェット印刷機として開発した「Truepress PAC 830F」を千代田グラビヤに導入。生産機としての対象アプリケーションの拡大、デジタルワークフローの構築、小ロット~中ロット生産プロセスでの諸課題の抽出およびその解決に向けて、両社の協業によって軟包装印刷のデジタル化を推進していくことに合意しました。
両社は、千代田グラビヤが掲げる企業理念「信頼」「挑戦」「人づくり企業」と、SCREENグループが掲げる存在意義「人と技術をつなぎ、未来をひらく」に基づき、社会貢献を果たすとともに、軟包装生産現場の労働環境の改革を実現し、社会に新しい「彩(いろどり)」を創り続けるために、さらなる技術革新への挑戦に協働していくとしている。
また、両社は今回の協業体制による実際の生産運用を通して、現在懸案となっている「小ロット~中ロットに向けたソリューション」にとどまらず、「軟包装市場DX化に貢献する最適な生産フローの構築」を目指していく。
●同件についての問い合わせ先
株式会社千代田グラビヤ
パッケージ事業部 Tel:03-3492-0311
株式会社SCREENグラフィックソリューションズ
ビジネス統轄部 営業推進部 Tel:0774-46-6402
2023.09.08
◆モリサワ ビネガードリンク「美酢」ブランドのオリジナルフォントを開発
株式会社モリサワ(代表取締役社長:森澤彰彦 本社:大阪市浪速区敷津東2-6-25 Tel:06-6649-2151 代表、以下モリサワ)は、CJ FOODS JAPAN株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:林 暻逸、以下CJ FOODS JAPAN)のビネガードリンクブランド「美酢(ミチョ)」のリブランディングプロジェクトの一環としてオリジナルフォント「CJ MICHO」を共同開発した。
CJ FOODS JAPANは、韓国の代表的な調味料「ダシダ」など食品事業を展開しており、「美酢」は100%果実発酵酢から作ったビネガードリンクブランドです。日本における美酢の発売開始から10年を機に、リブランディングのプロジェクトを始動、CJグループとして初めてとなる、日本語のブランドオリジナルフォントを開発しました。
今回開発したオリジナルフォントは、ロゴや商品パッケージのほか、映像、ウェブまで幅広く使われる予定。そのため、ブランドイメージを象徴するデザインでありながらも、視認性や汎用性も重視し、使用頻度の高い漢字・ひらがな・カタカナと記号の計135文字を開発しました。オリジナルフォント「CJ MICHO」は、すでにテレビCMに採用され、順次、商品パッケージにも展開が予定されている。
現行の商品パッケージ。新フォントはこれから展開予定(左)
新フォントが採用されたテレビCMのワンシーン(右)
オリジナルフォント開発の背景について、CJ FOODS JAPANのマーケティング部へのインタビューは下記を参照。
モリサワ User’s Voice
パッケージや広告デザインの自由度が上がった!ブランドの世界観を表現する135文字のオリジナルフォント
https://www.morisawa.co.jp/products/fonts/voices/9555
モリサワ note
【座談会】「美酢(ミチョ)」商品パッケージからCMまで、ブランドの世界観を表現するオリジナルフォント135文字の舞台裏
CJ FOODS JAPANについて
CJ FOODS JAPANサイト http://www.cjjapan.net/
CJ FOODS JAPANブランドサイト https://cjfoodsjapan.net/micho/
株式会社モリサワは、大阪市に本社を置くフォントメーカー。Windows10以降に搭載されているBIZ UDフォントやUDデジタル教科書体など、より多くの人にとって読みやすく設計されたUD(ユニバーサルデザイン)フォントも開発している。2,000書体以上が使えるフォントサブスクリプションサービスMorisawa FontsやWebフォント、組込みフォントなど、利用環境に合わせたフォントサービスを提供している。
株式会社モリサワ エンタプライズ営業部 エンタプライズ営業課
E-mail:enterprise-sales@morisawa.co.jp
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※記載されている会社名・商品名は、それぞれ各社の登録商標または商標である。
2023.09.06
◆ビジュアル・プロセッシング・ジャパン サントリーマーケティング&コマースがデジタルアセット管理システム「CIERTO」を採用 販促プロモーション事業における業務効率化と情報の平準化が目的
株式会社ビジュアル・プロセッシング・ジャパン(本社:東京渋谷区 代表取締役 三村 博明、以下VPJ)は、このほど、同社が開発・販売するデジタルアセット管理(DAM)システム「CIERTO 」を、サントリーマーケティング&コマース株式会社(本社:東京都中央区 代表取締役 徳武 剛)に、販促プロモーション事業における景品企画・審査業務の効率化と情報の平準化を目的として納入したことを発表した。
サントリーマーケティング&コマース株式会社では、長年の酒販店・飲食店との取引によって培ったノウハウと、サントリーグループの様々な製品プロモーションを手掛けた実績をもとに、飲食店備品販売や販促プロモーション、飲食店DX支援など独創性にあふれた商品・サービスを提供している。
CIERTOを導入した販促プロモーション事業部では、年間約1500件以上の提案と年間約800件以上の商品に対する景品の企画・開発・提供をしており、景品に関連する画像や景品情報(素材や審査チェック資料、関連ドキュメント)の一元管理による業務効率化を目的にCIERTOを導入した。
1つの景品が完成するまでにはいくつもの社内審査会を経て承認される必要があり、審査会で必要となる審査書類は数十種類にわたる。CIERTOを導入することで過去の提案資料、審査に必要な書類(景品の検品報告書、景品情報、仕入れ情報など)を一元管理し、所在の明確化、過去資料の検索性向上、複数部門に渡る審査関係者の審査工程の効率化を実現した。
<導入効果>
・関連書類の一元管理とアクセスコントロールによる適切な管理体制の構築
・柔軟なテキスト検索と正確な情報共有による業務効率化
・ナレッジマネジメント・ノウハウ伝承の仕組みを構築(ベテラン人材の退職・異動対策)
・過去事例の活用促進による受注率UP(営業支援)
・ログ取得やアクセス制限によるセキュリティ強化
・労働集約型から知識集約型への転換
・テレワークの推進
今後はCIERTOで管理されているExcelデータを直接編集することで、データのダウンロード/アップロード作業が不要となり、クラウド環境とローカル環境でのデータの重複も削減されます。オフィスドキュメントとCIERTOの連携強化による更なる業務効率化を目指していくとしている。
デジタルアセット管理システム「CIERTO(シエルト)」は、企業の事業活動(広報・宣伝・販促・営業活動)における媒体・コンテンツ制作に関わるあらゆる情報をクラウドやライセンスベースで一元管理するシステムです。コンテンツ制作に関わる各関係者は、CIERTOを中核にオンラインで制作工程を進行することにより、媒体制作における生産性向上やリモートワークが実現します。CIERTOは商品に関わるマスタ情報を一元管理し、ECサイト、Web-CMSへの情報配信も支援します。統一された情報を多メディアに展開することでのブランド管理やチャネル配信のリードタイム短縮を実現し、企業の販促活動をサポートします。
CIERTOは日本国内における実績と先進性を評価されて総務省が支援する「ASPICクラウドアワード2019」において総合グランプリを受賞しています。2022年には「APAC CIOOutlook」において「2022DAMソリューションプロバイダTOP10」に選出されています。
◆問い合わせ先
株式会社ビジュアル・プロセッシング・ジャパン
TEL : 03-4361-2018 FAX : 03-4288-8617 Mail : info@vpj.co.jp
2023.07.24
◆モリサワ 邦文写真植字機発明100周年まであと1年! 「写植機」再現など記念プロジェクトを展開
株式会社モリサワ(代表取締役社長:森澤彰彦 本社:大阪市浪速区敷津東2-6-25Tel:06-6649-2151 代表、以下モリサワ)は、1年後の2024年7月24日に、創業者 森澤信夫による邦文写真植字機(以下、写植機)の発明から100周年を迎える。その歴史を振り返るプロジェクトとして、当時の写植機を、一部機能をデジタル化し、現代の技術を融合させた形で再現した。また、100年の歴史を同じくする「阪神甲子園球場」と共に、節目となる年を相互に盛り上げるとのことだ。
今後も同社は、写植機が残した功績を次の世代に継承するため、発明100周年を記念したさまざまな活動を行っていくとしている。
写植機は、「光学写真の原理で文字を現して組む」という方法で、従来の活版印刷に代わる新たな印刷技術を体現した機械である。モリサワの創業者である森澤信夫が発明し、株式会社写研の創業者である石井茂吉氏と共に1924年に特許を申請した。それからDTPの登場に至るまで、文字印刷技術のスタンダードとして活躍し、日本の出版・広告・デザインの発展に大きく貢献した。
写植機の再現
歴史的発明から来年で100周年を迎えることを記念し、今では数台のみしか現役で存在しない写植機「MC-6型」を、当時の形状を生かしつつ、一部の機能をデジタル化して再現した。MC-6型は、1967年発売の万能型手動写植機で、当時1万台の販売を記録したというロングセラー機である。このほど再現した「MC-6型(2024)」は、「現像」の工程を踏むことなく、備え付けのモニター上で文字の版下を確認することができるため、写植機の仕組みを理解しながら、植字を模擬体験することができる。
「MC-6型(2024)」は、デジタル以前からの印刷史の変遷を体感できる機会として、モリサワの展示ゾーン(ショールーム・大阪)にて公開している。見学を希望される人は、下記の「ご見学について」を参照。
東京での公開も予定しているが、詳細は決まり次第知らせるとのこと。
MC-6型(2024)
阪神甲子園球場 「100周年アニバーサリー企業」に協賛
兵庫県西宮市の阪神甲子園球場は、写植機の発明と同年の1924年に開場し、日本における野球場の「象徴」としてその役割を果たしながら、これまで数多くの日本人の心に「憧憬」を刻んできた。
同じく関西が発祥のモリサワは、阪神甲子園球場の「100周年アニバーサリー企業」に協賛し、記念特設サイトに紹介された。
「100周年アニバーサリー企業」特設サイトはこちら
https://www.hanshin.co.jp/koshien/100th/anniversary_company/
文字印刷の一時代を象徴する写植機の発明100周年記念事業は、今後も随時発信予定である。
■見学について
モリサワの展示ゾーン(ショールーム・大阪) はモリサワ本社の5Fに設置。見学を希望する人は、以下から申し込みを。
https://www.morisawa.co.jp/support/contact/forms/gallery-tour
モリサワの展示ゾーン(ショールーム・大阪)の詳細はこちら
https://www.morisawa.co.jp/culture/museum/
モリサワについて
株式会社モリサワは、大阪市に本社を置くフォントメーカー。Windows10以降に搭載されているBIZ UDフォントやUDデジタル教科書体など、より多くの人にとって読みやすく設計されたUD(ユニバーサルデザイン)フォントも開発している。2,000書体以上が使えるフォントサブスクリプションサービスMorisawa FontsやWebフォント、組込みフォントなど、利用環境に合わせたフォントサービスを提供している。
●同件に関する問い合わせ先
株式会社モリサワ 東京本社 ブランドコミュニケーション部 広報宣伝課
E-mail:pr@morisawa.co.jp
SNSでも最新情報を公開している
Twitter:@Morisawa_JP
Facebook:@MorisawaJapan
※記載されている内容は、予告なく変更する場合がある。
※記載されている会社名・商品名は、それぞれ各社の登録商標または商標である。
2023.07.20
◆富士フイルムグラフィックソリューションズ 導入事例――協和印刷株式会社 Japan Colorを基準に数値管理を徹底し、品質安定化と生産効率アップを実現 「経験と勘」による色管理から脱却、人材が育ちやすい環境に
北海道・札幌を拠点に、60年にわたり地域密着型の印刷ビジネスを展開する協和印刷株式会社(本社:札幌市西区発寒14条14丁目2-50、代表取締役社長:大矢 仁氏)は、2021年から『GA Smile Navi』のカラーコーディネートによるCMS構築に着手し、Japan Colorを基準とした色の数値管理体制を確立。品質の安定化、生産効率アップ、さらには作業の標準化による属人化解消といった効果を挙げている。取り組みの背景や具体的な効果などについて、常務取締役・埴渕信弘氏、生産部 製版課 課長・長谷川浩史氏に伺った。
■印刷機間の個体差を「経験と勘」でカバーしていた
協和印刷は、1963年に『株式会社北広社』として札幌市内で創業し、今年で60周年を迎える総合印刷会社。制作から印刷、製本加工までの一貫した生産体制を持ち、ポスターやカタログ、パンフレット、会社案内・学校案内などの商業印刷物を中心に手がける。商品カタログなど、品質要求の厳しい仕事も多く、クライアントが求める色を忠実に再現する製版・印刷技術力に定評がある。
印刷設備は、枚葉オフセット機がメイン。A全判が2台(うち1台がUV機)と菊半裁が1台の計3台体制。さらに、プルーフ用の大判インクジェットプリンターを持ち、極小ロットのポスターなどの出力にも使用する。オフセット主体ではあるが、短納期要求にも柔軟に応える機動力の高さが大きな強みとなっている。
埴渕常務
そんな同社が今回、GA Smile NaviによるCMS構築を決めた背景には、品質重視かつ短納期の仕事が多い中で、「求められる色をより効率的に、高精度に再現できる環境」を確立するという狙いがあった。とくに課題となっていたのは、印刷機間の色再現の差異だ。
「新旧の機械が混在しており、メーカーも異なることから、色再現の特性や安定性に差がありました。たとえば、シリーズ物の仕事で、A4ペラとページ物をそれぞれ別の印刷機で印刷するといったケースがあるのですが、両者で同じ写真が使われている場合、色を合わせるのが難しい。いままでは色を数値で管理しておらず、ベテランオペレーターが経験と勘で合わせ込んでいたため、時間も手間もかかり、個人のスキルに依存している状況でもありました」(長谷川課長)
写真に関しては、クライアントの意向に合わせてあらかじめ製版部門でレタッチを行なうことも多いが、ページ物などは1冊に写真が数百点入るものもあり、製版側での対応にも限界がある。さらに、修正した写真の品質を安定的に再現するために、印刷現場でも調整に手間がかかる、という状況だったという。
また、社内だけでなく、協力会社との間で色が合わないというケースも。
「たとえば、1社のお客さまから、ポスター、チラシ、パンフレットなどいくつかの販促ツールをまとめて受注した際に、B全サイズのポスターなど、自社で対応できないものを協力会社に依頼することがあります。そのときに、協力会社で刷ったものと自社で刷ったもので色の差が出てしまうことがあり、営業も現場も対策の必要性を感じていたのです」(長谷川課長)
長谷川課長は、営業部門とのやり取りでもCMSの必要性を強く感じることがあったといい、こう続ける。
「私の部署は生産工程の入口にあたるので、営業と接する機会が多く、出来上がった印刷物に関して『どうしてこういう結果になったのか』と相談を受けることが多々ありました。やはり営業が自信を持ってお客さまにお届けできる品質を、つねに担保できる体制にしていかないといけない。お客さまのためにも、自分たちのためにもそれは絶対に必要だと感じていました」
課題は品質面だけではなかった。埴渕常務は「人材確保・育成の面でも不安があった」と説明する。
「昨今、印刷オペレーターの高齢化が進み、若い人材がなかなか集まらないというのが、多くの印刷会社の悩みになっていると思いますが、当社も例外ではありません。現在のベテランオペレーターがいつでも世代交代できるという状態を早急につくらないといけない。作業が標準化されていなければ、若い人材を確保することも難しい。そう考えると、もはや時間の猶予はないだろうと、危機感を持っていました」
左:高級車ディーラーのノベルティや写真集など、高い品質が求められる印刷物を数多く手がけて
いる
右:道内の道路地図シリーズ。同社からの提案で、上質感のある表面加工や角の傷みを防ぐ角丸
加工など、長期間の使用を想定した配慮が盛り込まれている
■印刷機のコンディションを整え、Japan Color基準でマッチングを図る
実際の取り組みがスタートしたのは、2021年の2月頃。当時、同社はCTPの無処理化に向け、富士フイルムの無処理版のテストを進めており、これがGA Smile Navi採用のきっかけの一つになったという。
CTPは無処理版に統一。これも品質安定化に寄与している
「環境配慮や効率化、コスト削減などの観点から、CTPの無処理化を決め、各メーカーさんの無処理版を比較検討した結果、当社の印刷機に最もマッチした富士フイルムさんの版を導入することにしました。無処理版への置き換えにあたり、印刷品質の課題についてもFFGSさんに相談したところ、GA Smile NaviによるCMS構築をご提案いただいたわけです」(長谷川課長)
品質の課題については、他のメーカーにも相談を持ちかけたそうだが、最終的にFFGSのソリューションを選んだ理由について、長谷川課長はこう説明する。
「当社で運用しているインクジェットプルーファーのメーカーさんや、印刷機メーカーさんともお話ししたのですが、最も積極的に対応してくださったのがFFGSさんでした。大きな決め手になったのが、CMSを構築する際の色差の基準を、他メーカーよりも厳しく設定されている点です。やはり我々としては、色のブレはできる限り小さくしたい。その分、シビアな管理が必要になりますが、品質の精度を優先し、FFGSさんにサポートをお願いすることにしました」
まずは現状把握のため、2021年2月に1回目の印刷診断(スタートチェック)を実施。最も新しいUV機は、標準状態で印刷できており、安定性にも問題がなかったことから、油性機2台の状態を詳しく分析することに。その結果、網点品質などに課題が見られたことから、湿し水の濃度管理やブランケット洗浄の頻度など、メンテナンス面の見直しを図った。4月末に、油性機のコンディションにも改善が見られたことから、UV機を含めた3台の色をすべて、Japan Color準拠の色基準に合わせ込んだ。FFGS技術スタッフの協力のもと、3台の印刷機それぞれ、スクリーニング別に2種類ずつ、計6本のCTPカーブを最適化した。インクジェットプルーファーについても、診断を行なった上で、プロファイルを再作成し、印刷機とのマッチングを図った。
こうした作業を経て、Japan Colorを基準とした数値管理の環境が整った。ただ、オペレーターによっては、新しい品質管理方法に対する抵抗感もあったようだ。
「数値上では色が合っていても、本当にそれを信じていいのかといった不安の声も少なからずありました。そこで、FFGSさんにも協力いただきながら、CMSの意義、数値管理の重要性について、勉強会などを通して少しずつ社内に浸透させていきました」(長谷川課長)
仕組みづくりと同時に、人の意識面の変革も促すことで、CMSの運用を定着させていった。
CMSの構築から約2年。現在、具体的にどんな効果が出ているのか。長谷川課長は、「課題であった印刷機間の色再現の差異」が埋められたことで、印刷機の運用の自由度が増したと語る。
長谷川課長
「たとえば、A全の機械で印刷した後に急遽、部分的な修正が入ってしまうことがあるのですが、そんなときに、該当ページだけ菊半の機械で刷るといった柔軟な対応が可能になりました。とくにページ物では、全ページに共通のベースカラーを入れるケースもあるため、印刷機間の色が合っていないと、刷り直した部分だけ色がズレてしまう。そのリスクを低減できるのはメリットの一つだと思います。印刷機の融通がきくようになり、全体的な生産効率も間違いなく上がっていますね」
色基準に則った数値管理は、品質に「明確な根拠」を持たせることになる。それが営業面でのメリットにもつながっているようだ。「営業も現場も、印刷物がJapan Colorの基準内で再現できているという自信を持てるようになりました。お客さまに説明する際にも、根拠を示すことができる。また、色に関して何か問題があった場合でも、印刷機に問題がないことが数値で確認できるので、原因の切り分けがより短時間で行なえるようになっています」(長谷川課長)
印刷オペレーターも、作業面でのメリットを実感しているという。
「従来に比べ、プルーファーと印刷機の安定性が向上し、マッチング精度も上がったことから、『自信を持って作業できる』『安心感がある』と感じているようです。また、色調整の作業負荷も確実に減り、刷り出し時間の短縮も図れています」(長谷川課長)
品質面では、無処理化の効果も出ている。有処理版から無処理版に置き換えたことで、版キズに起因する汚れの発生が抑えられ、CMSとの相乗効果によって刷り直しも大幅に減っているという。
一方、これから期待されるのが、人材面でのメリットだ。オペレーターの技能に依存していた作業が標準化されたことで、「若いオペレーターが育ちやすい環境になった」と埴渕常務は語る。
「若い人が“一人前のオペレーター”を目指そうとしたときに、従来の職人的なやり方では、どんな過程をたどっていけばいいのかがイメージしにくいと思います。しかし、『決まった手順を踏めば一定の品質の印刷物が生産できる』という数値管理の環境ができていれば、ゴールまでの道のりが見えてくる。会社としては、人材育成の時間短縮というメリットにもつながると考えています」
生産工程全体の効率が上がり、同社の強みである「品質とスピードの両立」に磨きがかかった
■生産体制をさらに進化させ、「より効果のある印刷物」の提供を目指す
CMSは、一度構築して完結するものではなく、その後の維持管理も重要になる。そこで同社は、GA Smile Naviのプログラムに含まれる定期診断(プリントケア)を実施している。これは、各印刷機が基準値から外れていないかをチェックするとともに、オペレーターにあらためて品質管理の意識づけを行なう意味でも、効果を発揮しているようだ。
「印刷の状態を確認すると、熟練のオペレーターほど、時間とともに以前の感覚が戻ってきて、基準値を無視した濃度調整をしてしまう傾向にあることがわかってきました。そこで、診断結果をもとに再調整し、基準値の状態を維持するようにしています。CMSを継続的に運用していくには、やはり定期的な見直しが大事なのだと感じています」(長谷川課長)
一方で、CMSのメリットを活かした次の展開もしっかりと見据えている。埴渕常務は、「今回構築した環境によって、デジタル印刷の活用も現実的な選択として見えてきた」と語る。
「今後の課題としてまず取り組まなければいけないのが、小ロット対応です。デジタル印刷機などの新しい設備を採り入れ、品質を維持しながら小ロットへの対応力も高めることで、お客さまに提供する製品の幅をさらに広げていきたい。今回、明確な色基準を定めたことで、デジタル機とオフセット機を併用した柔軟な生産体制をつくりやすくなったと考えています」
長谷川課長も、「クライアントメリットをさらに追求していくための基盤が整ってきた」と手応えを語り、最後にFFGSへの期待も込めてこう結んだ。
「品質とスピードをより高いレベルで両立させ、小ロットにも対応することで、“お客さまにとってより効果のある印刷物”を提供できるようになると考えています。本当に求められているのは、印刷物そのものではなく『効果』ですから、良い印刷物をつくるだけでなく、その活用効果を分析し、次のプロモーションにつなげていける仕組みなども含めて、お客さまに提供していきたい。それが受注拡大という当社のメリットにもつながるのではないかと思います。FFGSさんにもアドバイスをいただきながら、お客さまの販促活動を、もっと広く、深くサポートしていきたいと思っています」
■プロフィール
株式会社 協和印刷株式会社
住所:北海道札幌市西区発寒14条14丁目2番50号
URL: https://www.kyowa-pt.co.jp/company/index.html
■関連リンク
・「GA Smile Navi」に関する詳細はこちら
・「GA Smile Navi」で最適生産① 最適な生産環境を生かすには、品質管理が重要です!
・「GA Smile Navi」導入事例:第一印刷株式会社様
・「GA Smile Navi」導入事例:様
2023.07.20
◆富士フイルムグラフィックソリューションズ SUPERIA ZX導入事例――共立印刷株式会社 国内最大規模のオフ輪生産ラインで、期待どおりの品質性能・信頼性を発揮 完全無処理化により環境負荷・作業負荷が激減、より働きやすい環境に
オフセット輪転機を中心とした国内最大規模の印刷工場を持ち、数百万部単位の大ロットニーズにも卓越した機動力で応える共立印刷株式会社(本社:東京都板橋区清水町36-1、代表取締役社長:景山 豊氏)は、2020年から環境対応の一環としてCTPの無処理化を進め、2022年10月、輪転・枚葉ともに無処理プレートへの全面切り替えを果たした。どのような経緯で富士フイルムの無処理プレートを選択し、また、無処理化によってどんなメリットが得られているのか。取締役 製造統括・舩木敏勝氏、製造本部 副本部長 兼 工場管理部長・田中和美氏に伺った。
■クライアントの環境意識の高まりに応える
共立印刷は、1980年創業以来、着々と生産設備の拡充を図りながら、商業印刷・出版印刷を中心に手がける総合印刷会社。現在、東京の本社のほか、札幌・名古屋・大阪・高松に営業所を置き、生産拠点は埼玉県の本庄市・児玉郡に集約している。中でも、本庄第1・第2工場では、合わせて27台ものオフセット輪転機が24時間体制で稼働しており、1拠点としては国内最大級の生産能力を誇る。同じ敷地内には枚葉印刷の工場もあり(本庄第3工場)、小~中ロット、ニスコーティングや特色などのニーズに対応する。一方、本庄工場からほど近い児玉地区には、製本工場や物流倉庫を配置。刷版から印刷、製本加工、発送までが半径1km圏内で完結する、効率的な生産体制を確立している。
舩木取締役
2017年には、DM専門の拠点として新たに「情報出力センター」を開設。万全のセキュリティ環境に、富士フイルムの高速ロール紙インクジェットプリンター『11000 Inkjet Press』2台と各種後加工設備を備え、圧着ハガキタイプから封筒一体型まで、多種多様なDMの生産を担っている。
また、生産能力の追求だけでなく、社会的要請である環境負荷の低減にも注力。印刷工場においては、排出物の削減はもちろん、独自開発の省エネ設備の導入、太陽光パネルの設置、屋内照明のLED化などにより、エネルギー消費量の節減にも努めている。
今回、CTPの完全無処理化を図ったのも、「刷版工程の廃液をゼロにする」という環境対応に主眼を置いた決断だった。
「最近、お客さまの環境意識が明らかに高まってきたと感じています。社会全体でSDGsの動きが広まっていることとも関係していると思いますが、印刷物の製造工程に関しても、“どれだけ環境に配慮しているか”を気にされるお客さまが増えてきました。こうした環境対応ニーズに応えるためにも、CTPの無処理化は重要な課題と捉えていたのです」(舩木取締役)
品質や生産性を担保しながら、環境対策として何ができるか。そんな観点から、無処理プレートについて検討を進めてきた共立印刷。しかし、これまでは、「メリットよりもリスクの方が高い」と導入を見送ってきた。生産規模も大きいだけに、版材の切り替えには慎重な判断が求められる。満を持して導入に踏み切ったのは、2020年。枚葉UV機で、当時の最新無処理プレート『SUPERIA ZD-II』の運用を開始した。
田中副本部長
「UV印刷適性なども含めた検証の結果、プレート性能が実用レベルに達していると判断し、まずは枚葉機での採用を決めました」(田中副本部長)
導入にあたっては、オペレーターに対しきめ細かいレクチャーを行ない、現場全体で無処理化の意義やメリットの共有を図ったという。
「FFGSさんにもご協力いただきながら、無処理CTPの原理や特長などについて周知するとともに、すでに運用されている印刷会社さんを見学させていただく機会も設け、オペレーターに理解を深めてもらいました。やはりスムーズに切り替えを進めるには、実際に使用するオペレーターに納得感を持ってもらうことが何より大事ですからね」(田中副本部長)
同社は従来、他社の有処理プレートをメインで使用してきたが、無処理化にあたっては、富士フイルムのプレートを選択した。この理由について、田中副本部長はこう語る。
「オフ輪で重要になってくる耐刷性をはじめ、プレート性能をさまざまな角度から検証し、総合的に判断しました。そのほかにも、輪転機と枚葉機をお持ちの複数の会社さんにヒアリングさせていただき、その中で圧倒的に高く評価されていたのが富士フイルムさんのプレートでした。これが最大の決め手になりましたね」(田中副本部長)
■重労働がなくなり、女性も働きやすい作業環境に
シビアな目で検証を重ね、社内での目的意識の共有を図った上で運用を開始した無処理プレート。現場の感触はどうだったのだろうか。
「印刷現場ではやはり不安もあったようです。たとえば機上現像による印刷機への影響など、実運用を始めてみないとわからない部分もありましたから。しかし結果的には、懸念していたような悪影響などは見られず、問題なく運用できています」(田中副本部長)
「当初導入したZD-IIは、有処理プレートに比べると視認性が低いため、その点でも戸惑いの声はありましたね。ただ、当社の場合、もともと検版作業をプレート上での確認に依存していなかったため、印刷機への“掛け間違い”にさえ注意すれば、これまでの作業手順を大きく変える必要はありませんでした」(舩木取締役)
枚葉機で1年あまりZD-IIの運用実績を積み上げた後、輪転機についても、2021年8月から切り替えを開始。2022年10月までに工場全体で完全無処理化を果たした。現在は一部を除き最新の『SUPERIA ZX』に移行している。
無処理化のメリットについて舩木取締役は、「経営面でも、現場の作業面でも、明確に実感できている」と手応えを語る。経営的なメリットとして挙げられるのは、生産工程の環境負荷低減をさらに推し進められたことだ。
「刷版工程の薬品類・現像廃液を、削減レベルではなく完全に“ゼロ”にできたことは大きいですね。当社は処理量が非常に多いので、CSRの観点でも、コスト面から見ても、これは重要な成果だと思います」
対外的なアピールも積極的に行なっている。
「自社のWebサイトや会社案内への掲載はもちろん、カンパニープレゼンや、新規のお客さまを訪問する際などにも、環境対応の一環として無処理CTPのメリットをご紹介しています。最近はこうした取り組みに高い関心を示されるお客さまが多くなっていますね」(舩木取締役)
一方、刷版工程の現場については、「現像に関わる作業負荷が大幅に減り、労働環境の改善につながっている」と田中副本部長は強調する。
「やはり一番は、自現機の大がかりなメンテナンスから解放されたことでしょう。1回につき半日以上、機械を止めなければならず、生産性のロスにもなっていましたから、これがなくなったのはありがたいですね。現像廃液も、自分たちで汲み取り、台車で廃液タンクまで運搬していたので、その作業が不要になったのも大きなメリットです。こうした重労働がなくなったことで、女性にも働きやすい職場になりました。現在、刷版部門の人員は約半数が女性になっています。無処理化は、働き方改革という意味でも時代にマッチしており、有意義な取り組みだと感じています」
完全無処理化により、クリーンな作業環境が実現した刷版室。オペレーターは約半数が女性だ
■ZD-IIからZXへ移行し、安心感がさらに高まった
品質面の効果について尋ねると、田中副本部長は「現像液という変動要因がなくなったことで、網点再現の安定性が以前より高まった」と評価。さらに、こんな間接的な効果も出ているという。
「無処理プレートの場合、有処理に比べ、仕上がり品質が印刷機のコンディションに左右されやすい、という違いがあります。機械の状態が良くないと、機上現像が遅くなったり、網点再現性が悪化したりする。そのため、印刷オペレーターはいままで以上に印刷機のメンテナンスをきめ細かく行なうようになりました。結果、汚れなどのトラブルも起きにくくなり、品質の安定化につながっています」(田中副本部長)
これらの効果は、ZD-IIの段階から表れていたが、現在メインで使用しているZXについては、どう評価しているのだろうか。
「ZD-IIと比べて明らかに変わったのは、何と言っても視認性ですね。これまでもとくに不自由はありませんでしたが、やはり絵柄が鮮明に見えると安心感が違います。この点は、有処理プレートと遜色ないレベルになったと思います」(田中副本部長)
安心感をもたらしているのは、視認性だけにとどまらない。田中副本部長が続ける。
「これはZD-IIでも感じていたことですが、キズ汚れの発生は、以前使用していた他社の有処理プレートに比べて明らかに減りました。やはりオーバーコート層の効果が出ているのではないでしょうか。ZXに移行してから、プレートが原因として疑われる品質トラブルは、ほとんどなくなりましたね」
さらに、同社が重視しているポイントでもある耐刷性については、「期待通りの性能が発揮されている」と田中副本部長。
「紙の種類によって多少の変動はありますが、少なくとも、検証時に確認できた部数は問題なく安定して通せています。もちろん、トラブル防止のためギリギリまで通すことはせず、平均30万通し前後で版替えを行なうようにしています」
輪転機27台がフル稼働する本庄第1工場・第2工場。数百万部の大ロットジョブも圧倒的生産性でこなす
■無処理のメリットを活かし、さらなる自動化・省力化を目指す
現在、CTPは第1工場に3台(輪転機用)、第3工場に1台(枚葉機用)の計4台が設置され、オペレーションは第1工場で集中的に行なっている(第3工場へはリモート出力)。今後はこの体制を見直し、さらに効率化を進めていく考えだ。
「オフセット輪転機は第1工場と第2工場に分かれていますが、CTPは第1工場に集中配置しているため、現状、第2工場の輪転機で使用するプレートは、出力後に台車で運搬しています。また、印刷機ごとのプレートの仕分けも人手で行なっているので、時間と手間がかかり、ミスのリスクもある。そこで、CTPセッターを一部、第2工場に移設し、併せて刷版自動振り分け装置も導入することで、プレート出力後の作業効率を一気に高めようと考えています。無処理化によって自現機がなくなり、CTPセッターの設置場所の制約が少なくなったおかげで、自動化・省力化の取り組みが、より進めやすくなりました。このメリットを活かし、生産現場をさらに“働きやすい環境”へと進化させていきます」(舩木取締役)
いま、人材の確保や、そのための労働環境の改善は、環境対応と並び、多くの印刷会社にとって重要な経営課題となっており、共立印刷も例外ではない。同社において、2年がかりで進めてきたCTPの無処理化は、これらの課題に対する有効な解決策の一つとして、確かな成果をもたらしている。